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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

インフレーションが老いを直撃

2022年11月07日 | 政治・経済・社会
   世界中のインフレの高進が止まらない。
   インフレの主な要因は、2月24日に勃発したロシアによるウクライナ侵攻を受けた資源価格の高騰で、一気にエネルギーや光熱費が上昇して、さらに、世界中のサプライチェーンをズタズタにして、食糧価格の高騰を招くなど、コストプッシュの悪性インフレが、世界経済を窮地に追い詰めている。
   デフレデフレで騒いでいた日本も、この潮流に抗せず、期せずしてインフレの波を受けて、インフレ基調に経済が転換したものの、所得賃金の上昇を伴わないので、実質所得賃金が下落して、更に国民生活を圧迫している。
   それ以上に深刻なのは、インフレの余波が、低所得者や年金生活者や失業者などの無所得層など、インフレをヘッジできない国民の生活を直撃して、一層窮地に陥れている。

   私は、社会主義者でも過激な経済政策推進派でも何でもないが、現在の民主主義なり資本主義の最大の問題点は、経済格差の異常な拡大、富の極端な富裕層強者への集中偏在だと感じているので、あらゆる財政政策金融政策など経済政策を総動員して、更に政治的手段を強行してでも、富と所得の再分配を図って、弱者を救済し、健全な中間所得層を再構築することだと思っている。

   それはそれとして、私自身を取り巻くインフレの影響を考えてみたい。
   傘寿を超えて、生活そのものに動きが止まってきたので、それ程影響はなさそうだが、それでも、インフレは堪えている。

   まず、気にしたいのは、後期高齢者医療の保険料の負担率が、ほんの僅かの所得オーバーで、2割負担になったこと。
   企業年金を受けていたので、長い間3割負担を続けていて、1割負担になったのはほんの束の間で、これが2割に上がったのだから、支払いは2倍になった。
   鳴かず飛ばず、何の印象も残さなかった管内閣で、どうせMMT理論など知らない総理だろうが、この決断だけは!?。

   観劇やコンサートチケットはどうか。
   東京都交響楽団の定期公演の予約は、Cシリーズを来期も更改したが、料金には変化がなかった。
   国立劇場の古典芸能系は、1割か2割か上がったようである。
   歌舞伎座は知らないが、コロナで数年ご無沙汰していると興味が失せて関心がなくなったというか、20年以上も熱心に通い続けていて、襲名披露公演と言えば欠かさずに行っていたが、今回の團十郎には、行くつもりがなく、チケットの手配もしていない。もう、観るべき舞台は観たと言う気持ちでもある。

   さて、口絵写真の「オレゴン産 ブルーベリー シロップ漬け 680g」だが、これは、私の重要な朝食のお供なので欠かすわけには行かない。
   ブルーベリーは目に良いというので、朝食の時に、これをタップリと大きなマグカップにいれてコーヒー牛乳にして、スコーンのお供にして頂いている。昔は、スコーンの代わりに、レーズンブレッドを使っていたが、ブルーベリー主体の朝食は、もう、随分長く続けている。
   果物なのでシーズンがあって、先日やっと市場に出たのだが、輸入品であり、円安の影響を受けているはずだが、成城石井もAmazonでも価格に変化はなかった。
   成城石井のスコーンを始め殆どの商品は、軒並み値上がりしていて、私の食費を圧迫している。

   本は、上がっているのか上がっていないのか分からないが、私の読んでいる一寸専門書に近い学術書関連の本は、いつの間にか、2000円以下の本は消えて、3000円から4000円台に上がっている感じで、インフレの影響であろうか。本については、60年前の学生時代から考えても、5000円になったとしても、10倍以下であるから、初任給もその程度以上なので、特に、高いとは思わない。本は、私にとっては、趣味以上に人生そのものであるから、価格は超越している。

   最近、散歩の途中で、スーパーに立ち寄って、家族から頼まれた買い物をすることがある。
   スーパーの商品の値動きは、連日、テレビで放映されるとおりであり、驚きも何もないが、生活必需品の殆どは、凄まじい勢いで値上がりしており、全面的にインフレ状態である。
   まだ、インフレが始まったところなので、影響は少ないが、寒くなって本格的な冬になる頃には重圧を感じはじめて、生活不安を覚えてくるであろう。
   年金収入がドンドン下がって、インフレが高進して行くのは間違いないので、私自身も、真面目にインフレに備えなければならないと思っている。

   前世紀のJapan as No.1の時代、上昇段階にあった日本経済では、各企業とも必死になってコスト競争に奔走して、企業努力で吸収していたが、今や、右から左へコストを転嫁するだけで、安易な値上げ競争・・・悲しい時代になってしまった。
   経済大国として世界に勇名を轟かせた日本が、かくまで疲弊して、経済で崩壊して行く姿を、生きている間には絶対に見たくないと言っていた友がいたが、失われた10年が、20年になり、30年になり、40年も目前、経済状態が先進国で最低水準に落ちぶれた今や、それに似たような死に体に近いのではなかろうか。

   日本のインフレの最大の要因は、ウクライナ戦争でも、グローバルサプライチェーンの破綻でもない。日本経済の成長エンジンである日本企業の活力と國際競争力の著しい衰退によって、所得賃金を伸ばせず需要拡大が頭打ち状態となり、サプライサイドにおいても、生産性が上がらず経済成長から見放された日本経済の苦境が、悪性のコストプッシュ要因を吸収出来ないのでインフレが進行する。
   アベノミクスの最大の欠陥は、金融財政政策に安住して、ゾンビ企業や在来型の大企業温存政策を維持して、グローバル経済の潮流に即応した未来指向型の産業構造への転換への根本的改革を怠り新陳代謝を図れず、国際競争力の強化涵養に後れを取ったことであった。
   岸田政権も、新しい資本主義のお題目だけは唱えるが、日本の産業構造を根本的に革新する姿勢は、残念ながら希薄であり、日本経済の復興は期待出来そうにはない。
コメント
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