面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

新庄効果

2006年10月03日 | 野球
今更な話であるが、日本ハムがパ・リーグのシーズン1位チームとなった。

今年からリーグ戦1位チームには、プレーオフで1勝与えられるというアドバンテージが与えられた効果もあって、シーズン終盤の上位3チームによる三つ巴の戦いは白熱した。
その中を見事に勝ち抜いたファイターズ。
シーズン当初、ここまでの活躍をどの評論家が予想していただろうか。
実はファイターズにパ・リーグ1位の栄冠をもたらしたのは、
「新庄が生まれながらにして持っている星」
であると思っている。

プロ野球ファンならご存知のとおり、今シーズンを最後に新庄は引退する。
その有終の美を飾るには、ファイターズがシーズンを通してパ・リーグを制し、プレーオフも勝ち抜き、セ・リーグの覇者を破って日本一を決める!というシチュエーションが最もふさわしい。
日本一のチームのメンバーとして、惜しまれながら引退の花道を行く。
こんなカッコイイ終わり方は無いだろう。
新庄はそれを目指し、実現への最短の道を踏み出すことに成功したのである。
恐るべし強運と言えるが、これこそが新庄の持つ「星」なのである。

いわゆる「スター性」というものであるが、この点においては長嶋茂雄に匹敵するほどのチカラがある。
とにかく新庄は、自らをカッコよく見せるための努力を厭わない。
(その昔、ジーンズが似合わなくなるからと筋トレをしなかったくらい)
そこへ、カッコよさを引き立たせるような場面を呼び込むチカラが備わっている。
そのチカラがあったからこそ、ファイターズはシーズン最終戦でリーグ優勝を決めるという劇的な幕切れを演じることができたのだ。
「新庄効果」とも呼ぶべきチカラである。

新庄はファイターズのリーグ優勝が決まったとき、日本シリーズの相手は古巣のタイガースがイイと発言した。
そりゃそうだろう。
古巣相手に日本シリーズを戦い、撃破すれば、こんなドラマチックな展開もない。
また、タイガースファンからも声援を受けることができ、当然北海道のファンからも愛されたまま身を引くことができる。
札幌ドームでも甲子園でも、常に満場の声援を受け、祝福されながら去っていく。
出来過ぎと言うにはあまりにもベタな、カッコ良さの極みの中を引退することができるのだ。

天王山第3戦が雨で流れた結果、最終決戦が来週へと回ることになり、劇的な要素が補強されている。
また、天王山第2戦を落としたことで、タイガースの優勝は更に奇跡の色を濃くしている。
あらゆる演出が整った。
タイガースが優勝すればこれ以上ないミラクルであり、ファイターズとの日本シリーズは究極のドラマチックな舞台へと昇華される。
これぞ新庄が描く、最も美しいドラマに違いない。

「新庄効果」を期待して、タイガースの残り試合を見守ろう。