H's monologue

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Pemberton徴候

2019-07-11 | 身体診察

 

少し前のことですが,例によってN先生から電話。「先生!また興味深い所見の患者さんがいます!一緒に診てもらえます?」

甲状腺機能亢進症の若い女性の患者さん。比較的典型的な症状があり,発汗,頻脈,甲状腺腫,手指振戦もある。真横からみると甲状腺腫大がある。甲状腺の上に聴診器をあてると血管雑音が聴こえました。収縮期だけでなく,拡張期にも雑音がちゃんと聴こえました。アキレス腱反射は明らかに速い(Brisk ankle jerk)。

N先生がちょっと興奮して,「先生,あれやってみたら・・・所見あるんですよ〜!」と。

両上肢を挙上してもらうと,見ている間に明らかな顔面潮紅が出現しました。患者さんは,そのとき「変な感じ,不快感」を自覚するとのこと。上肢を下ろすとすぐに元に戻ります。かの有名な「Pemberton徴候」でした。

話にはよく聞くし,有名ではありますが実際に目にしたのは初めてでした。

 

<Pembeton徴候> サパイラによれば

両上肢の挙上して,耳に当てる。検査は3分間続けて,無症候であればPemberton徴候陰性,その間に陽性になった場合はそこで中止する。耳閉感や浮遊感,のぼせ感,頭の「変な感じ」を患者が感じた場合は陽性。陽性の場合,顔色が悪くなることもある。

胸郭の入り口が挙上した際に,胸骨後面にある腫大した甲状腺が蓋をして詰まり,頸静脈を圧迫するためい出現するとされます。胸郭入口部の閉塞や上大静脈症候群でもみられるそうです。

 

この患者さんでは,3分待たずにしばらく見ている間に,顔面の紅潮があり自覚的にも「変な感じ」を訴えたので明らかな陽性でした。しかも上肢を下ろすとすぐに顔面の色はもとに戻りました。

 

(患者さんの顔写真はさすがに出せないので,以前下田の土産物屋で買ったニャンコの焼き物にご登場願いました)

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