H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

Teaching Round

2024-07-06 | 臨床研修


 今年度は,毎週金曜の午前(10時半頃から昼まで)に教育回診をやっています。研修医(PGY1&2)と今はクリクラで4週間実習に来ている学生さんも含めてみんなで病棟に行きます。研修医があらかじめ選んだ2〜3人の患者さんからじっくり話を聴き,診察させてもらいます。これまでやりたくても諸般の事情でできなかったことができています。まさにOn Bedside Teachingの世界。本当にやりたかったことで,毎週とても楽しいです。

 この回診は治療のためではなく,純粋に教育目的で行う回診です。病室を訪れると,挨拶をして自己紹介,そしてみんなでお話を伺って診察させていただくことに同意いただくことから始まります。今回の入院のきっかけになった現病歴を伺うにしても,まず患者さんがどのような方であるのか,それを知ることが重要です。

 「以前はどんなお仕事をされていたんですか?」

 「ご出身はどちらですか?」

 「毎日どんな風にして過ごされていますか? 何か楽しみでされていることがありますか?」

 そんな質問から始まり会話が拡がってゆきます。ただ疾患の所見を診るのではなく,その方がどんな人であるかを知り,そんな方に起こった出来事としての症状をひも解いてゆくプロセスを研修医にみてもらうことを意識しています。年配の方であれば以前されていた仕事の話,ときには好きな趣味の話などに脱線したり,ひょんなことからとても興味深いお話が聴けることもあります。いわば短い時間ですが患者さんの「人生」を聴かせてもらうようなところがあります。その上で病歴から予想される所見を診察して確認していきます。たとえば,聴診所見を皆で確認させてもらうこともあります。一旦病室から出てから,患者さんの問題点を整理したり,学ぶべき内容を再確認して終了です。ときには研修医や学生さんに「宿題として」疑問点を調べてもらって後から確認することもあります。

 基本的に年輩の方からお話を伺うのが私は大好きなので,この回診を通して,短い時間ですがいろんな方々の人生を追体験させてもらえるように感じることがあります。医師はありがたくも贅沢な仕事だと思います。

 

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