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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

企業の社会的責任・・・CSRは必須か? (その2)

2005年08月21日 | 経営・ビジネス
   日経ビジネスの記事で私が問題にしたのは、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスへの対応が不十分な企業の引き起こした不祥事ばかりに焦点を当ててCSRをレポートしていることである。
   CSRは、UK政府の考えが正しいかどうかは別にして、最低限度の法的な要求を満足させ、或いは、法の要求を更に超えてモラルの領域まで踏み込んで、より良い経済社会の構築の為に、経済的、社会的、環境的に、会社が行うボランタリーな、即ち自主的に自由裁量によって取るアクションのことを言っているのであって、企業にとって必須の会社統治システムの確立や遵法は当たり前のことだと言うことである。

   日経ビジネスの記事で、雪印について触れている部分で、「食中毒の原因は、停電で脱脂乳が加温放置されたことによる毒素の発生で、厳密な意味で法令違反はない。」「コンプライアンス意識の欠如した典型的な会社だと看做されているが、事実は違う。」と書いている。
   加温放置すれば結果はどうなるか、プロの食品会社にとっては自明の理であり、これを回避するのが雪印の会社統治システムでありコンプライアンスなのであって、これを法令違反と捉えなくて何を法令違反と言うのであろうか。

   英国のCSRページの中で、GOOD CORPORATIONのSTANDARD評価基準が提示されていて、専門機関が、良い会社かどうかを評価する為の基準が示されている。
   従業員、顧客、サプライアーと下請け、コミュニティと環境、株主と他の金融サプライアー、マネジメント・コミットメントの、以上6項目に亘る62の質問項目によって調査されて、その結果を評価して最高のcommendationから、failの5段階にランク付けされる。
   夫々の会社が、夫々のステイクホールダーに対して、如何に社会的責任を果たす為に、会社のシステムを確立して対処しているのかを、評価しているのである。
   最後の「MANEGEMENT COMMITMENT 経営公約」の項では、「STANDARD」及びその精神の完遂はトップマネジメントに全責任がかかっており、全社一丸となって対処すること、そして、総てのステイクホールダーに対して真摯に対応することを、コミットすることを求めているのである。

   なぜ、この評価基準を示したか、と言うのは、日経ビジネスのCSRランキング評価を一応の指標として認めたいが、しかし、根本的にこの評価そのものに疑問があることを示したかったからである。
   日経の評価基準は、CSRへの取り組み度、CSRリポートの充実度、コーポレートガバナンス、税金と雇用の貢献度、業績及び財務、と5項目で点数評価している。

   沢山あるが、一つだけ疑問を呈すれば、コーポレートガバナンスの項目。
   アメリカ型の委員会制の統治制度を採っているほど良しとしているが、本当に、アメリカ型のコーポレートガバナンスが、CSRにとって、良いことなのであろうか。
   ガルブレイス先生を引きあいに出すまでもなく、このシステムは、経営者にとって都合の良い仲良しクラブの馴れ合いクローニー取締役会制度を醸成していて、時代遅れで機能していないとアメリカの多くの識者が認めている。
   米国で問題提起が出始めた頃になって、日本では、アメリカ型に大きく傾斜した商法に改正したのであるが、何時まで持つであろうか。
   いみじくも、8月16日の日経が、この3年間で、委員会等設置会社に変わった会社が、夫々「時価総額が2.8%減、収益伸び率が平均下回る」、と在来型の会社と比べてその業績が悪いことを報じているが、これは偶然であろうか。
   
   もう一つ言えば、CSRレポートのこと。
   上位にランクされている企業は、実に素晴らしいレポートを発行している。実に美しくて立派な冊子だが、正直な所、中身は読んでも良く分かれない。
監査法人が評価したと言うが、監査法人に評価させることが適切なのかどうか、また、当該監査法人に、会社の社会的責任を評価するだけのそれだけの高い識見を持った見識と能力があるのかどうか。
   綴り方教室になっていないことを祈るのみ。

   日経レポートに時間を取られて、CSRについて触れられなくなったが、次に続けたい。

   
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