十分間俳句

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水原秋桜子の「俳句のつくり方」

2008-09-24 | ジュニア俳句

水原秋桜子の「俳句のつくり方」という本がある。
実は、芭蕉稲荷を維持されているIさんに以前いただいた本のうちの一冊だ。
昭和35年の発行である。
この本の基になるものが書かれたのは昭和23年というから60年前の著作だ。


面白いのは、例えば「小林一茶」に対する評価である。
秋桜子は、一茶の句は、「・・・品格が低くて下らないものが多いのですが、あの不遇のためにすねた心で詠んだ句が、どういうわけか時には面白いと思われる場合があると見えまして・・・」と言い、こんなものはまねしてはいけないと諫めている。


「俳句は、季節感を主として、定型を守り、東洋の全ての芸術の如く、対象を直裁簡明に描き出すべきものであります。」


作句に当たっての「注意六条」を挙げている。


1、詩因を大切にすべきこと


詩因とは、「これを詠んでみたいと思った題材」のことで、俳句のよしあしは、この詩因によって決まってしまうといってもよいと言う。


「詩因」とは、10分間俳句で言う「俳句の種」のことだ。


よい「詩因」を探し当てるにはどうするか。それは、本当に美しいと見たものを詠む、あるいは、本当に心を打たれたことを詠む 態度をくずさぬことだと秋桜子は言う。


2、一句に詠み得べき分量をきめること


ここで、常に念頭に置くべきは、「一作一中心」ということで、一つの句の中には必ず中心があり、それはただ一つでなければいけないということである。


3、省略を巧みにすること


4、配合に注意すること


配合が美しいかどうか調べで詠まないといけない。


5、用語は現代語


用語は現代の文語と決めておいてよい。


6、叮嚀に詠むこと


作者たらんと志す人は、はじめから入念に詠む癖をつけるべきです。凡作を百詠んだところで、得るものは何もないわけですから、一つ一つ佳作をと念じて詠むべきです。


「多作多捨」を提唱する人も多いが、秋桜子は、その方法は良くないという。


続けて、秋桜子は、避けるべきこと八条を書いている。


1、無季の句は詠まぬこと
2、無意味の季語重複をせぬこと
3、空想句は詠まぬこと
4、や、かなを併用せぬこと
5、字あまりにせぬこと
6、感動を露骨に現さぬこと
7、感動を誇張せぬこと
8、模倣をせぬこと


このことは、子どもを指導する際にも心がけるべきことと感じた。


うれしい、さびしい、おもしろい、など直接に感動を表すのではなく、それをものの描写を通して表す表現力を育てることなど、繋がっている問題と思う。


空想句を詠まぬことについて、秋桜子は次のように言っている。
・感動・感激が希薄で、表現に際しても力が入らない
・空想句は、途中で内容を自由に変えられるから、全然最初と意図の違う句ができることがある。こういう作句癖がつくと、真面目に材料を観察し、これを丹念に写そうという気持ちが失われてしまう。空想句を詠むのは、自分で自分の芸を落としていくものである。


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