危機に対する、一般的な日本人の反応は、
一呼吸おいてしまう、のが常だ。
グラッ、と地震で揺れても、とりあえず、様子を見る判断をする。
街中で、ナイフなり、鉄棒なりを持って、歩いている人をみても、
「まさか」
と思ってしまう。
身についた行動パターンだからすぐには変えることはできないが、
日本の国を一歩でたら、
人為的でも、自然災害でも、「異常」に対しては最初にその場から離れることをしなければならない。
旅行の途中で知り合った人が、いわゆるいい人だなあと感じても、「信用」することはしてはならない。家庭に招待をうけても、受けてはならない。
犯罪をするのに最初から「悪いことをします」という顔や態度をする犯罪者はいない。
友人が、深夜車を走らせていた。友人は、日本人。突然、
「助けて~~~!」
と言う声を聞いた。
見ると女が走っている。ペルー生活の長い友人は、
「まさか・・・!!」
と思い、そのまま走り去ろうとしたが、
車を停めてしまった。女が近づいて、必死の形相でなにかを訴える。
話を聞いているとき、男が現れて、現金の入ったカバンを強盗された。
女と男は、一芝居うったのだ。
友人も、芝居だとは分かったが、「もしかして、事実なら」という後悔を避けたかった、と後で話してくれた。
一度身に染みた価値観は、なかなか取れない。
前回のペルー訪問時。
ホテルで友人を待っていた。ランチを一緒にする約束をしていた。
指定の時間が来ても友人が来なかった。10分ほど過ぎたころ、
「eresさんですか?」
と、一人の身なりいい男が近づいてきた。僕には初めての顔だった。
「○○(友人の)名前から頼まれて迎えに来ました」
と丁寧に言ってはくれたが、
僕は信用しなかった。
待ってくれるよう頼んで、すぐホテルから友人に電話して、確認をおこたらなかった。
このようにしても、「失礼」にはあたらない。
これが「常識」なのだ。
安全確認には、面倒くさがらないこと、これを心がけている。
治安の悪い国を旅行して、なにもなく、しかも現地の親切に触れることもある。それは単に運がよかっただけのことで、二回目はないと、思うべきだ。
日本も、この状況に近づいてきた。