医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

食物繊維摂取と乳がん発症リスクの減少について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-25 14:05:38 | 健康・病気

乳がんについては、遺伝子の変異が原因との研究も有り、確かに、兄弟・姉妹に乳がんを始め、ガンの発症が偏在する家系があることが報告されています。しかし、抗酸化栄養素の多めの摂取やガン予防の食事療法で、ある程度、予防できるのではないかと、考えています。ここでは、食物繊維の摂取を増やすことにより、乳がんの発症リスクを減らせるのではないかと考え、話を進めていきます。

American Journal of Clinical Nutrition(July 20,2011)誌によると、メタ分析の結果では、乳がんのリスクに対して、食物繊維(野菜、豆、イモ、海草、果物などに多く含まれる栄養素)の摂取を増やすと、乳がんになるリスクを減らせることが明らかになりました。もちろん、抗酸化栄養素の摂取を増やすことも重要と考えますが、今回は抗酸化栄養素は考慮されていませんでした。

この臨床栄養学誌に載った研究者らによると、712,195名の婦人が乳がんの研究に参加しました。食物繊維の摂取状況は、参加者への質問票への回答から判断されました。追跡期間は、4.3年から18年に及び、その期間中に16,848名が乳がんと診断されました。

分析した10件の研究の内8件では、食物繊維を多く摂取する人は乳がんの発症リスクが低いことが判明しました。被験者の食物繊維の摂取状況は、摂取量がもっとも少ない被験者(20%)に比べて、食物繊維の摂取がもっとも多い被験者(20%)では、乳がんの発症リスクがもっと低く、平均して11%でした。毎日食物線維を10g摂取する人では、乳がんの発症リスクが7%程減少しました。追跡期間、もしくは更年期症状は、乳がんと、分析による食物線維量との関係には影響を及ぼさないようでした。

食物線維の乳がん予防効果の可能性は、その対照とインスリン抵抗性、インスリン様成長因子などに加えて、排泄物中のホルモン量の増加により、循環エストロゲン濃度の減少を勘案しています。そして、これらの事が、乳がんの予防と関連があります。これらの事実は、他のガンの予防にも応用できると考えますが、これからは、エビデンスの集積が必要です。なお、食生活では、動物性脂肪や砂糖の摂取量を減らし、薄味の和食を食べるように生活習慣を変えることが必要と、考えられます。もちろん、野菜、豆、イモ、果物、それに海草などを多めに摂取することも必須です。

References

Li-Quiang Qin,et al: the American Journal of Clinical Nutrition, July 20,2011

Meta-analysis  associates increased fiber intake associated with breast cancer risk reduction: LifeExtension,July 25,2011

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