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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

本離れと言うけれど~私の場合

2010年01月30日 | 生活随想・趣味
   先日、日経に、年々、書籍と雑誌の売り上げが、どんどん下落しており、雑誌などは、値上がり傾向だと言う記事が載っていた。
   日本のみならず、文明国家では同じ傾向が続いているようで、やはり、楽しみにしろ知識情報の習得にしろ人々の読書で得ていた機能が、IT革命や文明社会の多様性の増大などによって、他に肩代わりされて行ったからではあろうが、人々の本離れは、ある意味では、一つの文明の大きな転換を告げている。
   本来、書籍は、知の集積であり、知の宝庫であるとともに、文化文明の象徴であった筈なのだが、その地位を明け渡してしまったと言うことであろうか。

   難しい話はともかく、私にとっては、読書とは、知識情報の収集と、その対決を通じて楽しみを味わっていると言うことのような気がする。
   読みたい本を探してその本と対峙しながら、知らなかったことや見えなかったことを発見し、新しい知の集積、難しく言えば、真善美へのアプローチとその発見、そして、その深化を感じながら、楽しみを味わっていると言うことであろうと思っている。

   尤も、このような知的な楽しみは、読書でなくても、いくらでも他の手段があるであろうが、しかし、素晴らしい本に、たった一人で、真剣勝負で対峙して、至福の境地を味わいながら、深い喜びを感じるような経験が可能なのは、読書を置いて他にはないと思っている。
   勿論、私が読む本の総てが、そのような本ばかりではなく、硬軟取り混ぜて、緩急自在に本を選びながら読書を楽しんでいるのだが、人生も、後それ程長くないとも思っているので、出来るだけ、無駄で無意味な本は読まないようには心掛けている。

   私自身の性分もあるのであろうが、暇があれば書店に出かけているので、本を読むことが、すなわち、私の人生の一部であるから、私には読書離れ現象などはないし、本のない生活など一日たりとも考えられない。

   この頃、本を読む時には、シャープペンシルと付箋・ポストイットを必ず携行していて、重要だと思った箇所には、鉛筆で傍線を引き、更に重要だと思うところには、付箋を貼る。
   更に、その内容の軽重によって、付箋の色を変えたり、ページの上や横や斜めなどの位置を変えて付箋を貼って行く。
   後で必要になると、この傍線部や付箋の付いたページを追っかければ良いと言う寸法である。
   当然、このようにして読む本は、専門書や学術書であって、小説や音楽美術など芸術書などには、傍線も付箋もない。
   そして、読み終えれば、最後の昔印税印が張られていたページに、その日付と旅先などの地名を書き込んでいる。

   昔は、アメリカでの留学時代に、マーカーを使っていたので、黄色の蛍光ペンなどで、重要箇所をマークしていたが、完全に本を壊してしまうので、大分前に、資料のマーク以外は止めている。
   尤も、今のように鉛筆で傍線を引き、付箋を貼れば、殆ど本を毀損しているようなものだが、消しゴムで消して付箋を取れば、少しは、現状復帰出来るという本への思いやりは残しているつもりである。
   
   これは、一人の読書人としての提言だが、学術書や専門書など知的水準の高い本には、必ず、索引を付けて欲しい。
   欧米の本には、必ず着いているのだが、日本の本は、索引の重要性を認知しない出版社が多くて、コスト削減のためなのか、素晴らしい専門書にさえ索引がない場合が多くて、著しく、その本の価値を貶めている。
   それだけ、文化文明度が低いと言うことであろうか。

   ところで、本の値段だが、最近、経済や経営学書の価格が、少し上がってきたような気がする。
   普通の単行本は、1800円くらいが平均であったが、最近では、少し、ページ数が増えたり、ベストセラーにはなりそうにないような専門書は、2400~2500円が一般的となり、3000円、4000円と言った本も少なくなくなってきた。

   しかし、私の学生時代から考えても、専門書の価格アップは、精々、3~4倍であり、他の物価の上昇よりは低いと思う。
   手元にある昭和37年4月28日発行のシュンペーターの「資本主義・社会主義・民主主義」が、46判298ページで、480円である。
   思いだすのは、もう、40年以上も前になるのだが、シュンペーターの「経済発展の理論」の第5巻が、1500円していたのを、買えなかったことである。
   京大の学費が、確か、年9000円くらいであったから、専門書はやはり高く、古本も、今のように、二束三文ではなかったのである。
   そんな時代であったから、蔵書は貴重であったし、蔵書する楽しみもあった。
   本離れなど、考えられなかった時代があったと言うことである。
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