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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

「ローマ三越、46年の歴史に幕」と言う現実

2021年07月12日 | 経営・ビジネス
   共同が、「ローマ三越、コロナで閉店 観光客減、46年の歴史に幕」と報じた。
   イタリアの首都ローマ中心部の「ローマ三越」が10日、閉店した。新型コロナウイルスの影響で観光客が減少したことなどが理由。午後7時(日本時間11日午前2時)ごろ、共和国広場近くの店舗で、大楽勤支配人らが最後の客を見送り、1975年の開店以来46年続いた歴史に幕を下ろした。欧州に残る三越で唯一の店舗だった。同店はイタリアの有名ブランド品やカメオなどの工芸品、土産物を扱い日本語が通じる店として観光客に人気だった。新型コロナで昨年はほとんど営業できず、主要な顧客であるアジアからの旅行者が戻る見通しも立たず閉店を決めたという。

   良くも悪くも、イタリアへの日本人観光客と運命を共にしたと言うことであろう。
   百貨店なので、総花的に土産物を主体に売っている店舗なので、当然、地場の高級ブランド店や専門店とは競合関係にはなく、便利店としては有効であっても、あくまで、日本人客向けと言う域を抜けなかったと思う。
   製造業のように、事業拠点の進出拡大という意図などなかったのであろうから、日本人客が来なければ存在価値がなくなってしまう。
   しかし、特色もあって、ウィーンの三越店は、一時、あの有名なカフェ・モーツアルトを傘下に収めて経営していたので、ウィーンに行った時には、良く出かけて古いウィーン・ムードを楽しんでいた。
   
   私がヨーロッパに駐在したのは、1985年から1993年までで、バブル崩壊前のJapan as No.1の時代で、日本人が欧米先進国を大手を振って闊歩していた時期なので、日本人観光客が大挙して、ロンドンに押し寄せてきていて、日本の出店は活況を呈していた。
   私の良く知っているヨーロッパの三越店は、ロンドン店で、このローマ店やパリやウィーンの店にも行っていたが、確かに便利ではあった。
   ロンドンでは、この三越とJALの店が人気店で、伊勢丹やそごうも店を出していたように記憶している。客の大半は、日本からの観光客で、昨今の中国人の爆買いほどではないが、それに近くて、観光よりも買い物目的の人が多かった。
   羽振りの良かった農協さんの団体も多く、それに、地方の名士なのであろうか、餞別のお返しに、何十本も見境なく、ネクタイを買っている人なども居て、まさに、戦場さながらであった。「そこのネクタイ、10本ばかり、1本ずつ包装してくれや」と、商品を愛でずに、エルメスやグッチなどの店でもやるのであるから、何をか況んやである。

   三越は、レストランを経営していたので、サントリーと同様に、日本からの来客接待で、重宝していた。
   しかし、店舗としては、在住者たちは、ブランド品などは、そのオリジナルの本店に行ければベターだし、ヨーロッパの製品にしても、格好の支店や専門店やハロッズ等高級百貨店があって、頻繁にセールをしていたので、適当に使い分けていたと思う。
   しかし、日本の大型土産店では、やはり、日本人客の嗜好を良く理解していて、上手くセールを展開しながら運営していて、例えば、帰国前の赴任者たちへの買い物支援で、英国家具やインテリア商品などをセールすることがあって、私など、JALショップで、大型の応接セットを買って帰って、孫たちにぐちゃぐちゃにはされてしまってはいるが、今でも重宝して使っている。

   ついでながら、不思議なのは、日本からの客の接待で、ミシュランの三つ星レストランや、不味いと言われているイギリス料理のイメージを一気に覆すような高級なイギリスのレストランへ招待するのだが、10中8,9まで、「日本食にして欲しい」と言うので、三越やサントリーにお連れすると、東京のあそこはどうだとか、京都はどうだとか言って品定め談義をする。慣れぬ異国での長旅や激しいビジネスに、くたくたになって食が進まず、「うどんでも蕎麦でも、握り飯でも何でも結構です」と言っていた舌の根も乾かぬ内になのだが、元気を取り戻したので、「まあ、いいか」とホッとしたことが多い。こんな人に限って、帰国すれば、「ロンドンのピカデリーでは・・・」と自慢話をとくとくと喋るはずである。

   コロナ前に、大阪の黒門市場に行くと、殆どの客は、中国系の外人観光客で、店舗のかなりが中国資本に移っているように思えたが、日本経済が、インバウンド需要に沸く姿は、今様のグローバリズム展開の一環なのであろうが、
   Japan as No.1の時代には、MITのレポートを見ても、欧米先進国は、本当に、日本経済に支配されると心配していた。
   弱肉強食とは言えないものの、長期トレンドで見れば、強いものが勝つのは必定。
   大挙して、ヨーロッパへ進出した日本企業が、業務を縮小したり閉鎖したりで縮小均衡に向かっているのであろうが、ローマ三越の閉店は、その道程の一里塚かも知れない。
   

   
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