功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『キック・ファイター』

2012-12-27 21:36:58 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「キック・ファイター」
原題:FULL CONTACT
製作:1992年

▼マーシャルアーツ映画にとって、90年代はまさに最盛期といえる時代でした。この時期で有名なのはジャン=クロード・ヴァン・ダムスティーブン・セガールドルフ・ラングレンの3人でしょう。彼らのエピゴーネンも数多く生まれ、とりわけポスト・ヴァンダムを狙う俳優は無数に存在します。
今回紹介するジェリー・トリンブルは、そういった者たちの1人でした。キックボクシングの使い手である彼は、自慢の足技を武器に次々と主演作を連発。一時は落ち込んでいましたが、スティーブ・オースティン主演最新作『マキシマム・ブロウ(The Package)』で、久々に格闘映画への出演を果たしています。
本作は、ジェリーがロジャー・コーマンのお抱え監督?であるリック・ジェイコブソン(『ザ・ヴァンプハンター』『オーバーヒート・プリズン』もこの人の仕事)とコラボした作品で、闇ファイトに挑もうとする青年の戦いを描いています。

■ジェリーは離れて暮らしている兄を探して、ロサンゼルスのダウンタウンを訪れていた。だが、あるチンピラから兄が闇ファイトの選手として活躍していたこと、そして何者かに殺されたことを知らされる。
兄の死に悲しむジェリーは、犯人が闇ファイトの関係者であると確信する。そして彼は闇ファイトに参加して真犯人を探すべく、コーチのマーカス・オーリアスと手を組み、厳しいトレーニングに身を投じていく。十分な実力を身に付け、いよいよ血みどろの戦いに挑戦するジェリー。だが、事件の黒幕は意外な場所に潜んでいた…。

▲まずアクションについてですが、こちらはボチボチの出来でした。本作には例によって本物の格闘家が多数参加しており、いきなり序盤からゲイリー・ブランク(キックの世界王者。現在は自身の道場で養秀会空手を指導)とハワード・ジャクソン(『懲罰』で山下タダシと対戦)が火花を散らします。
中盤では、ジェリーがキックボクシング世界ウェルター級王者のアルビン・ブローダーと死闘を繰り広げ…るんですが、やはり本物を起用したからといって凄いアクションが撮れるわけではありません。ラストバトルの展開についても、賛否が分かれるでしょうね。

 しかしそんなアクション部分より、もっと問題なのがストーリーです。先述のあらすじの続きですが、闇ファイトに出場したジェリーは試合中に兄殺しの目撃者と思われる男を発見し、マーカスに後を追うよう頼みますが、その男は自宅で惨殺されているところを発見されます。
その後、一緒に出場した友人が準決勝で最大の強敵の噛ませ犬にされて再起不能に。決勝に臨んだジェリーは、そこで真犯人の正体を知るのですが……。そう、ここまで書けばご存知の方はピンときたでしょう。本作はドン・ウィルソン主演作『Bloodfist』のストーリーと瓜二つなのです!
 この他にも、主人公と恋仲になるのが友人の妹でストリッパー、目撃者を発見した際に主人公が闘っていた相手が黒人格闘家、友人を倒した強敵が太めの巨漢ファイター、そして真犯人の正体と戦いの結末など、単なる偶然では片付けられないほどの類似点が見当たります。
なぜこんなことになったのか真相は不明ですが、少なくとも全体の出来と予算は『Bloodfist』が、アクションとユーモアなら本作に分があったと思います。なお、本作には下積み時代のマイケル・ジェイ・ホワイトが出演していますが、ただの脇役(アクション無し)なので期待しないように。

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4 コメント

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アルビン・プータロー (白扇仔)
2012-12-29 22:37:41
こ門様お久しぶりです。やっとコメント出来る作品が取り上げられたんでお邪魔します。

この作品は13年前に見たのですが、再見したかったので購入し(今年)、見たらすぐに処分する予定でしたが、意外とユーモラスだったし、ラストの「本当にお前が好きだったんだ」で、ちょっとウルっとしてしまい、少しお気に入りの作品になったので当分手放さないことにしました。

以前2chにも書きましたが、本作と「トゥルー・ドラゴン」という作品を(予備知識も無く)同時に借りて続けて視聴したところ、ストーリー、決勝戦の相手のセリフ、兄殺しの犯人のセリフまで同じだったんでズッコケたのを覚えています。調べたら製作者・監督・脚本家・原作者が同じでした。
で、パクリ問題について「Blood~」を軽く調べたところ、共通の脚本家がいましたよ。パクリではなく、ロジャコマの指示でやったことだと思われます。

「トゥルー~」は設定を未来としているところで差別化をしたつもりのようです。本作と比較すると、主役の動きは本作が良く、真犯人の動きは「トゥルー~」の方が良かったようです。

マイケル・J・ホワイトを発見した時は「おっ!」と期待したんですけどねぇ・・・


それでは、良い御年を!
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返信。 (龍争こ門)
2012-12-29 23:21:28
白扇仔さんこんばんは、お久し振りです。
一年以上もコメントできない作品ばかりが続き、申し訳ありませんでした。

 私も一応『トゥルー・ドラゴン』の存在は知っていますが、まだ視聴したことはありません(例によってネットでも近場でも見つからないのです・涙)。
それにしても3つの作品が同じ脚本家だったとは完全に盲点でした。『キック~』にロジャーは関わっていなかったようなので、てっきりリック監督の独断かと思ってました…(汗
というわけで、ご指摘の部分は訂正いたします。いつかは私も『トゥルー~』を視聴したいと思っています。
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2013年1番乗りっ! (白扇仔)
2013-01-01 01:12:23
こ門様あけましておめでとうございます。今年も当ブログ期待してますよ。

>一年以上もコメントできない作品ばかりが続き

謝られる理由は1ミリもありません。DVDレンタルをほとんどしない僕のせいですから。
去年のアタマくらいから中古VHSを買いまくって(オクや通販はせず、1本200円までと決めて)いて、昔レビューされた作品ならコメント出来そうなのですが、こ門様が作品の細かい点とか忘れていてレスしづらいかなぁ~と思って控えていました。
そんな作品のコメントをしても大丈夫でしょうか?

『トゥルー・ドラゴン』は、レンタルした店以外で置いてあるのを見た事がありません、自分も探しています。
こないだ「ストリート・クライム」入手しました。あと、ネットでほとんど情報が見つからないので自分にとっては極レア作品の「復讐拳」も入手しました。両方とも未見で、既見の作品を優先して見ています。

今年最初の更新は中旬頃ですか・・・ その頃にまでには、また中古VHSを数十本買っている(1月中に数ヶ所遠征する予定)と思います。それではまた。
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返信。 (龍争こ門)
2013-01-11 03:11:23
白扇仔さんこんばんは、お返事お待たせしました。
正月からいきなりド風邪をひいてしまった龍争こ門です(挨拶)

>去年のアタマくらいから中古VHSを買いまくって(オクや通販はせず、1本200円までと決めて)
 中古ビデオ探しはワクワクしますよね。私もネットに頼らず自分の足だけで探すのは大好きです。
…しかし、今はもう山口県で手頃な中古VHSを置いてる店が皆無となったため、今はオークションで地道に欲しいものを探しています(涙
過去の記事へのコメントですが、こちらはいつでも大歓迎です(一通りの作品は今も中古落ちで持ってます)。

>「ストリート・クライム」
>「復讐拳」
 『ストリート・クライム』入手しましたか!以前書いた記事では「ジークンドーを生かしきれてない」なんて書いてましたが、ドラマやアクションはそれほど悪くないので一見の価値はあります。
『復讐拳』は初めて聞く名前ですが、こんな作品もあったんですね。私はノンスターの格闘映画に関しては疎いので、こういった作品も開拓していきたいと思っています。
なお、ブログの更新は来週をめどに再開するつもりなので、それまで暫しお待ちを…!
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