医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

高血圧対策と血中ビタミンC濃度について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-16 21:42:08 | 健康・病気

野菜や果物を頻繁に摂取しているヒトは、ビタミンCの血中濃度が高く、高血圧の人が少ないという研究報告が多く報告されています。当方でも、長年ビタミンCの粉末1g/日を摂取している少数の人の血圧を調べて、高血圧は認められないという結果を得ました。もちろん、野菜と果物の摂取量も多いようです。なお、還元型ビタミンCの血中濃度は調べておりません。また、これらの事象は単純ではないと思いますが、今回は、これらについて考えていきたいと、思います。

Hypertension誌によれば、血中ビタミンC値の上昇と高血圧のリスクの減少の間には、関連があることがわかりました。

英国の研究者は、1993年から1997年の間に、40歳から70歳の男女20,926名からのデータを調査しました。血圧、血漿ビタミンC値、それにその他の因子は、参加者の最初の来院時に測定されました。質問表への返答は、臨床症状、抗高血圧薬とサプリメントからのビタミンC摂取などの情報を提供してくれました。

参加者で血圧が高い上位25%の人々にとって、高血圧(収縮期血圧140mmHg)を有するリスクの調整では、血圧が最も低い下位4番目の人々より、血漿ビタミンC値が更に22%程低い値でした。ビタミンCサプリメントもしくは抗高血圧薬を内服している被験者は除外しました。それぞれ血漿ビタミンC値の20μmol/Lの上昇は、毎日の野菜と果物の追加による摂取から得られ、収縮期血圧の0.9mmHgの低下と結び付いていました。

Phyo K. Myint博士らの観察によると、ビタミンCは抗酸化栄養素で、酸化ストレスは高血圧において主たる役割を演じます。また、一酸化窒素(nitric oxide)の生物活性を高めることにより、血管拡張剤として作用します。

血漿ビタミンC濃度と血圧の間で述べられた野菜と果物の消費の間の結び付きの重要性は注目に値し、高血圧の主なリスク因子による影響を受けません。更に、食事のライフスタイルと
血圧の間の結び付きを理解するため、野菜や果物の摂取量だけでなく、それらの種類と品質を考慮した研究が、今後必要です。野菜や果物では種類によって、抗高血圧作用に差が有り、また、上質の土壌で栽培された野菜と果物は、そうでない土壌で栽培された野菜と果物と、効果に於いて差が出ます。さらに、野菜の場合は、料理の仕方でも効果に差が出ます。果物もそのまま食べるか、ジュースの形で摂取するかで効果に差が出ます。抗生物質など薬剤と違って、野菜や果物の効果は同じ土俵で論じるのは適切でありません。野菜と果物には大変複雑な因子が多すぎます。しかし、血中ビタミンCの高値が血圧の低下をもたらすことは注目に値します。

References

Phyo K.Myint: Hypertension. July 18, 2011

Higher vitaminC levels linked with lower blood pressure: LifeExtension. July 27, 2011