竹中教授の講演での「重税国家への道が開かれた総選挙であった」というコメントについて、考えてみたいと思う。
オバマが、大きな政府か小さな政府かが問題なのではないと言ったが、今回の選挙では、自民党さえそうであったし、まして、民主党政権に変われば、いくらムダの削減を叫んでも、大きな政府に移行することは間違いないと言うことである。
ジェラルド・カーティス教授が、竹森俊平教授との対談で、
「日本の国民がわがままだと思うのは、ヨーロッパ型の福祉国家とアメリカ並みの税負担、この両方を求めていること。そのギャップが財政赤字なんです。どっちか選ばないといけない。」と語っている。
税の負担を少なくしようと思えば、アメリカのように5000万人が健康保険のない社会を取らなければならないし、現在の国民皆保険制度を維持して更に国民の福祉を向上させようと思えば、ヨーロッパ並みに税金を大幅アップする必要があるということである。
民主党は、ムダを削減して、福祉向上のための原資を弾き出して、4年間は、消費税を上げないと大見得を切っているが、多少は、国家財政を組み替えるなど努力して辻褄を合わせても、絶対に二兎を追える筈がないので、増税をせざるを得ないと言うことであろうか。
日本の場合には、膨大な財政赤字を抱えているので、いくら歳入が増加しても、国債の償還とその金利負担で膨大な額が消えてしまっており、可処分歳出と言うか、真水で国政に使える額は非常に少なく、たとえ、プライマリー・バランスをゼロにし得ても、殆ど永遠に、国家のバランス・シートを健全化できないほど、悲惨な状態にある。
竹中教授は、日本国家全体の実質財政赤字に言及し、現実には1000兆円規模であり、この5~6年で、1500兆円をオーバーする可能性が高いと言う。
現実に、毎年、40兆円と言う膨大な額を子供たちから借りている現状に、先の自民党さえ財政再建方針を放棄しており、まして、成長戦略を果敢に打って経済成長を目指す意思のない民主党の経済政策を考えれば、それも、必然であろうとさえ思えてくる。
ところで、この1500兆円と言う数字だが、国民の総貯蓄額に匹敵する。
貯蓄好きの日本人が貯めに貯めた虎の子の貯蓄(今では、貯蓄したくても出来ない)があったればこそ、日本の国債がボツワナ程度の格付けであっても、日本国内で消化され、アメリカのように中国・日本など外国人に依存しなければならないような悲惨さを避け得たのである。
しかし、このチッピングポイント(?)を超えれば、日本経済の構造と位置づけは激変するであろうし、益々、財政再建は遠のいて行く。
さて、財政赤字を解消できるのかと言う根本的な問題だが、歴史的には、借金を返せた例がなく、戦争後のインフレや経済成長などによって、赤字の残高が縮小することによって解決したのだと言う。
ナポレオン戦争後のフランス、第一次世界大戦後のイギリスなどはその例だし、それに、日本だって、第二次世界大戦時の戦時国債は紙くずになってしまった。
しからば、平和で安定した社会では、経済成長を図ることによって国債の残高を比較縮小して解決する以外にはないのだが、成熟・成長停滞国家になってしまった日本では、余程、ドラスティックな経済成長戦略を打たない限り、永遠に、膨大な国債の償還や赤字財政の解決など不可能であるので、絶望的と言ってよい。
結局、一時画策されたと言う新円切り替えで、1万円を8000円に交換するなどと言った借金棒引き、徳政令を実施しない限り、日本の深刻な財政赤字の桎梏から開放されないと言うことである。
増税もしない、経済成長も興味がないと言う民主党の政策だが、コロンブスの卵を発見出来なければ、そんな手品などはないので、危ない橋から転落してしまう。
ところで、私は、成長政策こそが、経済問題を解決する一つの重要な戦略だと考えているが、あくまで、シュンペーター流の成長が主眼である。
リチャード・クーが、バランス・シート不況理論を展開して、日本経済の壊滅的な不況を支えて来たのは、日本政府が膨大な財政出動でサポートした結果であり、世界的なこの大恐慌も、この日本政府の貴重な政策に学んで乗り越えるべきだと言っているが、疑問なしとはしない。
経済にエネルギーを与え自律的成長を誘発できないような財政出動は、支えている間は落ち込まなくても、経済の活力を殺ぎ根底から蝕ませる劇薬のようなもので、
その結果が、日本の財政赤字を立ち直れないほどに悪化させ、今日の日本の国際競争力の劣化を惹起してしまった元凶であると思わざるを得ない。
いずれにしろ、成長か福祉充実の経済か、二兎を同時に追わない限り、民主党のマニフェストの実現は不可能だと思われるので、成長戦略を取らなければ、必然的に、更に増税国家への道を歩まなければならないと言うことであろう。
オバマが、大きな政府か小さな政府かが問題なのではないと言ったが、今回の選挙では、自民党さえそうであったし、まして、民主党政権に変われば、いくらムダの削減を叫んでも、大きな政府に移行することは間違いないと言うことである。
ジェラルド・カーティス教授が、竹森俊平教授との対談で、
「日本の国民がわがままだと思うのは、ヨーロッパ型の福祉国家とアメリカ並みの税負担、この両方を求めていること。そのギャップが財政赤字なんです。どっちか選ばないといけない。」と語っている。
税の負担を少なくしようと思えば、アメリカのように5000万人が健康保険のない社会を取らなければならないし、現在の国民皆保険制度を維持して更に国民の福祉を向上させようと思えば、ヨーロッパ並みに税金を大幅アップする必要があるということである。
民主党は、ムダを削減して、福祉向上のための原資を弾き出して、4年間は、消費税を上げないと大見得を切っているが、多少は、国家財政を組み替えるなど努力して辻褄を合わせても、絶対に二兎を追える筈がないので、増税をせざるを得ないと言うことであろうか。
日本の場合には、膨大な財政赤字を抱えているので、いくら歳入が増加しても、国債の償還とその金利負担で膨大な額が消えてしまっており、可処分歳出と言うか、真水で国政に使える額は非常に少なく、たとえ、プライマリー・バランスをゼロにし得ても、殆ど永遠に、国家のバランス・シートを健全化できないほど、悲惨な状態にある。
竹中教授は、日本国家全体の実質財政赤字に言及し、現実には1000兆円規模であり、この5~6年で、1500兆円をオーバーする可能性が高いと言う。
現実に、毎年、40兆円と言う膨大な額を子供たちから借りている現状に、先の自民党さえ財政再建方針を放棄しており、まして、成長戦略を果敢に打って経済成長を目指す意思のない民主党の経済政策を考えれば、それも、必然であろうとさえ思えてくる。
ところで、この1500兆円と言う数字だが、国民の総貯蓄額に匹敵する。
貯蓄好きの日本人が貯めに貯めた虎の子の貯蓄(今では、貯蓄したくても出来ない)があったればこそ、日本の国債がボツワナ程度の格付けであっても、日本国内で消化され、アメリカのように中国・日本など外国人に依存しなければならないような悲惨さを避け得たのである。
しかし、このチッピングポイント(?)を超えれば、日本経済の構造と位置づけは激変するであろうし、益々、財政再建は遠のいて行く。
さて、財政赤字を解消できるのかと言う根本的な問題だが、歴史的には、借金を返せた例がなく、戦争後のインフレや経済成長などによって、赤字の残高が縮小することによって解決したのだと言う。
ナポレオン戦争後のフランス、第一次世界大戦後のイギリスなどはその例だし、それに、日本だって、第二次世界大戦時の戦時国債は紙くずになってしまった。
しからば、平和で安定した社会では、経済成長を図ることによって国債の残高を比較縮小して解決する以外にはないのだが、成熟・成長停滞国家になってしまった日本では、余程、ドラスティックな経済成長戦略を打たない限り、永遠に、膨大な国債の償還や赤字財政の解決など不可能であるので、絶望的と言ってよい。
結局、一時画策されたと言う新円切り替えで、1万円を8000円に交換するなどと言った借金棒引き、徳政令を実施しない限り、日本の深刻な財政赤字の桎梏から開放されないと言うことである。
増税もしない、経済成長も興味がないと言う民主党の政策だが、コロンブスの卵を発見出来なければ、そんな手品などはないので、危ない橋から転落してしまう。
ところで、私は、成長政策こそが、経済問題を解決する一つの重要な戦略だと考えているが、あくまで、シュンペーター流の成長が主眼である。
リチャード・クーが、バランス・シート不況理論を展開して、日本経済の壊滅的な不況を支えて来たのは、日本政府が膨大な財政出動でサポートした結果であり、世界的なこの大恐慌も、この日本政府の貴重な政策に学んで乗り越えるべきだと言っているが、疑問なしとはしない。
経済にエネルギーを与え自律的成長を誘発できないような財政出動は、支えている間は落ち込まなくても、経済の活力を殺ぎ根底から蝕ませる劇薬のようなもので、
その結果が、日本の財政赤字を立ち直れないほどに悪化させ、今日の日本の国際競争力の劣化を惹起してしまった元凶であると思わざるを得ない。
いずれにしろ、成長か福祉充実の経済か、二兎を同時に追わない限り、民主党のマニフェストの実現は不可能だと思われるので、成長戦略を取らなければ、必然的に、更に増税国家への道を歩まなければならないと言うことであろう。