弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

すべてはここから 始まった罪 林道晴「申立書」

2024年04月03日 17時01分34秒 | 裁判
岡口判事に罷免判決、
ネット投稿めぐり 弾劾裁判
(弁護士ドットコム)
https://www.bengo4.com/c_18/n_17417/

(写真)林道晴東京高裁長官(当時)の1回目の分限裁判の申立書。
要するに犬事件の記事(朝日)を引用して「当事者の感情を傷付けた」としか懲戒理由を書いていない。
常識的な法律家であれば、これだけで分限処分が相当とは到底言えないだろう。
司法修習生の起案ならば落第必至。
しかし、最高裁大法廷は理由を大幅に組み替えて「原告が訴えを提起したことが不当であるとする一方的な評価を不特定多数の閲覧者に公然と伝えるものであった」などと解し、裁判を受ける権利を侵害したものとして、戒告決定をした。
間もなく最高裁入りする見込みであった東京高裁長官の顔を立てた形となった。
ここからエスカレートして、罷免判決に至るまでの一連の処分が始まった。

今日の裁判官弾劾裁判所の罷免判決ですらも、犬事件については「原告の民事訴訟提起行為を一方的に不当とする認識ないし評価を示すなどしたことが明らかであるとまでは認められない」と判示して、最高裁大法廷決定の全員一致の意見を否定している。
このように、1回目の分限裁判の顛末は誠に罪深い。
その後の事態の展開に照らしても、司法の自殺行為であったと評してもいいだろう。
したがって、彼の「A級戦犯」説は全く揺るがず、むしろ補強された。
罷免の場合、訴追請求しなかった最高裁長官の責任問題が生じると思われていたが、それだけではないことが明らかになったとも言える。