
シェイクスピアの「(真)夏の夜の夢」の舞台を観ようと思って、DVDを探したのだが、見つからなくて、映画版を見ることにした。
ロンドンとストラト・フォードでRSCの舞台を観たのを皮切りにして、その後、来日したRSCの舞台を2回観ており、お馴染みだが、
鮮明に覚えているのは、ベニサンピットでの蜷川幸雄演出の「真夏の夜の夢」で、竜安寺の石庭風の舞台のバックが開くと、倉庫の向こう側の道路が見えて車が走っており、俳優達が道路に出て演じていた光景。秀逸は、 白石加代子が演じた女王「タイターニア」で、ロバの頭に変えられた職人ボトムとの妖艶なラブシーン。とにかく、赤い花の媚薬に翻弄されて展開される若い恋人たちの恋のドタバタ騒ぎが面白い。
前に書いたブログの「夏の夜の夢」の筋書きを借用すると、
恋人との結婚を許されず、死か尼寺かと追い詰められた娘が恋人と森へ駆け落ち。それを許婚が追いかけて森へ、その彼に恋する乙女がまたこれを追って森に行き、4人の若者が森に入る。
森を支配する妖精の王オベロンと女王ティターニアとが、インド人の子どもをめぐって仲違い。王は、妖精のパックに命令して、起きた時に最初に見たものを恋すると言う惚れ薬の薬花を取りに行かせて、王女と仲違いの恋人達に振りかけるよう指示する。
パックは、公爵の結婚祝いの祝典劇の練習の為に来た職人ボトムの頭をロバの頭に変えたが、ティターニアはこの怪物を最初に見て恋に落ちる。
一方、若者の方は、間違って媚薬を振り掛けられたので、恋愛関係が逆転して、相手にされなかった乙女が二人の男に追いかけられてドタバタ喜劇。
王が、媚薬解凍用の薬を振り掛けて各々正常な恋愛関係に戻ってめでたしめでたし。
公爵と2組の結婚式の祝宴に、職人達がドタバタ悲劇を演じて祝福して幕。
恋人との結婚を許されず、死か尼寺かと追い詰められた娘が恋人と森へ駆け落ち。それを許婚が追いかけて森へ、その彼に恋する乙女がまたこれを追って森に行き、4人の若者が森に入る。
森を支配する妖精の王オベロンと女王ティターニアとが、インド人の子どもをめぐって仲違い。王は、妖精のパックに命令して、起きた時に最初に見たものを恋すると言う惚れ薬の薬花を取りに行かせて、王女と仲違いの恋人達に振りかけるよう指示する。
パックは、公爵の結婚祝いの祝典劇の練習の為に来た職人ボトムの頭をロバの頭に変えたが、ティターニアはこの怪物を最初に見て恋に落ちる。
一方、若者の方は、間違って媚薬を振り掛けられたので、恋愛関係が逆転して、相手にされなかった乙女が二人の男に追いかけられてドタバタ喜劇。
王が、媚薬解凍用の薬を振り掛けて各々正常な恋愛関係に戻ってめでたしめでたし。
公爵と2組の結婚式の祝宴に、職人達がドタバタ悲劇を演じて祝福して幕。
惚れ薬と言えば、これで運命を狂わせたワーグナーの悲劇「トリスタンとイゾルデ」、えらい違いで面白い






夢か現か幻か、この戯曲は、幻想的な美しい森の中の妖精の世界が舞台で、2組の若者たちに取っては夢物語なのだが、
トリックスターの いたずら好きの小悪魔妖精パックが、オベロンの命令の早とちりや勘違いから間違って媚薬を塗ったために、登場人物たちを混乱させることになった。


ところで、イングランドの森は、あのドイツの「黒い森」のように一歩踏み込むと外に出られないグリム童話の世界のように恐ろしい森ではない。外国には行ったことのないシェイクスピアのイメージする森だが、故郷ストラトフォード・アポン・エイボン近くのウオーリックシャーの森も牧歌的で実に美しかったし、イギリスの田園地帯は何処もなだらかでコンスタブルの絵画のように絵になっていた。
「人生は劇場」と言わせた「お気に召すまま」の森も、「ウインザーの陽気な女房たち」でファルスタッフを降参させた森も、シェイクスピア劇では重要な舞台だが、それぞれの戯曲で、美しい演出の森の風景を見られる機会が多い。
しかし、今回のように妖精の世界が舞台となり、それに、映像技術を駆使して縦横無尽に幻想的な演出が加わると夢のようなシェイクスピア劇となる。
さてこの映画、「真夏の夜の夢A Midsummer Night's Dream」
監督脚本 マイケル・ホフマン
配役
ニック・ボトム - ケヴィン・クライン
タイタニア - ミシェル・ファイファー
オベロン - ルパート・エヴェレット
パック - スタンリー・トゥッチ
とにかく、ファイファーの妖艶で美しいタイタニア の魅力、クラインのボトム の軽妙洒脱さ、それに、コミカルタッチで愛嬌のある狂言回しのトゥッチのパック、伊達男の エヴェレットのオベロン、それに、準主役の2組の恋人たちなど脇役陣の活躍も素晴らしい。
舞台とは違った新鮮なシェイクスピアドラマである。