中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

職場復帰支援⑥

2017年08月01日 | 情報

Q⑤:休職中の当事者とのコミュニケーションですが、具体的にどのような内容を、
どのようなタイミングで話し合いすればよいのでしょうか?

A⑤:最近当ブログにて、メリット、デメリットを含めて
休職中の当事者と会社とのコミュニケーション「手段」を紹介しました。
具体的には、’17.6.27 「質問に回答します⑤」を照会してください。
以下は、直接に面談する場合を想定しています。
なお、再確認ですが、会社側における、当事者とのコミュニケーション担当は、
原則として人事労務担当など、ひとりに特定することです。
理由は、入れ替わり立ち代わり、説明・質問・回答する担当者が異なると、内容も微妙に異なってしまいますので、
たとえ事前に打合せをしていても、休職者が困惑してしまう可能性があるからです。
それでは、どのような内容の話をすべきか、紹介します。

まず、定例のコミュニケーションは、月に1回程度(ただし、頻度は状況により異なります)とし、
挨拶の後、最初は、会話のほとんどを当事者の話や質問に耳を傾ける時間にしてください。
会社からは、休職当初に「休職のしおり」を当事者に交付していますから、
会社から話を切り出す理由がないはずです。
当事者の生活状況の確認や、質問に対する回答等が中心になります。
回答に困る場合は、会社に持ち帰り、後日に正確に回答することが必要です。

なお、治療は、あくまでも休職中の当事者の責任です。
会社側の担当者は、産業医であれば話は別ですが、治療についての知識はありません。
余計な介入、過度の介入は、さらに問題を複雑化させる可能性があります。
ですから、「就労可能な状況か」「就労への課題が残されていないか」等について、
会社側から問いかける質問ではありません。
ただし、原則として、会社は、当事者の質問には答える必要はあります。

話が戻りますが、会社は、まず、休職から復職までの、プロセスを記した文書を、当事者に交付しておく必要があります。
内容は、会社の諸規程と解説、想起される出来事と対応要領、会社とのコミュニケーション方法等です。
さらに、私傷病を原則にして対応要領を解説していますので、傷病手当金の対応要領、社会保険料の徴収要領等に
ついても説明する必要があります。
しかし、休職当初は、当事者の病状が急性期でもあり、交付した文書を、しっかりと理解していないことが予測できます。
ですから、文書を理解しているか、質問はないか、等の問いかけは重要です。ちょっと複雑で、対応が難しいですね。

さて、当事者とのコミュニケーション担当は、すべてを記録しておく必要があります。
特に、後になってトラブルになるような場合には、重要な証拠になるからです。
そして、休職者からの求めに応じて面談するような場合は、会社側は2人で赴くことが、
トラブルを避けるうえで重要ですので、心がけておきましょう。
さらに、設置している「復職復帰判定委員会」において、当事者とのコミュニケーション担当は、
コミュニケーション内容を委員会に報告し、情報を共有しましょう。

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