功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『Bamboo Trap/Black Panther Of Shaolin』

2009-10-20 22:41:31 | マーシャルアーツ映画:中(1)
Bamboo Trap/Black Panther Of Shaolin
中文題:少林豹
製作:1975年(1979年説あり)

●(※…画像は本作を収録したDVDパックの物です)
日本では『必殺カンフー ロー・ブロウ』等のB級作品で知られ、李小龍の弟子と呼ばれているレオ・フォンの未公開作だ。共演は"もう1人のブラックドラゴン"ことロン・ヴァン・クリフで、この両名の顔合わせこそが本作最大の売りである。
レオ・フォンは中国広東省の出身で、5歳の時にアメリカへ移住した父を追って渡米。少年期に人種的偏見で虐めを受けていたが、ボクシングと出会った事が彼の運命を大きく変える。大学に進学した彼はボクサーの道を歩み、のちに柔術や功夫を習得。その後はオークランド時代の李小龍に師事し、長きに渡って親交を続けていった…のだが、彼の突然の死によってピリオドが打たれてしまう。皮肉にも、この出来事がレオを映画界に引き込むきっかけとなるのだ。
1974年、李小龍の弟子というネームバリューに目をつけたフィリピンの映画会社が、彼を担ぎ出そうと動き出した。一度は断ったレオだが最終的には承諾し、ロン・マルチーニ主演作『Murder in the Orient』で最初の映画出演を果たす。これ以降のレオは皆さんもご存じの通り、『キルポイント』等のB級マーシャルアーツ映画に多数出演し、同時に武道家としても大成していった。現在レオはジークンドーを発展?させて「Wei Kuen Do」なる格闘技を創始し、自ら映画製作にも乗り出しているという。

だいぶ話が横道に逸れてしまったので本筋に戻ろう。この手の「古いマーシャルアーツ映画」を見る際にポイントとなってくるのは、当時の作品がどのような試みに挑戦しているかという点だ。功夫を通して物語を説く香港映画のようなスキルは無いし、かと言って手本となるような作品も多くはない。そんな中で、果たして先人たちはどんな物語を作り上げたのか?この試行錯誤こそが「古いマーシャルアーツ映画」の肝となってくるのだ。
そんな中にあって、本作が取り入れたのは李小龍的なアプローチであった。ただし怒りの鉄拳アチョーな映画ではなく、李小龍がらみのキャスト2人を起用したもので、有色人種のコンビが活躍するバティ・ムービーの側面も持っている。そう考えると、本作は『ラッシュ・アワー』や『ブラック・ダイヤモンド』のご先祖様と言える…のかもしれない。
ちなみに私が所有しているのは擬似ワイドスクリーン仕様のDVDで、英語音声だがギリシャ語字幕がハミ出て見えるという珍妙なバージョン。おかげで物語の把握が難しかったが、そんなに複雑な作品ではないため視聴に難はありませんでした(笑)。
ストーリーはかなりシンプルで、富豪の令嬢を誘拐した悪党に捜査官のレオ&ロンが立ち向かっていく様を描いている。物語の舞台は中盤からフィリピンに飛び、最後は捕らわれたロンを助け出すため、レオが仲間たちと敵のアジトに攻め込んでの総力戦へ突入。それぞれのキャラクターが強敵と戦うという気の効いた展開を見せ、組織は壊滅して一件落着となる。
香港の資本が一枚噛んでいるためか、本作の格闘アクションはそんなに悪くない。若干動きはカクカクしているが殺陣のテンポはスムーズで、当時のマーシャルアーツ映画としては良い出来だ。ラストでは敵ボスVSレオや空手家VSロンといったバトルが各所で繰り広げられ、スケール感を演出する事にはなんとか成功している。特に敵ボスとレオの戦いが意外と面白く、今回がレオ・フォンの初接触である私にとっても満足のいく結果を残してくれました(これはちょっと『ロー・ブロー』が楽しみになりました)。
ところで本作の別題は『Black Panther Of Shaolin』となっているが、劇中で少林寺なんてどこにも登場していない。まぁこのへんはご愛嬌で済ませられるが、正式なタイトルである『Bamboo Trap』とは何の事なのか?と思いながら視聴していたら、最後の最後で敵ボスが自分の仕掛けた竹製の罠で串刺しになっていました。なので本作の題名は『Bamboo Trap』に決定…って、そんなのタイトルなんかにするなよ!(爆笑

最新の画像もっと見る

コメントを投稿