中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

残業170時間、労災認定(追記)

2017年08月24日 | 情報

昨日の当ブログにて、
「ただし、小職としては、いずれのマスコミ報道も「長時間労働」にしか注目していないのが、
気になります。」と記しました。
昨年の電通事案や、今回の産婦人科医の自死についてもそうなのですが、マスコミは、その原因を「長時間労働」に
あるとしています。果たして、正しい分析と云えるのでしょうか?
確かに長時間労働は、事実ですし、長時間労働は、精神疾患を発症させる原因になるというエビデンスもあります。
原因を長時間労働に求めるのは、数字が明快で、力強いので、分かりやすいからではないでしょうか。

ところで、行政は「労働者」を対象に政策を策定しています。
ですから、「労働者」に焦点が当たっていますが、もう少し広い視野で考えてみましょう。
そうすると、どうでしょうか。農業、林業、漁業、所謂一次産業に従事しているみなさんは、どうなのでしょうか。
一次産業に従事している多くの人たちは、「労働者」の概念には当てはまらないので、注目はされていませんが、
例えば、米作り農家の田植え時期や、収穫時期などの繁忙期では、寝る暇を惜しんで働いています。
即ち1日16時間以上働いているものと考えられます。
さらに、飲食業、サービス業の場合を想像してください。
例えば、ラーメン屋などでは、仕込み時間を含めると、1日18時間くらい、年中無休で働いているとも聞きます。
それなのに、長時間労働が原因で、農業従事者やラーメン屋さんが、うつ病にり患した、
それが遠因になって自死したなどの情報に接したことはありません。

一方、昨年の電通事案が起きた際には、某大学教授が自身のブログに「長時間残業でうつ病になるなんて・・・」と
書き込んだゆえに、当該ブログが炎上した上に、多くの人から批判を浴びたなどの報道がありました。
この電通事案を、報道記事のみからの推定ですが、自死の原因は、実は長時間労働だけではないようなのですね。
即ち、厚労省の精神疾患の労災認定基準
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120215-01.pdf#search=%27%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E5%8A%B4%E7%81%BD%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E5%9F%BA%E6%BA%96%27

に当てはめてみると、
・達成困難なノルマが課された②
・ノルマが達成できなかった②
・新規事業の担当になった②
・仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった②
・1か月に80時間以上の時間外労働を行った②
・(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた③
・上司とのトラブルがあった②
に加えて
・サービス残業(社員らに月70時間を超える時間外労働を「勤務状況報告表」に記載しないよう指導していた)
・能力・経験をはるかに上回る業務付加
等々が該当します。
素人考えですが、長時間労働のみではなく、その他の要因が複雑に重なって精神疾患を発症したと考えることができませんか。
反対に、人は「長期間労働」だけでは、そう簡単に「壊れない」存在ではないでしょうか。
因みに、多くの企業経営者は、寝ている時間以外は、働いています。

 

コメント
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