ゴルフを忘れていた。その気も起こらなかった。
部屋の奥に、道具があった。クラブを持ってみた。
違和感はない。
しばらくやっていなかった。
ゴルフを覚えたのは、ペルー赴任中だった。
練習もせずにいきなりコースにでても、人に迷惑をかけるほど前後が詰まっているわけではないので、
友人と、そのままコースに出た。
空振りはなかったが、よく曲がった。実際にやってみて、面白いスポーツだなと思った。
以来、ゴルフにはまって、毎週出かけた。
およそ、ゴルフは考えていることと反対のことをすればいいと言われる。
ボールが右に行けば、人は左を向きたがる。ところがこうするとボールはよけいに右に行く。だから、右を向いて打つ。
ボールは、あるがままに打つ、のが基本だが、だれも見ていなければ自由に動かせる環境を、
不思議に思って訊ねると、それがゴルフの特徴だと教えてくれた。
つまり他のスポーツのように反則を判断する人がいない。反則はし放題というわけだ。
全部自己責任においてやるんだという。
多分、この辺りが人生と似ていると言われる所以だと思う。
いつまた声がかかるか分からないから、練習にでも行こう。