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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日経ビジネスは「米国から三行半」と言うが

2010年05月18日 | 生活随想・趣味
   日経ビジネスが、「米国からの三行半」のタイトルで、危機的な状態にある日米関係について特集している。
   サブタイトルを繋ぐと、普天間の陰にもう一つの危機、広がる日米の距離、細る人脈、将来に不安 と言うことになり、オースリンのJAPAN DISSING(日本切捨て)だとか、三行半と言ったところまでは行かないかなり穏健な記事になっているものの、米国の対日観が変わってしまって、米国人の視野から日本が徐々に消えて行き、日米関係がどんどん希薄になりつつあり、それを危機と捉えている。

   このブログで、知日派知識人のケント・カルダーの見解などを紹介しながら、私自身の抱いている日米関係のありかたなどについて、論じて来たが、まず、第一に憂うべきは、日米間のトップクラスの太い人的パイプが消えてしまったと言うことではなかろうかと思う。
   大河原良雄の「日米外交」を読んでいると、日米イコールパートナーシップを国是とした池田内閣当時、安保騒動で生まれた日米関係の亀裂修復のために開かれた第一回の日米経済閣僚会議(後に日米貿易経済合同委員会)には、日本側から佐藤栄作、河野一郎、大平正芳など7閣僚、アメリカ側からラスク国務長官以下5閣僚が出席したと言う。
   ところが、この日米貿易経済合同委員会も、徐々に後退して行き、今日では、極めて軽量級の会合になってしまっていると言うのである。
   駐日アメリカ大使にしても、ライシャワーやマンスフィールド、モンデール、ベーカーと言った超大物が起用されることは、もはや、夢であろう。

   もっと卑近な例においても、アメリカでは、研究所やシンクタンクなどで日本部や日本担当部門が閉鎖されるなど日本ポストが激減しており、大学などで、日本ないし日本語学科の廃止などが相次いでおり、日本を専門に学ぶ機関や学者たちが、どんどん減っていると言う。知日派が減ると言うことは、それだけ、アメリカ人の日本に対する理解が減少して、日米関係が疎遠になると言うことであろう。
   日本においても、この日経ビジネスでも言及しているが、日本から米国へのMBA留学生が激減しており、科学技術は勿論、医学や芸術関係などでも、同じ傾向となっており、日本人の若者の外国留学減少によって、将来、世界トップクラスとの交流の場が先細ることが憂慮されている。

   先日、ウォートン・スクールの同窓会年次総会に出て、新入学生を送り出したが、ひところの大盛況からは今昔の感で、今年フィラデルフィアへ経つのは、ほんの5~6名のようであった。
   私の頃には、政府、日銀を筆頭に、開銀、大都市銀行、新日鉄などのメーカーなどから10数名が留学しており、その後、JAPAN AS No.1の余得で、日本人留学生が激増して欧米のトップ・ビジネス・スクールの大勢力となっていたし、学校も、日本の経営をカリキュラムに積極的に取り入れていた。
   ウォートン・スクールだけではなく、ペンシルベニア大学は、アメリカ最古の総合大学であるので、医学や工学、芸術、経済や法律など色々の分野から日本の学者や研究者、留学生が、フィラデルフィアに来ていて、学んでいた。
   川島教授もペン大に居られたので、秋篠宮妃紀子さまも、キャンパスを走り回っておられた筈で、どこかでお会いしていたかもしれない。

   私は、幸いに会社の理解もあり、出先がアメリカにもあったので、留学中およびその前後に、結構アメリカ国内を移動する機会に恵まれて、経営学の勉強だけではなく、実地にアメリカ社会に触れて、アメリカそのものを学ぶ機会があった。
   その間に、色々とアメリカ関係の本を読んだりアメリカについても勉強したのだが、好きも嫌いも、やはり、アメリカに直に触れて、アメリカが何たるかと言う例え片鱗であっても、空気を吸って肌で感じない限り、分からないような気がしている。

   結構、これまで、このブログでも、辛口のアメリカ論を展開して来ているが、私自身は、大学院教育を授けてくれた恩もあり、一宿一飯の恩義を感じているのだが、それだけではなく、これまでに、世界中の色々な国を回り、色々な国の人々と付き合って来たのだが、日本が生きて行くためには、そして、日本が、このグローバル世界で名誉ある地位を占めたいと思うのなら、日本は、アメリカと誠心誠意付き合うべきだと思っている。
   日米安保(日米同盟と言う方が良かろう)は、日本の安全保障のためだけではなく、日本が、善良なグローバル・シティズンとして生きるための一つの証でもあるような気がしているのである。
   色々問題も疑問も多いし、極めて危険かも知れないが、民主主義や資本主義経済と同じで、最善ではないかも知れないが、アメリカとの関係を正常に維持できないような日本なら、明日は暗いと思っている。
   
コメント
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