大学時代の同級生であり,かつての同僚,そして尊敬する友人でもあるA先生が,留学先で指導医の先生に言われた言葉としてかつて教えてくれたこと。
「忙しいレジデント達の指導する立場となった医師の態度として,もっとも大切なことは何か?」
忙しく,大変な思いをしている彼らにとって,もっとも大切なことは,苦しんで大変なとき「まさにその時,そこにいてやること(Be there.)である」と。自分たちは放って置かれているわけではない,と常に感じさせてやらなければならない。
この言葉には,いたく感心させられ心に刻んでおこうと思った。(実際にそれを実行することは,とても大変なことで,自分自身もなかなかできていないことではあるけれど・・・)
米国のある大学の感染症専門医に,教えてもらった言葉。
病歴をとるときに重要なことは,患者さんも実は忘れていることが多いということである。感染症の診療では病歴からの情報が診断の鍵になることも多い。その大事な情報も患者さんが忘れていることもしばしばある。毎日回診で同じことを繰り返し訊ねることによって,患者さん自身が忘れていたことを思い出すことがある。
「何か大きな病気を以前なさったことはありませんか?」
「いいえ・・(キッパリ)」
診察時に腹部を見ると,タテに一本大きな手術痕。
これもよく経験する。人間とは忘れる生き物である。
「同じことを聞き方を変えて3回聞きなさい。」
なかなか含蓄のある役に立つ pearl ではある。