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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

中国ビジネス成功の決め手は中国人MBA(?)

2006年01月03日 | 経営・ビジネス
   BusinessWeekの電子版を見ていると、面白い記事が載っていた。
   Why Multinationals Need Chinese MBAs と言うボストン・コンサルティングのHarold Sirkin氏のコメントで、多国籍企業にとって経験豊かなローカルの有能な人材の確保が、必須であると言う。

   中国で事業を行っている米系企業の最大の関心事は、有能なローカルの人材の確保。
大抵の中国人の上級管理職は、欧米の経営技術については全くの素人なので、次善の策として、アメリカから人材を呼び寄せるが、これでは、中国事情や中国ビジネスにに疎い人間がトップになるので上手く行かない。
   この問題を解決する為に、最近では、中国においてビジネススクールが出来始めて、独自の中国製MBAが、将来の問題の解決に役立つであろうと言う。
   しかし、これは緊急の問題の解決にはならない。

   中国で一番不足している人材は、中国のビジネスの豊かな経験と欧米流の経営技術を兼ね備えたトップ・エクゼクティブ。
   米系企業に、自社内で、まず、中国でのビジネス経験者で欧米のMBA取得者を探して、有能な人材に教育せよとアドバイスしていると言う。

   しかし、理想は中国人の有能な管理職を育成して経営を任せることである。
   なぜならば、中国のインフラのシステムから、資機材・製品の輸送問題、中国企業との有効なビジネスの遂行等あらゆる問題を含めて、世界の常識や商慣習から全くかけ離れた中国で、ビジネスを上手く行う為には、中国人しか対応できない場合が沢山ある。
   世界各国で、多国籍ビジネスを展開して失敗をし続けているアメリカ企業が、このことを一番良く知っている。

   米系の多国籍企業が、ヨーロッパで事業を行った時には、INSEAD等ヨーロッパのビジネス・スクールのMBAを採用して対応していたが、やはり、ローカルのビジネス・スクールで、欧米流の経営手法なり経営学を学んだローカルのMBAの採用が一番良いと言うことであろうか。

   しかし、中国では、自前の中国人トップが果敢に欧米の多国籍企業と競争して、ローカル企業がマルティナショナル企業への道を突っ走り始めた。
   世界に冠たる商売人の国・中国が、SIRKIN氏の言うのとは、一味違ったエクゼクティブ像を作り出すかも知れない。

   さて、日本の中国で活躍する多国籍企業はどんな対応をするのであろうか。
   比較的近くにあって歴史的な繋がりも強いので、中国を良く知っている心算でいる日本企業が多いようだが、このビジネス感覚が、問題を惹起する可能性が多いのではないであろうか。

   モノ造りについては、唐津氏や橋本氏などは、日本の様な高度な技術を持っていないので、当分は、中国製造業の脅威は起こり得ないとしている。
   しかし、台北の故旧博物院に行けば、中国人の技術力が如何に図抜けて高いかを工芸品の数々を見れば思い知らされるであろう。
   景徳鎮の窯で、炎の色を見ただけで焼く具合が完全に分かると言う職人の話を聞いたが、これは、人智を超えた匠の技である。
   火薬も紙も中国で生まれた。

   日本人は、昔から匠の技に秀でた天性の職人だと思っている人が多いが、これは、主に伝統工芸や伝統技術の場合で言えても、ほんの半世紀前には、MADE IN JAPANと言えば工業製品の粗悪品の代名詞であった事を忘れている。
   今の中国と同じで、瞬く間に、欧米の製品を真似して作るが、品質が悪くて使い物にならなかった。
   現在の工業製品の高品質は、戦後の日本人が、伝統工芸と技術を駆使しながら新しい科学と技術を導入して、血の滲むような努力を重ねた結果編み出したものであることを決して忘れてはならないと思う。

   
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