面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「鍬がらす」「青りんご」 in落語Kタイム by紫亭京太郎

2007年06月25日 | 落語
6月25日(月)夜10時 (翌6月26日(火)朝10時再放送)
インターネットテレビ net channel KYO
「落語Kタイム」

本日の「落語Kタイム」で演じるは珍品小噺二題。

その1「鍬がらす」
田舎のお百姓さんとカラス、にわとりが登場人物(…人物は一人だけか)の、童話のような小噺。
米朝師しかやってないのと違うかな。
その2「青りんご」
これはプロの噺家で聞いたことは1回あるかないか。
実は学生時代の落語仲間である三代目道楽亭祐鶴氏が得意としている一風変わった小噺です。

いつものように「ほほぉ、こんな噺もあるんや」と興味をもっていただき、プロの話芸へ手を伸ばしていただければ幸いです。
大阪在住の皆さんには、ぜひ天満繁昌亭へ足をお運びいただき、プロの芸をお楽しみください。

まずはごゆるりと、お付き合いくださいませ。

アクセスはこちらまで!

http://www.nc-kyo.com/

☆ ご覧の際に ☆
アクセスしてしばらく、何も映らない黒い画面が表示されることがありますが、しばらくすると音声と映像が流れますので、そのままお待ちください。


「ゾディアック」

2007年06月25日 | 映画
自分の中で勝手に「セブン」のイメージが膨らんでいたのが災いした。
実話であり、未解決事件であり、結局は事実を丁寧になぞるしかないところに、本作の限界がある。
サスペンス、推理劇というよりは、謎解きに魅せられ、人生を誤った男達がいたということを紹介するヒューマンドラマ。

法学部法律学科卒業、刑事学を専攻していた身として、ちょっと面白いと思った点がひとつ。
さまざまな物証による科学的根拠と、あらゆる状況証拠が揃っていても、その二つが結びつかなければ逮捕には至らない、犯人として必ずしも特定されるものではないという事実。
映画のなかで、こいつこそ真犯人だ!と観客に思わせる人物を特定しているが、確たる決定的な証拠は無い。
現場に残された物証と、証言その他の状況証拠との間に立ちながら、二つの証拠が直接的には合致しない。
グリコ事件の捕り物同様、ゾディアック事件でも犯人に警察が質問していたという。
その決定的な犯人逮捕の瞬間を逃したところから、完全な迷宮へと迷い込んでいったというこの事件。
自分の犯行声明に対する反応を楽しんでいた犯人が、もしかすると生きて本作を笑いながら鑑賞しているかもしれない…

アガサ・クリスティかエラリー・クイーンか、はたまた横溝正史か。
長編推理小説を読んでいるような気分。
エンドロールが流れたとき、「ふーっ」と大きく息をついてしまった…

気力・体力のしっかりしている時に観るべき。


ゾディアック
2007年/アメリカ  監督:デビッド・フィンチャー
出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr、アンソニー・エドワーズ、ブライアン・コックス

タイリンの花

2007年06月25日 | 野球
検定でヘコんでいるところへ追い討ちをかけるように日ハムに連敗。
ボロボロに負け越した交流戦が終わった。
その試合には別途触れるとして、旧聞になるが過日の観戦を振り返ってみる。

今年はとりあえず今のところ、観戦試合は全勝。
また、観戦自体も去年に比べればめっきり減っているのだが、それも今シーズンのテイタラクに影響しているかもしれない。
(そんなワケないわな)

そんな中、久しぶりの観戦となった6月10日の甲子園。
球場に着くと午前中に降った雨の影響で、試合開始が30分遅れていた。

早めに球場入りしたので、虎キチ仲間と腹ごしらえのために1塁側スタンド下の食堂へ。
すると、なにやら人垣で通路ができていた。
どうやら選手が次々と通路を通過していくらしい。
誰が来るのかと待っていると、やってくるのはホークスの選手ばかり。
しかも主力は既に行ってしまったのか、名前と顔が一致しない選手ばかりであった。
それでも、誰か知った選手が通らないものかとしばらく見ていると、川崎がやってきた。
背は高くないのだが、小さな顔とガッチリした体型。
なにより、テレビで見るよりも精悍な顔立ちで驚いた。
これは福岡の女性ファンにモテるはずである。

そのほかにも名前の分からないホークスの選手が目の前を通り過ぎていったが(背中に名前を書いといてくれよ)、感じたのはどの選手もガタイが良いこと。
誰もかれもが、タイガースの選手連中の1.5倍以上ある。
みんなしっかりと体作りができている証拠。
強いはずである。

さて、今日のイエローシートは銀傘の下。
(チケットを手配していただいたひー氏に感謝)
いつまたにわか雨が降るか分からない状況だったので、ラッキーだった。
(これが後刻、本当に助かることとなる)
先発投手はホークス・杉内、タイガース・ジャン。
順当にいけば、8対0で負け…と弱気な予想が脳裏に浮かんだ。

予定より30分遅れで始まった試合。
予想に反して、ジャンが良さそうだ。
変化球が面白いようにキマって、ストライク先行。
今度こそ、ホンマもんの助っ人として定着してくれよ!と思わず血の叫びが出る。

それにしても杉内を打てない。
その昔、ヤクルトの軟投派左腕・安田にはよく苦しめられたが、それ以上のアレルギーぶりである。
杉内のフォームは、確かにバッターからすれば打ちにくいと思われる。
(これについては、また触れたい)
それにしても、工夫が無さ過ぎやしないだろうか。
各打者個人個人の工夫もそうだが、はっきりいってベンチワークも無さ過ぎだ。
田中から早々に得点したこないだの楽天戦は好例である。
赤星の盗塁や、野口のエンドランなど、足をからめ動的な攻めが功を奏したが、リードして余裕があるからエンドランをかけた、では作戦として結局後手でしかない。
今のままでは、岡田監督は歴代阪神監督を凌ぐ存在にはなりえない。
選手を信頼するのはいいが、その選手達が信頼に堪えうる動きができないとき、ベンチワークによってカバーするのが監督しての責務である。
まだまだ職務怠慢と言わざるを得ない。

ジャンは力投を続け、4回に失点したものの、5回を1失点でしのぎ、試合を作った。
そして5回裏。
運命のいたずらが起きた。
野口が簡単に倒れ、ジャンも三振に倒れてツーアウト。
続く1番の桜井に期待がかかるが、降りだした雨がどんどんヒドくなり、正にバケツをひっくり返したような降りに。
そんな状況下で桜井は粘った。
追い込まれてもファールで逃げながらフルカウントにもっていった。
最後にはどしゃ降りの中で杉内の制球は明らかに狂っていき、とうとう桜井は四球を選んだ。

この出塁は大きかった。
なんせ滝のように降る雨で、グラウンドに水が浮き出していた。
桜井が簡単にアウトとなって5回裏が終わっていたら、間違いなくコールドゲームとなって、タイガースは1対0で杉内に完封負けすることになっていただろう。
それを、試合中断に持ち込んだ桜井の殊勲は大である。

通り雨特有の雷を伴う激しい雨が降り続いて1時間近く経ったかと思われたとのとき。
徐々に空が明るくなってきた。
まだ雨は降っているものの、上空の雲の合い間に青空も見えている。
これはやれるぞ!

しばらくすると雨も小止みになってきて、阪神園芸の皆さん(グラウンドキーパーの方々です)が審判と一緒に出てきた。
観客席からは阪神園芸を応援するコールが湧き起こる。
(本拠地球場とはいえ、グラウンドキーパーの所属する会社名を言えるのなんて、タイガースファンくらいのものではないか?)

いよいよ雨もあがってきてグラウンド整備が始まった。
阪神園芸さんが、水を吸わせる素材をあちこちに敷いた。
(昔は雑巾とバケツでやっていた)
それにしても、やはり甲子園は日本一の球場である。
雨水がたまり、内野席から見ていて外野席が反射して映るほどになった内野グラウンドが、瞬く間に普通の黒土へと戻っていく。
結局、1時間余りの中断の後、試合は再開された。
甲子園は日本一、いや世界一の野球場である。
素晴らしい!

桜井が四球で1塁に出たところから再開されたものの無得点で終了。
しかし、この長時間の中断が、微妙に杉内に影響を与えたのではないだろうか。

9回裏、先頭の鳥谷が杉内にくらいつき、この日チーム2本目となる長打のツーベースで、一打同点の大チャンス!
続くは杉内対策で、ビックリの右翼スタメンで出場している浅井。
せっかくの起用も、ここまで3タコ。
どうするかと見ていると送りバントの構え。
この重圧のかかる場面で、しかしキッチリとバントを決めた。
やっと仕事したなお前!

続く野口は、アッという間に初球をひっぱたいた!
45度の角度で打球が上がった(ように見えた
やったーっ!サヨナラツーランかっ!…と喜んだが、レフトの柴原がよろけながらフェンスの前で打球を捕っていた。
少々肩透かしをくらったが、とりあえず同点の犠牲フライとなった。

そして9回から登板していた藤川が、10回表はキッチリ3者凡退に切ってとった。
こうなれば、流れがタイガースへ来なければウソだ。
その裏、馬原がくるかと思ったが、1番赤星以下2番の関本以外は左打者が続くこともあってのことだろう、左腕篠原が出てきた。
赤星は打ち取られたが、続く関本がしっかり一発かましてツーベースで出塁した!
そして打席に向かうは成長著しい林!
甲子園は押せ押せの大歓声に包まれる。
すっかりサヨナラの舞台ができあがり、ボルテージが最高潮に達したそのとき!

林のバット一閃、野口のときとは比べ物にならない高さと勢いの打球が、きれいな放物線を描いてライトスタンドへと伸びていった!
「いけーっ!いけーっ!」
本能的に立ち上がり、声を限りに叫んでいた。
林の打球は大歓声に後押しされるように逆風をものともせず、ライトスタンドの喚起の渦
へと吸い込まれていった!
「やったーっ!!」

お立ち台にはもちろん林!




オーロラビジョンに映る林



はにかんだような笑顔が新鮮である。

林はいつもどんなときでも、自分の打撃を反省しているという。
自分の中で今年はステップアップの年と位置付け、1打席1打席を大切にし、次の打席に活かしていきたいと常に考えているからだ。
今の打席では良いフォームで打っていたと首脳陣が誉めるようなバッティングをしたときでも、自分のフォームではなく相手に体勢を崩されてダメだったとか、もっと甘い球があったのだからそれを打たなければいけないなど、どれだけいい当たりを飛ばし、値千金のタイムリーを放っても満足することが無いという。

確かにお立ち台でも、見事なホームランだったにも関わらず、こすったようなバッティングだったので不満だとこぼしていた。
イマドキ珍しい謙虚な姿勢だと思ったが、そうではなく飽くなき探究心の表れだったのである。
同じ背番号31を背負っていた「4代目ミスタータイガース」掛布雅之を彷彿とさせる発言だ。

いよいよ大輪の花が咲き始めた。
金本を継ぐ者として、待ちに待った久しぶりのタイガース生え抜きの“真の”四番打者誕生は、もうすぐ目の前だろう。
“大林”となって甲子園の華へと育ってほしいと切に祈ったたそがれの甲子園であった。