H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

メディカルコントロール

2010-11-30 | 日記

「病院前救護体制における指導医等研修」という講習会のため神戸で3日間過した。これはメディカルコントロールに関する講習会である。

「メディカルコントロール」とは,救急現場から医療機関へ搬送されるまでの間において,救命救急士等に医行為の医師が委ねられる場合,医行為を医師が指示または指導・助言並びに検証してそれらの医行為の質を保証することを意味する
(平成12年 病院前救護体制のあり方に関する検討会報告書)

全国から60名集まった参加者のほとんどは救命救急センターや救急部所属の先生達ばかりである。自分のような中規模病院の内科医は少なかった。参加した理由は,当院でもメディカルコントロールに協力してきたのだが,自分は恥ずかしいことにちゃんと理解できていなかった。このため一度ちゃんと理解しようと,参加は選抜制で難しいと聞いていたのだが申し込んだところ幸い許可されたのである。
講習会に参加して,全体を俯瞰することもできとても参考になったが,同時に責任が重大だなあとも痛感。

いろいろあった講義の中で目からウロコだったのは,「救急医療システムの関係法規」という,法律に関する内容の講義だった。

最初に法規の構造という説明があった。法規とは「社会規範のうち国家権力によって遵守を強制されるもので,文字でかかれたものである」 なるほど~。
これらには4種類あり上からピラミッド構造になっている。
  1)憲法
  2)法律・・・国会が制定して,国会でしか改正できない
  3)命令(政令,省令)・・・省庁レベル
  4)告示
このうちの上位3つを法源といって,裁判官が判断の基準につかうのはここまで。

例えばよく耳にする厚労省からの「通達」というのは,4番目の告示に入るそうである。通達というのは,行政庁から行政庁向けにだされるもので,あくまでもその行政庁の「見解」でしかないとのことである。(裁判所が通達をもとに判断することはない)しかし,時に通達が,法と異なる解釈がされて問題になることがあるそうである(たとえば公害認定とかAIDSに関する認定とか)。う~ん,これは知らなかった。
去年のインフル騒ぎなどで,イヤになるほど通達と称する紙が役所からFAXされてきたが,これはこのレベルの話だったわけね。知っている人には常識なのかもしれないが,自分は恥ずかしながらまったく知らなかったので,ほ~っ!という驚きであった。

しかも,ここ最近,救命救急士の業務拡大(気管内挿管,薬物投与,最近ではエピペンの使用など)が行われてきたが,これらはすべて通達レベルで,ときには「こっそりと」変えられてきたこともあるという。講義をされた先生は,やはりこのあたりでちゃんと「法」の整備が必要だとおっしゃっていたが,なるほど我々も知っておくべきだと思った。

これ以外にも,非常に多くのことを学ぶことができたが,さすがに3日間の講習は疲れた・・・


美しい街路樹  K-7, FA 77mm F1.8 Limited [F3.5 1/500 ISO100]
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第11回大船GIMカンファレンス

2010-11-27 | 臨床研修

第11回大船GIMカンファレンス

無事終了。事前登録参加数が40名,実際の参加者は62名でほぼいつも通り。
遠くからの参加の皆さん感謝!!。今回もまたとても勉強になった。

司会の不手際で1例目に時間をかけすぎてしまったのが自分としては反省点だったが,
対照的な2例で活発なdiscussionが行われた。

<以下,症例の覚書き>

1例目 聖路加国際病院内科の候 聡志先生が提示
(去年まで候先生は学生として参加していたが,並み居るベテランの先生達を
驚嘆させる知識で圧倒していたのですが,今度はレジデントとして参加)

83歳女性 主訴)発熱・後頚部痛

提示開始早々に,フロアからは,側頭動脈炎,偽痛風(Crowned dens syndrome)を
想定した質問が飛ぶ。でも疾患名をあえて言わないのが皆さんオトナ・・(笑)
途中経過で,Jaw claudicationがあることも分かり,よりGCAか?という雰囲気もあるが
頸部を回旋するときに特に痛みが強いということからは,CDSがよりlikelyという意見も・・。
それ以外に鑑別診断としてどんなものが上げられるか?みんなで考えた。
治療は,膠原病における準緊急疾患と考えて,入院当日からmPSLパルス療法が行われて,
その後生検が行われた。生検結果は陰性で,結局CDSであったという症例。

これとほぼ同じような経過の症例を自分も経験していて,その時には浅側頭動脈生検を
行って陰性であったことを確認した瞬間に,CDSであると思いつきがく然とした。
このときの経験は,日本内科学会雑誌の内科専門医部会のページでZebra Cardsという
タイトルで書いてる。(日内会誌 97:466-470,2008)


2例目 藤沢湘南台病院 消化器内科・総合診療科の藤田裕次先生が提示

83歳女性 主訴)発熱・全身倦怠感

この症例も,とても難しかった。(実は私は知ってた・・・笑)
持続する発熱のため,入院となり連日38℃位までの発熱が続くが各種検査をしても
ことごとく異常を認めない。患者さんは,不安症もあり,ものすごく大量の薬を
服用している。薬剤熱の可能性が高いという意見が続く。
また悪性腫瘍の可能性は捨て切れない,また駒形先生からは結核はどんなときにも
否定できない・・・などなど。
詐病(factitious fever)も鑑別に挙がったが,入院してしばらくして監視検温でも
発熱が認められたということで,一旦否定されていた。
結局,長期にわたって原因不明のままであったが,重篤な疾患は考えにくいだろう
とのことで,一旦退院して外来で経過観察に。
ところが退院3日後に,腰椎圧迫骨折のため再入院してくると,再度発熱が・・・・・

フロアからは,このあたりで診断が絞り込めなくなり,一同う~ん・・となる。

骨折に対してコルセット作成したものの,退院にはもう少し時間が必要とのこと
で療養型病棟に転棟になった。すると・・・発熱はぴたっと見られなくなった。
なんと詐病で,忙しい急性期病棟で行ったはず監視検温が実はは不十分であったこと,
発熱はほとんど自己申告によるものであったことが後に判明した。
「持参の」体温計が3つあり,看護師が「体温を測りすぎる」ということを問題に
上げていたことも判明した。実際の現場では,こんなことも起りうるのだという
意味で大変教訓的な症例であった。
フロアの先生方から詐病・詐熱の経験を話していただき経験を皆でshareした。

自分も直接ではないが,同僚が原因不明の繰り返す菌血症(しかも複数菌が検出)で,
詐病であった若い女性の例を知っている。この場合,医療従事者であるということが,
結構鍵になるようある。
青木眞先生に以前聞いた話では,詐病の可能性を指摘された担当医は「そんなはずは
ないと思います!」と否定することが多いそうである。
担当医がまずだまされるという・・・


今回は2例目の途中でちょっと病棟で患者さんの状態悪化がありレジデントの先生が
抜けて病棟に行き,カンファ終了後に駒形先生に急遽コンサルトをお願いしたり,
本当にありがたかった。


次回は,来年2月26日(土)午後4時を予定している。
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積小為大

2010-11-25 | 日記

小田原地区の先生方の集まりで,1時間ほどSpPinのお話。

その後,東海大学総合内科時代の同僚の先生と久しぶりに食事。
ふと気がつくと東海大学病院に勤めはじめた時から10年が経っていた。
トシをとるとホントに時が過ぎるのが早いなあと思う。久しぶりに楽しい時間を過した。

小田原は二宮尊徳ゆかりの地である。会場となったのは,二宮尊徳ゆかりの由緒ある会館。
トイレに入ると二宮尊徳翁のありがたいコトバが目の前にあった。



積小為大(せきしょういだい)

二宮尊徳翁は言われた。
大きな事をしたいと思えば,小さな事を怠らず勤めるがよい。
小が積もって大となるからだ。およそ小人の常として,大きな事を
望んで小さな事を怠り,できにくい事に気をもんで,できやすい事を
勤めない。それ故ついに大きな事を成し遂げられない。

                今も役立つ二宮尊徳翁の教え


なかなか難しいなあ・・・・・
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便乗商法?

2010-11-24 | 路上観察

って言っても,すでに1週間前なんだが・・・

 (ちゃんと行列はできていましたね)
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鎌倉

2010-11-23 | 写真

仕事のあとに鎌倉八幡宮へお参り。遅い時間であいにくの天気でも,紅葉が美しかった。

K-7, DA* 50-135mm F2.8, [F4.5 1/6 ISO400 -1EV]
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