松本の相澤病院で開催された第1回信州GIMに参加してきました。はじめにイントロとして30分のミニレクチャーをさせていただきました。臨床推論における開始地点となる「年齢・性別・主訴」といういわゆる「三種の神器」の中で,特に「主訴とは何か」というお話でした。「年齢・性別」は変えようがない事実ですが,「主訴」は話を聴く医師の側の要因も大きく関わること,すなわち必ずしも「主訴=患者の訴え」ではないということを実例をあげながらお話しました。このまとめ方で話をしたのは初めてですが,自分でもなかなか深い内容だなぁとあらためて気づきました。
その後,マツケンこと松本謙太郎先生と二人でコメンテーターをやりつつ症例検討を3例。1例目は大船GIMにもよく参加してくださる長野共立病院の上島先生の司会で始まりました。下ネタを封印した(笑)マツケン先生のツッコミや会場からの活発な発言で第1回目とは思えない盛り上がりでした。1例目,3例目は診断,治療を中心としたディスカッションでしたが,特筆すべきは2例目。信州大学総合診療科の関口健二先生が提示されたのは「骨折・肺炎を契機として寝たきりとなった92歳独居の男性」。その方においてDNARをどのように考えるかという問題を,患者をとりまく背景,家族の想い,医療従事者側が陥りやすい考え方など,グループディスカッションを交えて深く考えさせられる討論が行われました。DNARとアドバンスト・ケア・プランニングはまったく別ものであるということを自分はちゃんと理解していなかったのだと,大切なことを教えていただきました。もっと時間をかけて討論したいと思わせる素晴らしい内容でした。
終了後は,学生さんや研修医も交えて楽しいひとときとなりました。関口先生,世話人の相澤病院総合診療科寺川偉温先生,ありがとうございました。
翌朝,ホテルの窓から朝日を受けて美しく映える常念岳がよく見えました。その左にちょこんと小さく見えるとんがりに気づきました。何と槍ヶ岳が見えるんですね。憧れるなぁ・・