面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「赤龍の女」

2006年10月25日 | 映画
大阪のとある街。
暴力団・黒澤会の組員ばかりを狙った連続殺人事件が発生。
捜査によると、被害者はすべて鋭利な刃物による斬殺だった。
屈強な男でさえ、一刀両断にされてしまうほどの達人ぶり。
鮮やかすぎるその手口は、誰がみてもプロの仕業だった。

黒澤会幹部の荒巻(遠藤憲一)は犯人の割り出しを急ぐ。
しかし焦りとは裏腹に、犠牲者は増え続ける。
そんな中、組長が雇った殺し屋の調査により、ひとつの手がかりが浮かびあがった。
「赤龍」の刺青を入れた女。
そして「朝比奈家一家惨殺事件」という10年前の凄惨な事件。
わずかな情報を元に、黒澤会は全力で犯人を追うが、それは忌まわしき10年前の記憶を呼び起こす、新たな事件の始まり…。

アクション俳優の集うJAE(ジャパン・アクション・エンタープライズ)の中でも特に身体能力の高い役者をそろえた本格的アクション・ムービー。
中でも、JAC一期生にして千葉真一の愛弟子で、師匠とともに「キル・ビル」にも出演した大葉健二の殺陣は圧巻。
クエンティン・タランティーノもファンだという、そのキレのあるアクションは見ごたえ十分。
また、親友の八代じゅんちゃんも感動の涙にむせぶほどの猛特訓を重ねた末に体得した剣舞はもちろんのこと、ふとした仕草に見せる艶やかな表情が愛らしく、切ない“殺人マシーン”を演じる和泉奈保ちゃんの熱演も必見!

全編大阪と神戸を舞台にロケを敢行。
関西発の怪作!…という中で惜しむらくは、オープニングシーンでのヤクザの大阪弁。
微妙にイントネーションが外れるところがあり、やや迫力が削がれてしまっているのがやや残念。
主役陣が標準語である分、脇を固めるヤクザ連中が徹底した大阪弁を使いこなしていれば、更に迫力が増したはず。。

映画初主演となる美崎悠演じる主人公の朝比奈由衣が、暗く端整な顔立ちの中に、一瞬見せる妖しい女の表情にも関わらず、“復讐鬼”のキャラを貫いて、自分を慕う男をアッサリ突き放すところが潔くて後味が清々しい。

いやー、しかしこれを1週間程度で撮り終えていると聞いてエラビックリ!


赤龍の女
2006年/日本  監督:市川徹
出演:美崎悠、武智健二、遠藤憲一、我修院達也、大葉健二、島津健太郎、和泉奈保