医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

パーキンソン病とコエンザイムQ10の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-24 18:33:01 | 健康・病気

難敵パーキンソン病については、原因は解明しつつありますが、予防・治療法については、はっきり有効性のある薬剤はありません。しかし、いろんな研究により、コ―エンザイムQ10(Q10)が、可能性があるのではないかと、期待されています。

Rush大学の研究者らは、初期のパーキンソン病に対し、その病気の進行を遅くする化合物を確定するため、Q10のフェーズ2の臨床試行を計画しています。その試行は、1,200mg/日のQ10を16ケ月にわたって摂取してもらい、患者の毎日の生活活動ができる能力と運動機能の低下を減らすことを明らかにした発見の、初期の研究となることと、思います。研究者らは、米国やカナダの60ケ所の研究センターで、パーキンソン病患者に16ケ月にわたって投与するため、ビタミンEを含む12,00mg/日と2,400mg/日のQ10を水溶性チアブルの形で摂取してもらい、試験する予定です。被験者らは、震顫、手足と体幹の硬直、筋肉運動の協同とバランス、動きの速さ、日々の活動を行う能力、生活の質、それに医療を受ける必要性などを評価されます。

パーキンソン病は、エネルギーを産生する細胞小器官であるミトコンドリアに損傷を受けています。Q10は抗酸化作用に加えて、ミトコンドリアのエネルギー産生に関係しています。それゆえ、体内のQ10を増やすことは、ミトコンドリアの機能の改善に有益です。パーキンソン病の研究では、その患者のQ10値の低いことがわかりました。実験室の研究では、パーキンソン病により、ダメージを受けた脳の部位でのQ10の保護作用を示しました。従って、ヒトのパーキンソン病に対してもQ10は有益な可能性が考えられます。副作用も少ない体内に存在する物質なので、試してみる価値はあります。これからは、これに関していろいろ研究が発表されることと思います。

Reference

Coenzyme Q10 trial planned: LifeExtension. September 23,2009

 

 

 


野菜・果物のカリウムと寿命の延長について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-24 11:50:26 | 健康・病気

日本人の野菜・果物の摂取の減少が生活習慣病の蔓延と少なからず関係があります。野菜、果物、豆、イモなどにはカリウムが多く含めれており、健康に貢献しています。しかし、近年、加工食品の摂取が増えるに従って、その摂取量が減少しています。加工の段階で、ビタミンや必須ミネラルなどが捨てられるのが原因です。ここでは、そのカリウムの効果について考えていきたいと、思います。

ハーバード大学のQanhe Yanng博士らの研究によると、摂取食物のナトリウム対カリウム比を低くすることは(カリウムを多くして、ナトリウムを少なくする)、いかなる理由によらず、14.8年(中央値)、死亡のリスクが減少することと関係しています。

博士の研究によると、登録した12,267名の成人から、あらゆる原因と心臓血管系・虚血性心疾患による死亡率のコホ―ト研究のデータを調べました。2,270名が死亡し、そのうち825名が心臓血管系疾患で死亡し、433名が虚血性心臓病で死亡しました。

ナトリウム(塩分)の高摂取グループでは、追跡調査を実施して、調整した死亡リスクが20%ほど高いが、カリウムの高摂取グループでは、調整した死亡リスクが20%ほど低い値でした。ナトリウム対カリウム比が最高の、被験者の上位25%の人々は、その比が最低の人々と比較して、いろんな理由や心臓血管系の疾患による死亡リスクが、もっと高く46%であり、虚血性心臓病による死亡リスクが2倍より高い値でした。

重要な問題点は、食物由来のカリウム、もしくはカリウムのサプリメントが、伝統的食事源からの摂取と同じ効果があるかどうか、です。カリウムのサプリメントは多くの人に有益であることが証明されているけれども、野菜や果物からの摂取に比べて、摂取量を多くすれば、腎障害や心臓障害などを有する人は危険を伴います。よって、サプリメントで摂取する場合、専門家に相談して下さい。また、健康な人では、塩分を減らし、野菜や果物の摂取を増やすことが重要です。
一般の人々は、カリウムのサプリメントより野菜・いも・豆・果物などからのカリウムの摂取が安全で、他の栄養素などとの協働作用により、より効果を高められると、考えられます。なお、腎障害の人は、カリウムのサプリメントは禁忌ですが、野菜などからの摂取は安全と、報告されています。

References

Quanhe Yang, et al: Archives of Internal Medicine. July 11,2011

More potassium , less sodium linked with fewer deaths over more than a decade: lifeExtension.Juiy 13,2011

 


LDLコレステロール・中性脂肪対策と緑茶の効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-23 16:29:09 | 健康・病気

心臓血管系疾患対策として、コレステロ―ル値の改善はかかせません。管理栄養士の食事指導でかなり改善してきましたが、日々の食事を食事療法に従って実行することは、時間の面や手間の面で大変なようです。その中で、中性脂肪値は食事の改善で下がりやすいが、LDLコレステロール値は、加工食品や高カロリー飲料を減らさないとなかなか下がりません。ここに、食事療法に加え、緑茶を日々良く飲むことにより、LDLコレステロール値や中性脂肪値が下がった(改善)という、研究を紹介します。なお、更に多くのデータの集積が必要ですが、参考になると、考えます。

the American Journal of Clinical Nutrition(June 29,2011)誌に載った研究報告によると、メタ分析による結果では、緑茶を飲むことによる心臓血管系への利点の、より多くの証拠が有ります。

研究者らは、血清脂質に及ぼす緑茶飲料、もしくはその抽出物の作用を評価した14件の対照群を伴う試験を再調査しました。1,136名の男女の対象者では、緑茶の喫飲は、心臓血管系のリスクが有る無しにかかわらず被験者では、血清中性脂肪値だけでなく、血清LDLコレステロール値(LDL)の低下を伴っていたけれども、HDLコレステロール値(HDL)には影響を及ぼさないようでした。緑茶を日々愛飲している男女は、LDLの2.19mg/dlと中性脂肪の7.2mg/dlの平均した低下を経験しました。

コレステロールの吸収阻害は、コレステロールの合成に及ぼす直接的阻害作用の可能性に加えて、血清コレステロール値の低下での緑茶カテキンの一次的メカニズムです。緑茶の作用は抗コレステロール薬のスタチンの作用によく似ています。その作用はコレステロールの合成を減少させ、LDL受容体を増やし、循環系からLDLコレステロールを除くのに有益です。

これらの結果から、緑茶は心臓血管系の健康を改善するために、人々の健康対策の一つとして食事プログラムに加えられる可能性が有ります。米国人は食事の基本的な部分で、高カロリー飲料もしくは高カロリーアルコール飲料を良く摂取しています。ただし、米国人の20%は緑茶を飲んでいます。日本人も近年、米国の傾向とよく似てきています。従って、LDLコレステロール値と中性脂肪値に問題が有る人が増えています。日本国の古き良き習慣である、緑茶を良く飲む習慣を復活させることが、喫緊の課題となっています。

References

the American Journal of Clinical Nutrition: June 29,2011

Meta-analysis associates green tea consumption with lower choresterol: LifeExtension.July20, 2011

 


ビタミンCで糖尿病によるダメージ(合併症)をストップさせよう 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-18 12:50:46 | 健康・病気

ビタミンCの血中濃度が高いことは野菜と果物の摂取を多くしている結果で、それに伴いビタミンCだけでなく、いろんなポリフェノールやカリウムイオンの摂取が多くなっています。そして、それらの相乗作用や協働作用により、糖尿病によるダメージである合併症を防いでいると、考えられます。したがって、血中ビタミンC濃度から野菜と果物などの摂取状況が推測されます。

ところで、Ihmat博士によると、インスリンと他の多くの抗糖尿病薬は、血糖コントロールのため、長年、使用されてきました。しかし、イタリアとハンガリーの科学者による研究では、血糖がコントロールされている時でさえ、体にダメージを与え続けさせる記憶(メモリー)が残ります。還元型ビタミンCのような抗酸化栄養素を摂取することにより、体にダメージを与え続けさせる細胞での記憶は消え、細胞の機能と酸化ストレスは正常化します。

糖尿病によるダメージは、血管内皮の機能障害に伴って起こります。Ihnat博士は、ビタミンCをテストし、糖尿病によるダメージに対する効果が真実であることを証明しました。このことは、糖尿病患者がグルコースをコントロールするだけでは十分でないことを意味しています。そして、グルコースのコントロールと併用して抗酸化栄養素を摂取する治療法は、更に糖尿病患者に有益で、合併症の発症を防ぎます。また、糖尿病治療食に野菜やマメなどが多いのもこの研究から、納得がいきます。

そして、管理栄養士(clinical nutritionist)の指導のもとに食事療法を実践し、補助的に抗酸化栄養素を摂取するのが賢明ですが、ビタミン・ミネラル栄養学などの幅広い知識やバックグランドを有する専門家に相談するのが、一案です。

ところで、ハーバード大学のQi Sun博士の研究によると、果物の摂取は、ジュースの形でなく、そのまま食べた場合、糖尿病の発症リスクがブルベリーでは最大26%低かったという、報告が有ります。他に、ブド―、リンゴ、プル―ン、梨、バナナ、グレープフルーツでも糖尿病リスク軽減作用が報告されています。その他の果物にも糖尿病発症リスクの軽減作用が有ると考えられますが、早急の研究を期待しています。ビタミンCやいろんなポリフェノール、カリウム、ペクチンなどがこの軽減作用に関係していると、考えられます。そして、ビタミンCの血中濃度はその指標と考えています。なお、ジュースの形で摂取すると、そうでない人に比べて、糖尿病の発症リスクが21%ほど高かったという、研究があります。また、日本国では、管理栄養士が糖尿病患者の果物の摂取を控えるよう栄養指導しているところがありますが、この研究からそのまま食べる分には問題はなく、ジュースの形での摂取を控えるよう栄養指導するのが、賢明と考えます。いろんな発見で栄養指導も、これからは変わっていきます。

References

Qi Sun: British Medical Journal

Stopping Diabetes Damage With VitaminC: ScienceDaily, June 10, 2009

University of Oklahoma, via EurekAlert, a service of AAAS

 

 


ビタミンCで糖尿病による合併症をストップさせよう  その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-17 22:48:20 | 健康・病気

糖尿病の合併症に対する還元型ビタミンCの効果については、Stone博士を始め数多くの研究者が報告しています。新しいところでは、the Harold Hamm Oklahoma Diabetes CenterのMichael Ihnat博士らは、一型糖尿病によるダメージをインスリンとビタミンC(酸化型でない)を併用してストップさせる方法を発見しました。

博士らによると、インスリン療法とビタミンC療法のどちらも一型糖尿病の場合、単独で用いられると望ましい結果をもたらさないが、インスリンは血糖値をコントロールするためビタミンCと併用して、血糖コントロールがうまくいっていない糖尿病患者で生じた血管のダメージを、ストップさせました。

博士らは、研究モデルでこの理論を検証しましたが、これは、人々で治療法の効果を示した最初でした。彼らは現在、ニ型糖尿病患者でビタミンCとインスリン併用療法を研究しています。なお、ニ型は一型に比べて、膵臓のランゲルハンス島の機能が残っている場合が多いので、この併用療法は有益だと、当方は考えています。

Ihnat博士とWarwick大学のAntonio Ceriello博士らが実施している研究の最終ゴールは、糖尿病による血管のダメージをストップさせる方法を、発見することです。一般的には、血管内皮の機能障害として知られているダメージは、高血圧、冠状動脈疾患、慢性心不全、末梢血管障害、糖尿病性慢性腎不全などの、ほとんどの形態の心臓血管病と関係しています。

このダメージを減少させたり、ストップさせることにより糖尿病患者は、心臓病、循環不全、足の切断、腎臓病、それに失明をもたらす糖尿病性網膜症など、痛みや致命的な結果のいくらかを避けることができます。そのために、ビタミンCは有効な武器となる可能性が、Ihnat博士らの研究で判明しました。また、当方でも、長年、ビタミンCの血中濃度を高めている糖尿病患者は、合併症を起こしにくいことを確認しています。

References

Stopping Diabetes Damage With VitaminC: ScienceDaily, June 10,2009

Michael Ihnat ,et al: University of Oklahoma, via EurekAler, a service of AAAS