中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

職場復帰支援⑩

2017年08月07日 | 情報

Q⑨:職場復帰をスムーズに行うための準備は、どのようにすればよいでしょうか?

A⑨:職場復帰の可否は、復職希望者を含めた合議体で、検討・決定するのではありません。
しかし、当事者から、希望や要望を聴取することは、何ら問題はありません。むしろ積極的に行うことが必要です。
人事労務担当は、復職希望願いと主治医の診断書を受け取ったのちに、
職場復帰検討委員会開催前に、復職希望者の希望を聴取します。事前の周到な準備が必要です。

休職者とのコミュニケーション担当は、休職以降の経緯をまとめます。
産業医は、復職を可とする、主治医の診断書を精査し、必要であれば、復職希望者の主治医と不明・疑問な点を、
文書でのやり取りを主体にして聞き取り、産業医としての判断をまとめます。

すべての書類・経緯・知見を集めて、復職の可否を判定します。
職場復帰委員会の構成を再確認しましょう。
産業医、産業保健スタッフ(保健師、看護師、産業カウンセラー、精神保健福祉士等)、
人事労務担当、コミュニケーション担当、加えて、弁護士、社労士等)で構成され、委員長は、人事労務部課長とします。
復職前の直属の上司は、参加させません。理由は、休職事由が上司にあるかもしれませんし、
上司には、本業に専念させることが、企業総体にとって有益だからです。
産業医、主治医、復職希望者、会社(人事労務等)の4者が集まり、意見交換するなどを提案する識者もいますが、
主治医が参加するなどはあり得ないことです。もっとも主治医のクリニックを1日休診とし、
その代償を会社が主治医に支払えば、別問題ですが。

復職を「否」とする場合は、その理由と、復職条件を明確にし、復職希望者に説明の上、理解を得ます。
しかし、原則として、復職を「否」とするような状況になってはなりません。
そのために、事前の周到な作業と根回しが必要なのです。
ポイントは、復職を認めることができないと想定される場合には、
主治医の復職を可とする「診断書」が準備されてはならないことです。
理由については、これまで紹介してきた対応策を読み返してください。

当シリーズは、取りあえず今回で終了です。

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