皆様,
第40回大船GIMが無事終了しました。おかげさまで満10年を迎えることができました。
これも熱心な参加者の皆様のおかげです。ありがとうございます。
今回も非常に勉強になりました。
1例目は都立松沢病院内科 小野正博先生が提示。原因がなかなか特定できない口腔,頸部,前胸部の痛みで入院となった40代の女性。各種検索でも原因がどうしても分からない。フロアの皆さんからも色んな意見がでますが絞り込むことができません。当初から身体表現性障害は何となく想定されるのですが,精神科の先生のコメントではちょっと違う・・と,また小野先生も器質的な原因があるはずと考えて経過を見てゆきますが,決め手に欠けます。もし自分が担当だったら本当に悩むなあ,大変だなあ・・と思いながら時間が過ぎてゆきます。最終的には,身体症状症(疑い)ということになりましたが,本当に難しかったですね。それにしても何より,患者さんのために難しい問題に,粘り強く取り組む小野先生の姿勢が素晴らしいと思いました(自分なら途中でめげたと思います)。
2例目は川崎市市立多摩病院総合診療科 伊藤絵理先生,土田知也先生が提示。50代女性の腹痛。以前から腹痛,腰背部痛があったが,入院当日に急性に持続的な強い腹痛を発症して来院。腹部所見は乏しく,血液検査もあまり派手な所見なし。診断は正中弓状靭帯症候群 (MALS)あるいは腹腔動脈起始部圧迫症候群(Celiac Artery Compression syndrome)というまれな病態でした。いやこれも難しかったです。横隔膜のすぐ下に位置する正中弓状靭帯が腹腔動脈を圧迫して,血流障害をきたす。とくに呼気時に圧迫が強くなるため腹痛も増強するとのこと。この患者さんでは,その血流障害のため逆に上腸間膜動脈への血流が増大した結果,起始部で解離をきたして突然の強い腹痛を起こしたと推測されました。持続的な腹痛の原因として,ちょっと頭の片隅においておくべき疾患を学びました。
そして2症例の間の小ネタ(実は大ネタ)は久しぶりに登場の自治医科大学総合診療センターの山本祐先生。『テイスティングから学ぶフィジカル診断学』というタイトルからして,皆さん興味津々。ワインエキスパートの資格をもつ山本先生が,ワインのテイスティングと身体診察や臨床推論を(無理やり・・笑)組み合わせるという荒業!一同どうなるかと固唾を呑んで聞いていましたが,見事に着地!!ワイン飲みの知識が診断推論プロセスに応用できるという画期的な内容でした。いや〜!これは素晴らしかった!!もう一度聞きたい!
懇親会は,学生時代に毎回のように参加してくれていた常連さんが,頼りになる中堅医師として遠くから参加してくれました。ちょっとした同窓会のようで嬉しかったです。小ネタの続きで,山本祐先生のミニワイン講座?もあり,10周年の楽しいひとときとなりました。
参加いただいた皆さん,本当にありがとうございました。
次回以降は,次のようになっています。
・第41回 5月19日(土)午後4時~
<追記> 病院施設の関係で 第42回の日程が変更となりました。
・第42回 8月25日(土)午後4時〜