功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『龍拳蛇手鬥蜘蛛/龍拳蛇手門蜘蛛』

2016-07-21 23:50:18 | カンフー映画:佳作
龍拳蛇手鬥蜘蛛/龍拳蛇手門蜘蛛
英題:Challenge of Death/Challengs of Death
製作:1978年

●龍拳使いの捜査官・譚道良(ドリアン・タン)は、上官の余松照から武器商人の摘発を命じられた。敵はモンゴル人の劉明を仲介役にしており、その全容は謎に包まれているという。そこで警察は、劉明と恋仲である蛇拳使いのギャンブラー・王道(ドン・ウォン)を引っ張り出した。
譚道良は彼を使って敵に近付こうと考えたが、対する王道も素直に利用されるつもりはなく、2人は事あるごとに対立する。一方、敵のボスであり劉明を囲っていた蜘蛛拳の名手・張翼(チャン・イー)は、譚道良と王道の動向に気付きつつあった。
 そのころ王道と劉明は、取引相手にギャンブルを持ちかけて大金をせしめようと画策。この良からぬ企みは譚道良によって阻止されるが、ここで遂に張翼自らが動き出した。彼は王道を自慢の蜘蛛拳で圧倒すると、組織の秘密を洩らし、不貞を働いていた劉明を殺害する。
続いてアジトに突入してきた譚道良を軽くあしらい、止めに入った余松照を容赦なく捻じ伏せた。図らずも共通の仇敵を持つこととなった譚道良と王道は、協力して蜘蛛拳の攻略を目指す。王道の叔父が誘拐される中、2人は巨悪を倒すことができるのだろうか!?

 皆さんお久し振りです。随分と更新が滞っていましたが、今日からまたボチボチと記事をUPしていくつもりなので、この夏もどうか宜しくお願いいたします。
さて、この作品は台湾屈指の実力派である李作楠(リー・ツォーナム)の監督作です。主演は同氏の作品の常連である王道が、武術指導も同じく常連の金銘(トミー・リー)と龍方がそれぞれ担当しており、今回も充実したストーリーとアクションが構築されていました。
 本作では、相反する性格の主人公たちが反発しあい、やがては手を取り合って強敵に立ち向かっていくまでを一気に描いています。基本的にはシリアスな物語ですが、適度に笑えるシーンもあるのでダレることはほとんどありません。
とはいえ、ややストーリーが込み入りすぎている感があり、終盤で王道の叔父がどうなったのか等、描写不足な点もいくつかあります。致命的なのはラスボスである張翼のスタイルで、その奇抜すぎる格好と戦い方(ワイヤーでビュンビュン飛びまくる!)は、作品の雰囲気を完全にブチ壊していました(苦笑
 注目の功夫アクションについてですが、腰の入った王道の拳技、伸びやかな譚道良の足技は今回も健在。それぞれの持ち味を生かした立ち回りが随所で展開され、ストーリーの粗を吹き飛ばすほどの魅力に満ちています。
ラストバトルでは主役2人が互いの技を習得し、タイトルの意味が“龍拳(譚道良)と蛇手(王道)が蜘蛛(張翼)と戦う”ではなく、“龍拳蛇手で蜘蛛と戦う”だったことが判明。事前に想定していた必殺技が通じないなど、捻りのきいた勝負に仕上がっていました。
改めて李作楠の巧みな演出力と、キャスト陣の高い身体能力に唸らされる一本。台湾功夫片にはまだまだ手を付けていない作品が多いので、これからもコンスタントに紹介していきたいと思います。