献本御礼!
この本は『Mechanisms of CLINICAL SIGNS 2nd editon』を順天堂大学医学部総合診療科 内藤俊夫先生が監訳者となり,日本病院総合診療医学会若手部会のメンバーが中心に翻訳されたものです。顔ぶれを見ると,志水太郎先生,和足孝之先生,原田拓先生など私もよく知っている精鋭の先生たちが名前を連ねています。内容が悪いはずがない。
実はこの本,以前原書を購入して持っていました。時々パラパラと眺めていたんですが,最近使っていませんでした。今回その原書を探して見たんですが,どうしてもみつからない。整理が悪くてどこかに紛れ込んでしまったようです。いかにも勉強していないようで何とも情けない話で・・・。ま,こんなにわかりやすい日本語版が出たのでいいか。
さて内容ですが,数多くの臨床徴候について辞書的に1項目あたり2〜3ページ程度にコンパクトにまとめてあります。何よりも解説のイラストが美しくてわかりやすい。内科学会だったかの書籍売り場で見つけたときに,表紙や中身のイラストが美しいので思わず手に取り,読みやすそうだと思ってレジに直行した覚えがあります(いわゆるジャケ買いというやつですね)。
特に神経所見についての記載が充実していています。以前に「Marcus Gunn瞳孔」の症例を経験してこのブログでも紹介したことがあります。その所見の動画は後にレクチャーで何度か使ったことがありますが,この教科書から引用した図をもとに解説のアニメーションを作成したのでした。
本書のもう一つの大きな特徴は「目次」でしょうか。はじめに「筋骨格筋系」「呼吸器系」「心血管系」といった臓器系統ごとの目次があるのは普通なんですが,その後ろに病態・疾患をアルファベット順にならべて,それぞれの病態・疾患にみられる所見を目次としてまとめてあります。疾患ごとに所見を確認したり勉強するときに非常に便利です。索引はちゃんと巻末にあるのですが,それとは別に目次にしてあるところが,読者目線の素晴らしいアイデアだと思います。