医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

悪性リンパ腫に対するビタミンC点滴療法の臨床症例について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-29 23:58:57 | 健康・病気

キャメロン医師とポーリング博士の共同研究は、ベイル オブ リーベン病院での臨床研究が主でしたが、スコットランドのヘアーマイレス病院でも綱状細胞肉腫の治療にビタミンC点滴療法を実施し、寛解が認められ症例が有りましたので、そのポイントについて考えていきたいと、思います。

綱状細胞腫の症例A
42歳の男性で右胸間筋肉痛、夜間の寝汗、感覚麻痺が強く、また著しい体重減少などが4ケ月続き、1973年10月にヘアーマイレス病院へ来院、さかのぼること1973年6月には、上記症状により医師の診断を受け、胸部X線写真、血液検査などを行っていました。それは右腋窩リンパ腺疾患を伴った、重度の頸部リンパ腺疾患で、たやすく発見できる肝肥大と巨脾症でありました。また、肺部X腺写真では右肋膜浸出液のため、中隔膜の拡大を認めました。1973年10月28日の右頸部腺の生検では、多数の綱状細胞腫を伴った悪性リンパ腫の綱状細胞腫と診断されました。緩和な放射線治療を実施し、続いてビタミンC大量点滴療法を1973年10月28日に開始しました。最初、10g/日のビタミンC点滴を10日間続け、その後、10g/日を経口投与しました。すると、きわめて劇的な反応を示しました。1973年11月4日頃には脾臓は触知できず、肝臓はやっと触知できました。さらに、頸部リンパ腺腫と腋窩リンパ腺腫は急速に退縮していました。
頸部リンパ生検を1973年11月8日に実施し、綱状細胞のみが優位でない増殖として報告しています。ビタミンC療法を開始して後、70日まで順調な臨症状の改善が見られました。ビタミンCの摂取は続く数ケ月、徐々に減らしました。その4週後の1974年5月までは胸部X線写真は、悪性反応でした。その後、1ケ月間ビタミンCの摂取を中止すると、疲労感と咳におそわれ、X線写真では、ガンが再発しかけていました。再びビタミンCの摂取を開始し、1974年9月には次第によくなり、その11月にはX線像、臨床像とも正常に回復しました。

この症例は、初期の臨床例ですが、現在は、ビタミンC点滴療法は50g~100g/日を毎日、もしくは週2回ほど点滴し、併用サプリメントとして、アルファ―リポ酸、補酵素Q10,ビタミンD3、それにセレン、その他の抗酸化栄養素を加え、食事の改善指導と相成って進化しています。そして、米国、カナダ、ニュージランド、ドイツ、日本、イギリス、その他の国々で急速に広まりつつあります。なお、この症例は、先駆けとなった臨床例で大変意義があり、信頼できるものです。

References

H.L.Newbold: VitaminC against Cancer. Stein and Day/ Publishers .September,1979

Ewan Cameron, Allen Campbell, et al: chemico Biological Interactions. Vol 11, 387~393, 1975