俳句の総合月刊誌と言えば、角川学芸出版から発行されている「俳句」それに文学の森社から発行されている「俳句界」であろう。俳句界は、7月号で、子ども俳句を特集していた。これについての論評を書く方が先かもしれないが、今回は、「俳句」について採り上げたい。
特集は、「平成の名句600」という企画である。
この企画は、俳人20人が30句ずつ「平成の名句」を選ぶというものだ。
読んで気がついたことは、「平成の句」と言ったときのイメージがかなり重なっているということだ。選ばれている俳人、句もかなり重複している。評判になった句がすくないということかもしれないし、評価が定着してると見ることも出来る。
また、女性俳人が目立つということだ。しかも、そこに新しさがあるように感じる。
例えば次のような句だ。
初夢のなかをどんなに走つたやら 飯島晴子
春は曙そろそろ帰つてくれないか 櫂未知子
人類の旬の土偶のおっぱいよ 池田澄子
水の地球すこしはなれて春の月 正木ゆう子
死に未来あればこそ死ぬ百日紅 宇多喜代子
男の俳人で多く取り上げられているのは、
おおかみに螢が一つ付いていた 金子兜太
空へゆく階段のなし稲の花 田中裕明
車にも仰臥という死春の月 高野ムツオ
高野の句は、震災句として多く採り上げられている。
加藤楸邨もとりあげられているのだが、それが決まって
師走自問すだからどうしろと言ひたいのだ 加藤楸邨
なのである。ある意味、これが時代の空気なのかもしれない。