医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

脳の発育とビタミンCの必要性について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-02 12:50:16 | 健康・病気

ビタミンCと神経機能・精神機能の関係については、Pauling博士、Hoffer博士、それにStone博士などが意欲的に研究し、かなり解明されています。今回は、更に新しい研究を紹介し、神経機能・精神機能に対するビタミンCの役割の重要性を考えていきたいと、思います。

結論から言うと、ビタミンCは脳の発育に必要です。コペンハ―ゲン大学の研究によると、ビタミンCの摂取が不十分な妊婦は、精神の発達を損なった赤ちゃんを産むリスクが有ることが、示唆されています。

Jens Lykkesfeldt博士らは、生後6日から7日のモルモットに2ケ月間、十分量のビタミンCもしくは不十分のビタミンCを含む食餌を与えました。モルモットはヒトと同様、自身でビタミンCを産生できません。投与期間の終わりに不十分量ビタミンCを投与したモルモットの脳は、十分量のビタミンC投与モルモットに比べて、海馬領域の神経細胞が30%までしかなく、また、十分量のビタミンCを投与したモルモットの脳に比べて、空間的記憶力(spatial memory)が著しく悪化していました。

このデータは、赤ちゃんの生後初期におけるビタミンC欠乏がモルモットの神経の発育の障害と空間的記憶力の機能の減少をもたらすことを、示しています。一般に認められていない、ビタミンCの欠乏によるこの作用は、ビタミンCが欠乏した母親から生まれた子供では、高いリスクがある、臨床的な影響を有する可能性があります。

新生児の脳は、ビタミンCの少しの欠乏でさえ傷つきやすい可能性があります。マウスの胎児を用いた研究では、ビタミンCを運べないマウスは早産の赤ちゃんと良く似た脳の障害を発現しました。

胎児や赤ちゃんの時に十分量のビタミンCを摂取しなかったので、子供はその障害に気づくようになります。このビタミンCの欠乏は、新鮮な野菜や果物、サプリメントでたやすく摂取できます。なお、野菜や果物が古くなりますと、還元型ビタミンCが減り、酸化型ビタミンCが増えるので、新鮮な物を食べてください。なお、当方の少数調査でも、ビタミンCを多く摂取している人は精神機能が良好な傾向が見られます。また、ガンの寛解のためにビタミンC点滴療法を実施している開業医が、日本国では1,000名弱いますが、ビタミンC点滴療法を実施したフェイズ1~2のガン患者では、欝などの精神症状の改善などquality of lifeなどの改善効果が認められるようです。最後に、この研究の追試が行われることを期待しています。

References

VitaminC needed for brain development: Life Extension,September 4,2009

藤井毅彦:ガンを予防し、治すビタミンC療法、日本ビタミンC研究会、1981年

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスblog.goo.ne.jp/h35p39でアップロードしています。