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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

映画「オペラ座の怪人 (2004年)」

2020年09月04日 | 映画
   NHK BSPで、オペラ座の怪人 (2004年の映画)が放映されたので、久しぶりに懐かしく見た。
   勿論、ヘイマーケットのハー・マジェスティーズ劇場(Her Majesty's Theatre)で、1986年9月27日に上演されたアンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカル「オペラ座の怪人」。
   私がこの劇場で初めて観たのは、その二年後で、チケットを取るのに、半年以上掛かるほどの人気で、都合3回劇場に通った。
   二回目の時には、あまりにも長い間待ったので、いつの間にかチケットを紛失してしまって困ったのが、クレジットカードで購入していたので、劇場が追跡して確認してくれて、入場させて貰ったことがあった。この時は、途中で落下するはずの大シャンデリアが元に戻らなくて落ちずに、そのままで上演されたように記憶している。
   下記は、ロングランを続けているハー・マジェスティーズ劇場。
   
   
   
   さて、この映画は、監督:ジョエル・シュマッカー
   キャスト:怪人:ジェラルド・バトラー、クリスティーヌ:エミー・ロッサム、ラウル:パトリック・ウィルソン、マダム・ジリー:ミランダ・リチャードソン、カルロッタ:ミニー・ドライヴァー
   ロイド・ウェバーとシュマッカーが脚本を執筆し、オリジナル舞台版のマイケル・クロフォードとサラ・ブライトマンをキャスティングしたが、上手く行かなかったようである。
   この映画は、帰国後上演されたので、千葉の劇場で観ており、その後、2012年に、映画「オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン」が上演されたので、これも観に行って、このブログに観劇記を残している。
   この記念バージョンは、あのBBCプロムスの会場である巨大なロイヤル・アルバート・ホールでの最新のオーディオ・ビジュアルを駆使した最新版の記念公演の映画であったので、ハー・マジェスティーズ劇場の舞台とは勿論、2004年版映画とも違った迫力と感激があった。
   この両方のオペラ映画を録画しているはずなのだが、あまりにもDVDが多くて、倉庫に眠ったままで探せないのだが、
   「ミュージック・オブ・エンジェル」、まさに、モーツアルトと同じで天国からのサウンドのような、途轍もなく甘美で美しいロイド・ウェバーの音楽が、何時までも私の脳裏から離れず、奏で続けられている。
   クリスティーヌとラウル・シャヌイ子爵が、恋の陶酔に酔いしれて、パリの美しい風景をバックに、パリ・オペラ座の屋上で歌う圧倒的な愛の二重唱シーンを筆頭に、
   最初から最後まで、ドラマチックな舞台をバックに、甘美で陶酔するような美しい歌声とサウンドが延々と続く。あたかも、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の愛の二重唱にも相通じる何処までも高揚して行く愛の歌である。

   清楚で美しいクリスティーヌとラウル・シャヌイ子爵が恋に落ちて熱愛するのは必然だが、クリスティーヌの美声と才能を認めて最高のオペラ歌手に育てて心底熱愛してしまった怪人の失恋の悲劇。
   美しい女性像を彫刻して、その像に恋い焦がれて憔悴しきったピグマリオンを、哀れに思ったアプロディーテーが、その像に命を与え、ヒギンズ博士はヘップバーンのイライザ・ドゥーリトルを最高の貴婦人に育てて恋に落ちて、両方ともハッピーエンド。
   しかし、この「オペラ座の怪人」は、あまりにも悲しい物語。直覚の愛、恋い焦がれて死ぬほど愛しても実らない恋も必然なら、どうしても、どう足掻いても諦めきれない恋も必然、
   年老いたラウルがクリスティーヌの墓を訪れ、オークションで手に入れた怪人の部屋に残されていた猿のオルゴールを供えて、ふと見ると、墓石段の片隅にバラが置かれていて、そのバラにはクリスティーヌの婚約指輪が黒いリボンで結びつけられていた。追い詰められて消えたはずの怪人が、まだ生きていて、今なお、クリスティーヌを愛し続けている。
   モノクロ映像の墓地の片隅のバラの花が、徐々に赤く染まって行き、ろうそくに映えると、一気に画面がフェーズアウトする、悲しいラストエンド。

   フランスの作家ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」のアンドリュー・ロイド・ウェバーのミュージカル。
   素晴らしい映画である。
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