熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

停電で総ての機能が停止・・・脆弱な近代社会を如何に機能させるか

2005年11月28日 | 政治・経済・社会
   今、庭に紅妙蓮寺のいびつだが紅色の鮮やかな赤い椿が咲いている。
   秋が深くなると比較的早い時期に咲く椿で、この高貴な鮮やかさが好きである。

   ところで、今夜、急に停電して電気関連のものが全て使えなくなってしまった。
   光電話を引いているので当然電話が使えない。不便はしているが、気が進まないので携帯電話をまだ持っていないので、公衆電話に頼らなければならないが、この頃は、困ったことに、公衆電話など街頭には殆どなくなってしまった。それに、0120等無料電話が矢鱈と多くなったのに、公衆電話では使えない。
   結局、仕方なく近所の電話を借りて東電に電話をして修理に来てもらったが、この待つ間の1時間強が実につらい。

   よく考えてみると、大変お世話になっているパソコンが使えない。
   それに、起動するのに電気を使っている機器が大半なので、ガスストーブなど電気と関係のない他のモノまで使えなくなってしまって、何も動きが取れなくなってしまって万事休すである。
   今夜のように暖かい時は良いが、寒い日とか夜になって停電すると全く困ってしまって、妙に電気の有難さを実感することになったのである。

   原因は、エアコンの漏電で、漏電感知のブレーカーが飛んだのである。
   どこかの配線で漏電が起こると緑のブレーカーが飛ぶ。
   チェックする為には、全部のブレーカーを切ってから緑のブレーカーをONにして、一つ一つ切ったブレーカーをONにして行き、緑のブレーカーが飛んだ所が漏電箇所で、それ以外はONにすれば電気は使えると言うことである。
   しかし、素人の私にはその知識さえもないので、すぐ右往左往して専門家に頼ってしまう。
   テレビで地震や台風、津波など天災で困っている世界の人々の生活を毎度のように放映しているが、それを見ていながら、タカが停電くらいで日常の生活が停止してしまった様に感じて慌てる自分が情けないと思った。

   進みすぎたこの文明社会では、自分自身の力や能力は極めて限られてしまって、多くの専門分野の集積の中で生きていて、貴方任せで生きる以外に仕方なくなってしまっている。
   世の中が進めば進むほど、自分自身の生活までが歯車の中に埋没してしまうのである。
   社会の危機管理の欠如を言う前に、まず、自分の危機管理をしっかりしなければならないことを肝に銘じた。

   昨夜NHKのテレビで、白川郷の合掌造りの茅屋根の葺き替え工事を放映していた。
   今でも村中の人々を全員糾合して無料奉仕で作業し葺き替えるのであるが、このような社会だと、みんなの協力の中で自分の位置や働きが見えるし、「世間」と言う重要な日本の社会規範・チェック機能が働いているので生活上の大きな逸脱もないし、不正は起こりえず秩序が保たれていた。

   何を言いたいかと言うと、今回の「姉歯構造計算書偽造事件」即ち「耐震強度偽装事件」である。
   専門家に頼らざるを得なくなった高度に文明化した社会においては、今回のような場合には、「世間」が機能しなくなった以上、如何に資格を持った専門家をコントロールするのか、企業人や役人のモラルをどのようにすれば満足な水準に維持できるのか等々、その経済社会が上手く機能するようなシステムを確立する以外に無いと言うことである。
   悪賢く法の目を掻い潜って儲けたいと思う企業人が居て、それにモラル性にかけるプロが加担して手心を加えて偽装する、それを認可する監督官庁はめくら判を押す。極ありふれた構図である。

   今回の耐震強度偽装事件については、関わった設計士もディベロッパーも建設会社も全て知っていた出来レースで、もし、あの程度のことを知らない気付かないと言うのなら、マンションやホテルを開発なり建設する能力がないのだから即刻店を畳むべきである。その程度の低俗な事件であり、正に、企業倫理、そして、モラルの問題であって、検査システムがどうのこうのと言う以前の次元の低い問題なのである。
   これは、あのカネボウ事件で問題を起こした監査法人と同じで、知らない筈はなく、知らなければ能力がないことを暴露しているのだから免許を取り上げるべきである。
   とにかく、日本の場合は、プロフェッショナルに対する扱い・遇し方もなっていないし、プロの方もプロ意識とモラルが低い。
   (余談ながら、今、何故かベストセラーの大前研一著「ザ・プロフェッショナル」を読むべきかも知れない。)

   別な時にも書いたが、企業側に立って長い間節税等会計指南をしていた監査法人に対して急に検察官や検事になれと言っても無理な話であるが、ウソを重々承知で押し通しているこのような専門家や関係企業の言い分を聞いて反論なり制裁を加えられない、善良な市民が泣き寝入りをしなければならない日本社会とそのシステムが問題なのである。
   早大の上村達男教授が説く如く、日本社会がドンドン米国化し、アメリカ型の経済社会を目指して法体系を整備するのなら、徹底的に悪行を罰する保安官やジョン・ウエインやピストルの完備したアメリカ型の怖いシステムを創るべきであろう。
コメント
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