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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国立演芸場・・・新春国立名人会 1月3日

2020年01月03日 | 落語・講談等演芸
   国立演芸場の恒例の新春国立名人会が、2日から7日まで、7回公演されており、私は、3日と7日に予約を入れた。
   正月3が日に劇場へ出かけることは殆どないのだが、今回は、三三と喬太郎と鶴光の落語を聴きたくて、出かけて行った。
   プログラムは、次の通り。
   

   柳家三三は、小三治の弟子。
   三三の落語は、まだ、2かいくらいしか聴いていないのだが、非常にうまいと思って聞きほれていたので印象に残っている。
   今回は、「一目上がり」。
   長屋に住む無教養の職人八五郎が、隠居宅の床の間の掛軸『雪折笹』の図に添えられている賛の説明を受けて、「結構な賛でございます」くらいのことを言って褒めたら、お前を軽んじている連中も見直すこと間違いなしと言われて、調子に乗って、あっちこっち行って褒めるのだが、失敗の連続。良い賛だと褒めたら、大家には根岸の蓮斉先生の詩(シ)だと言われ、今度は「シ」と言おうと医者のところへ行ったら、一休禅師の悟(ゴ)だと言われ、友人宅で、先回りして「ロク」だと言ったら、七(シチ)福神の宝船だと言われ、最後に、「結構なハチで」と言ったら「芭蕉の句(ク)だ」と言われるという噺。
   無教養な男の厚顔ぶりを洒落のめす噺だと言うのだが、聞く方も、それなりの知識と素養がないと楽しめない、一寸した、教養落語であり面白い。
   勉強が嫌いで逃げ回って落語家になったという三三だが、落語家になって勉強の有難さを知ったはずである。

   柳家喬太郎は、前に、「ハワイの雪」で、素晴らしい落語を聴いた。
   幼馴染で子供心に結婚を誓った死期の迫った初恋の人を、孫娘とハワイまで見舞いに行く話で、雪かきしようねと言った約束を果たすために、密封して故郷の雪を持って行ったが、すでに溶けていて、その代わり、ハワイには珍しい雪が降ってきて、静かに、彼女は逝ってしまった。
   そんな実にほのぼのとした温かい美しい噺であった。
   今回は、ガラッと雰囲気が違った「親子酒」。
   ある商家の、酒好きな大旦那と若旦那の親子が、共に禁酒を決心するのだが、数日で、耐えられなくなって、まず、大旦那が、何やかや理屈をつけて妻にせがみ倒してへべれけに酔ってしまって、そこへ、得意先に、俺の酒が飲めなければ取引を停止すると迫られて酔いつぶれた若旦那が帰ってくる。
   大旦那が「顔がいくつにも見える、こんな化け物のようなお前に、身代は渡せない」と言うと、息子が「俺だって、こんなぐるぐる回る家は要りません」 。
   オチがちょっと違っていて、女房が、「二人とも、早く寝なさい!」。
   とにかく、テレビでも達者な芸を披露しているが、喬太郎の絶妙な話術と芸の冴えは抜群で、素晴らしい落語を聴いた。
   ブックレビューでも書いたが、「なぜ柳家さん喬は柳家喬太郎の師匠なのか?」は、面白い。
 
   笑福亭鶴光は、漫才のオール阪神巨人の阪神に似た風貌と語り口の大阪弁丸出しの上方落語で、映画などに出て剽軽な役どころを演じていて面白い咄家なのである、
   鶴光は、「薮井玄意」
   赤ひげのような町医者薮井玄意が、大阪一の大金持ちの天王寺屋五兵衛の瀕死の病を治して、千両の薬を売ったのだが、病気が全快して、奉公人の入れ知恵で天王寺屋が払ったのは、たったの二百両で、薮井は八百両を取り戻そうと奉行所に訴え出るという話。
   一切治療代や薬代を取らずに、貧しい庶民の治療をしている薮井玄意であるから、この千両も、貧しい人々のために使うつもりなのだが、鶴光は、高座の時間切れで、この良いところで話を終えてしまった。

   さすが、新春国立名人会で、最初から最後まで、楽しい舞台が展開されていて、令和2年の初笑いを楽しませてもらった。
   
   
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