H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

第1回信州GIM 皆さん,声出てました! 

2018-10-20 | 臨床研修

松本の相澤病院で開催された第1回信州GIMに参加してきました。はじめにイントロとして30分のミニレクチャーをさせていただきました。臨床推論における開始地点となる「年齢・性別・主訴」といういわゆる「三種の神器」の中で,特に「主訴とは何か」というお話でした。「年齢・性別」は変えようがない事実ですが,「主訴」は話を聴く医師の側の要因も大きく関わること,すなわち必ずしも「主訴=患者の訴え」ではないということを実例をあげながらお話しました。このまとめ方で話をしたのは初めてですが,自分でもなかなか深い内容だなぁとあらためて気づきました。

その後,マツケンこと松本謙太郎先生と二人でコメンテーターをやりつつ症例検討を3例。1例目は大船GIMにもよく参加してくださる長野共立病院の上島先生の司会で始まりました。下ネタを封印した(笑)マツケン先生のツッコミや会場からの活発な発言で第1回目とは思えない盛り上がりでした。1例目,3例目は診断,治療を中心としたディスカッションでしたが,特筆すべきは2例目。信州大学総合診療科の関口健二先生が提示されたのは「骨折・肺炎を契機として寝たきりとなった92歳独居の男性」。その方においてDNARをどのように考えるかという問題を,患者をとりまく背景,家族の想い,医療従事者側が陥りやすい考え方など,グループディスカッションを交えて深く考えさせられる討論が行われました。DNARとアドバンスト・ケア・プランニングはまったく別ものであるということを自分はちゃんと理解していなかったのだと,大切なことを教えていただきました。もっと時間をかけて討論したいと思わせる素晴らしい内容でした。



終了後は,学生さんや研修医も交えて楽しいひとときとなりました。関口先生,世話人の相澤病院総合診療科寺川偉温先生,ありがとうございました。




翌朝,ホテルの窓から朝日を受けて美しく映える常念岳がよく見えました。その左にちょこんと小さく見えるとんがりに気づきました。何と槍ヶ岳が見えるんですね。憧れるなぁ・・
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Dr. Herb L. Fred --- 25年目の意外な再会

2018-10-18 | 臨床研修

「この本すごくいいですよ」とある先生が以前に紹介してくれた本。彼がそう言うなら・・と,中身も確認せずに無条件でアマゾンUSに注文した本が先日届きました。以来,ぱらぱらと読んでいますが,これはいいです!

2003年に出版された古い本で,著者は University of Texas Health Science Center at Houstonの内科教授 Dr. Herbert L. Fredという先生。『Looking Back (and Forth)』というタイトルで「Reflections of the Old-fashioned Doctor」というサブタイトルがついています。このところ古い本に手が出ます。どうもこの年代の内科医には優れた人たちが多いのでしょうか。もちろん現代にも素晴らしいDrは沢山いるわけですが,自分の志向がどうしてもこの年代に向かわせるようです。

内容は,過去40年にわたるベッドサイド教育を通じて教訓として得たこと,感じたことなどを綴ったエッセイ集で,雑誌などに発表された過去の文章を集めた本です。各章は独立した内容で,比較的短いので読みやすいです。ちょっと辛口で,しかもウィットに富んだ語り口の文章が続きます。後ろのカバーを見て,おっと思いました。あのSapiraが大絶賛の推薦文を書いているんですね。さもありなん。

面白そうなタイトルを選んでは読んでいるところですが,ある章のタイトルを見たときに驚きました。

 Five Cases in Search of a Diagnostician




この文章が発表されたのは1993年です。当時,図書館でたまたま見つけたこのエッセイ(Hospital Practiceという雑誌に掲載)がとても印象に残り,ずっと大切にそのコピーを持っていたのです。その文章を書いた先生が,まさにこの本の著者だったというわけです。これには驚きました。まさに25年ぶりの邂逅です。このエッセイの中で,非常にまれなpresentationで目の前にきた5症例の提示と解説を通じて,診断に至るまでにはHistory & Physical が重要であることを強調しています。そして冒頭で,あまりにハイテクの検査に依存しすぎる現代(1993年当時)の風潮に対して,”Technologic tenesmus” という言葉を使って警鐘を鳴らしています。最後の結びのパラグラフにはこうあります。

By contrast, in cases 2, 3, and 4, veteran clinicians made the correct diagnosis at the bedside. They did not require computed tomography, magnetic resonance imaging, or any other sophisticated diagnostic technology to initiate or substantiate their impressions. They relied on the best diagnostic tool they had - the brain.


自分の脳みそが最も良い診断ツールであるように,日々の修練が必要ですね。精進します。


そして最後にもうひとつ。この本に関して一番嬉しかったこと。実はこの本が「素晴らしい本」だと紹介してくれたのが,自分の教え子であったということです。何を大切だと思うか,そうあるべきだと信じるか,伝えたいと思っていた自分なりの価値観が正しく伝わり,それを共有しているということを改めて感じることができました。そのことが,何よりも嬉しかったのです。これぞ指導医冥利につきるというものです。

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信州GIM始まります

2018-10-17 | 臨床研修

長野の先生方が,新たなGIMカンファレンスを立ち上げられます。初回は,私も少しお手伝いさせていただくことになりました。

お近くの先生で,ご都合が合う方は是非ご参加下さい。私は,イントロのミニレクチャーと,大船GIMのようにファシリテーターをさせていただく予定です。
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K-1 退院!

2018-10-16 | 趣味趣味

基盤交換のアップグレードサービスのため入院中だったK−1が Mark IIとなって無事戻ってきました。レンズマウントの右側についていたSRのマークが「II」になっています。それ以外には外観は変わりません。
本体と同時に封筒が入っていて,その中には 〜PENTAX K-1ユーザーの皆様へ〜 というメッセージカードが入っていました。

「長らくPENTAXフルサイズ機をお待ち頂いた上に,いち早くPENTAX K-1をご購入いただいた皆様に,感謝を込めて本サービスを企画させて頂きました。熟練した修理技術者が,お客様の大切な一台を丁寧に調整・組立・清掃・点検した上でお届けしております。更に進化したフルサイズのKをお楽しみ下さい。」

とありました。しかも,小さな袋に入った黒いプラスティックのかけらが同封されていて何だろうと思いました。みると今回の改造で「II」に取り替えられて外された「SR」マークがわざわざ小さなビニル袋に入れられて返却されているのです。何とこんなもの別に破棄してもいいと思うんですが,ユーザーの気持ちを考えてくれてるんですね。ペンタックスって,やっぱりいいメーカーだなあ。惚れ直しました。さすがです。

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何とか無事終了・・

2018-10-14 | 臨床研修



第1回沖縄中部アラムナイセミナー,何とか無事終えることができました。Sir William Oslerの「This is Our Work」をイントロに,LaCombeの「On Bedside Teaching」を主な題材にして,理想のBedside Teachingとはどんなものだろうか,Teachingとは誰が,誰に対して行うものなのか,などといった内容について,理想と現実(と自らの反省も込めて)お話しました。当初,聴衆は研修医が中心と伺っていましたが,蓋を開けてみれば中部病院OBの錚々たるメンバーが会場を埋めていて,いや〜かなりのプレッシャーでした。私の前の青木眞先生の症例検討のセッションでは,久しぶりに青木先生のお話を伺いましたが,さすがのPearlの連発でした。

セッションの後の懇親会では大学5年の時に沖縄南部徳洲会病院に実習に伺ったときにお世話になった先生と30数年ぶりにお目にかかったり,茅ヶ崎徳洲会病院時代に病歴管理システムを作成するときに見学でお世話になった先生など,非常に懐かしい先生方との驚きの再会がありました。自分の医師としてのキャリアの節目で出会った多くの先生方が,中部病院出身であったことを再認識しました。そしていろんな逸話を伺って,中部病院が中部病院たる理由の一端を垣間見たような気がしました。




二日目は,高山義浩先生のお話を聞いたところで中座させていただきましたが,これも素晴らしい内容でした。

今後も,年に2回ほどのペースで定期的にセミナーが計画される予定とのことでとても楽しみです。
コメント (2)
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