功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

更新履歴(2014年/10月)

2014-10-31 23:08:13 | Weblog
 ようやくブログの更新ペースが戻り始め、ホッとひと息ついている龍争こ門です。ここ最近は年末に計画している1人旅の準備を進めていて、約10年ぶりとなる首都圏への上陸を心待ちにしています(笑顔
さて先月から告知してきた特集ですが、今回は日本が誇る功夫スター・倉田保昭が出演したTV作品のエピソードを取り上げてみたいと思います。題して、<倉田保昭、ブラウン管に現る>!
氏はスクリーン上だけでなく、TVの世界でも幾多の激闘を繰り広げてきました。来月の特集では、そんな和製ドラゴンの戦いをピックアップしていく予定です。意外な名優との対面、某アクションアワードで優秀賞に輝いたバトルなどなど…。ぶっちゃけ微妙な作品もあったりしますが(爆)、11月はまるごと倉田保昭で攻めまくります!


10/08 『ヒットマン』
10/16 『大教頭與騷娘子』
10/22 『ディレイルド 暴走超特急』
10/29 『レディ・スクワッド 淑女は拳銃がお好き』
10/30 『レディ・スクワッドII』
10/31 更新履歴(2014年/10月)

『レディ・スクワッドII』

2014-10-30 23:19:34 | 成龍(ジャッキー・チェン)
「レディ・スクワッドII」
原題:神勇飛虎霸王花
英題:The Inspector Wears Skirts II
製作:1989年

胡慧中(シベール・フー)が率いる女性特殊部隊に、新たな隊員たちが配属されることになった。
先輩の惠英紅(ベティ・ウェイ)や呉君如(サンドラ・ウン)らは、さっそく新人いびりを開始。優等生の梁韻蕊(リョン・ワンスイ)、ナイスバディの葉子[木眉](エイミー・イップ)を始めとした新人組も、負けじとやり返していく。
 そんな中、新たにテロ対策の教官として黄錦[火火火]木(メルビン・ウォン…以下、メルビンと表記が着任してきた。メルビンはとても厳しく、どうやら胡慧中に気があるご様子…。
折しも胡慧中の誕生日が近づいていたため、惠英紅たちは誕生パーティーにメルビンと飛虎隊の教官・馮淬帆(フォン・ツイフェン)を呼び、恋のチャンスを与えようとした。しかし奥手な馮淬帆は積極性に欠け、メルビンにリードを許してしまう。
 その後、女性特殊部隊と飛虎隊の合同演習が行われるも、連携が上手くいかなかったため散々な結果となった。隊長としてのプライドゆえか、馮淬帆は「失敗の原因は女性特殊部隊にある」と主張する。
白黒はっきり付けようと、胡慧中は再び男女間の対抗戦を実施。なかなか融和できない2人の教官だったが、対抗戦の末に始まった馮淬帆VSメルビンのバトルで和解することができた。
ところが今度は国際的な犯罪組織が暗躍し、山中に立てこもるという事件が発生した。さっそくメルビンが人質となり、窮地に立たされる女性特殊部隊と飛虎隊だが…!?

 女性だけの特殊部隊を巡るドタバタを描いた『レディ・スクワッド』。本作はそのヒットを受けて作られた続編で、製作を成龍(ジャッキー・チェン)、監督を錢昇[王韋](チン・シンウェイ)、武術指導を成家班が引き続き担当しています。
キャストもほぼ全員が続投し、今回は前作でチラッとだけ登場したメルビンがメインに昇格したほか、飛虎隊の隊員も何人か扱いが大きくなっていました。ただ新人隊員については、葉子[木眉]くらいしか目立って無かったかな?
 ストーリーは前作よりもギャグとラブコメ描写が増えており、そのぶんアクションが減っています。ただでさえシンシア・ラスロックが抜けただけでも痛いのに、アクションパート自体が少なくなってしまったのは残念でなりません。
主なファイトは食堂でのケンカと男女対抗戦だけで、ラストバトルも肉弾戦は少な目。ボスのダン・ミンツは動きがぎこちないし、またも登場するジェフ・ファルコン(もしかして前作と同役?)すら一瞬で敗北を喫します。
特訓シーンもインパクトに欠け、前作の炎上ランニングみたいな無茶ぶりもナシ。せめてオープニングにアクションを配し、ラストバトルはタイマン勝負で締めてほしかったなぁ…。

 と、このようにアクション面では不満の残る本作ですが、ストーリーは香港映画らしいギャグが満載! しょうもない小ネタが思わぬ形で役立ったりと、笑いのレベルも向上していました。
前作を見ていればニヤリとできるシーンも多く、次第に態度を軟化させていく胡慧中の可愛らしさ、女性陣の華やかな姿も見逃せません。少なくとも「コメディ作品」としては、上手く前作からグレードアップしていたと思います。
 最大の懸念事項だった樓南光(ビリー・ロウ)のキャラも見直されていて、相変わらずサイテーな行動ばかり取っていますが、そこそこ好感のもてるシーンが増えていました。
呉君如からパーティーの招待状を貰って喜んだり、ラストの銃撃戦で色目を使っていた葉子[木眉]ではなく、腐れ縁の呉君如を庇ったり…。まあ、流石にシャワールームを覗いた一件は擁護しきれませんが(爆
 前作を見ないと解りにくい部分があるものの、ラブコメとしては上等の作品。つくづくアクションシーンの薄さが惜しまれますが、香港では再びヒットを記録したそうです。
ちなみにその後、本シリーズは成龍とゴールデンハーベストの手を離れ、錢昇[王韋]によって2本の続編が撮られています。こっちも気になりますが、アクションの割合が本作よりも極端になっていたらと思うと……見たいような見たくないような…(苦笑

『レディ・スクワッド 淑女は拳銃がお好き』

2014-10-29 23:01:52 | 成龍(ジャッキー・チェン)
「レディ・スクワッド 淑女は拳銃がお好き」
原題:霸王花
英題:The Inspector Wears Skirts/Top Squad
製作:1988年

●香港警察が護衛していた中東某国の首長に、黒づくめのテロリスト集団が襲いかかった。刑事の胡慧中(シベール・フー)とシンシア・ラスロックがこれを撃退するも、首長夫人に男性警官が接触したことで国際問題となってしまう。
署長の董驃(トン・ピョウ)は、これを機に女性だけの特殊部隊の設立を提言。胡慧中が指導教官となり、各所から集められた婦人警官を鍛え上げていくこととなる。
 プライドの高い惠英紅(ベティ・ウェイ)、ちょっとニブい簡慧珍(レジーナ・ケント)、恋に悩む陳雅倫(エレン・チャン)と柏安[女尼](アン・ブリッジウォーター)、そしてギャグ担当の呉君如(サンドラ・ン)などなど…。
彼女たちは時に衝突し、時に笑いあいながら過酷な訓練に励んでいく。訓練所の近くには飛虎隊(香港映画でもお馴染みの実在する特殊部隊)の施設もあり、彼らとの騒動も日常茶飯事であった。
 シンシアが教官として合流し、飛虎隊の教官である馮淬帆(フォン・ツイフェン)が胡慧中に想いを寄せる中、董驃から「国際宝飾展の警備をせよ」との命令が飛んできた。高価な宝石を狙い、世界的な強盗団が動いているというのだ。
女性特殊部隊と飛虎隊は合同で警備に当たるが、ジェフ・ファルコン率いる強盗団は密かに行動を進めていく。果たして彼女たちは任務を全うし、一人前の特殊部隊隊員となれるのだろうか?

 80年代後半は『レディ・ハード/香港大捜査線』を皮切りに、『天使行動』などの女性アクション映画が流行していました。我らが成龍(ジャッキー・チェン)もそこに目をつけ、『クラッシュ・エンジェルズ/失われたダイヤモンド』で参入しています。
この『クラッシュ・エンジェルズ』はアクションコメディの快作で、女性アクション映画特有の湿っぽいイメージを払拭するような、底抜けに明るい作風が印象的でした。
 本作はその第2弾で、『クラッシュ・エンジェルズ』と比べるとアクションの割合が減っており、前作よりもコメディ色が強調されています。
この点は賛否が分かれるところですが、前作では単なるドタバタ騒ぎに尺が割かれていたのに対し、本作では恋のさや当てや隊員同士の交流などがメイン。ドラマとしては本作の方が充実していたと言えます。
 個性豊かな登場人物も魅力の1つで、個人的には胡慧中のキャラクターがツボでした。本作の彼女は鬼教官として女性陣をビシバシ鍛え、普段は女っぽい仕草すら見せません。
しかし終盤で馮淬帆から告白されそうになり、さる事情から一転して拒絶された胡慧中は露骨に残念がります。素っ気なさそうに見えて、実は意外と期待していたのでは…と思わせるこのシーン、私は結構お気に入りです(笑

 アクションはジャッキー率いる成家班が指導しているので、当然のごとくクオリティは上々。派手なアクションは最初と最後だけですが、訓練やちょっとした小競り合いにもスタントが織り込まれています。
そんな本作で最大の見せ場といえば、やはり語り草になっているジェフとのラストバトルでしょう。宝石を巡ってシンシアや惠英紅と対峙した彼は、なんと猿拳(!)や棒術を駆使して戦うのです。
 ここだけなら出来のいいファイトでしかありませんが、宝石を奪って逃走する彼に女性特殊部隊の面々が追い打ちをかけ、目を覆うような地獄絵図が展開されていました。
まずジェフが殴られて階段から転落→2階から飛び蹴りを喰らう→蹴られてステージに背中を強打→ドロップキックで吹っ飛ばされる→両腕を掴まれて柱に激突→最後はヒップアタックで終了するんですが……もうご愁傷様としか言えませんね(爆
 お馴染みの顔もたくさん出てくるし、『クラッシュ・エンジェルズ』に勝るとも劣らない出来の本作。しいて言えば、女の頬を叩きまくるデリカシーのない樓南光(ビリー・ロー)が少し不快だったかなぁ。
ちなみに本作はかなりのヒットを記録し、引き続き錢昇[王韋](チン・シンワイ)監督による続編が作られますが、それについては次回にて。

『ディレイルド 暴走超特急』

2014-10-22 23:22:54 | マーシャルアーツ映画:下
「ディレイルド 暴走超特急」
「ヴァン・ダム IN ディレイルド 暴走超特急」
原題:DERAILED/TERROR TRAIN
製作:2002年

●東欧のスロバキアにある軍事施設から、女泥棒のローラ・エレナ・ハリングが細菌兵器を盗み出した。秘密工作員のジャン=クロード・ヴァン・ダムは彼女を護送すべく、家族との休暇を打ち切るはめになる。
どうにか軍の追跡を振り切った2人は、特急列車に乗り込んで目的地のミュンヘンへと向かった。だが細菌兵器を狙うテロリストが現れ、乗客やヴァンダムを追いかけてきた家族が人質になってしまう。
 彼は事態の収拾を図るが、トラブルにより細菌兵器が列車内に拡散。乗客に感染が広がる中、次々と降りかかるアクシデントにたった1人で対処していく。だが、そうこうしているうちに軍によって列車の爆破が決定され、刻一刻とその時が近づきつつあった。
果たしてヴァンダムは家族と乗客を救い、テロリストを一掃できるのだろうか!?

 90年代に最盛を極めたヴァンダムですが、00年代に入るとその勢いも衰えつつありました。本作はそんな苦闘の時期を象徴するような、あらゆる面でイケてない作品です。
ストーリー的には列車アクションにウィルス・パニックを絡め、一粒で二度おいしい路線を狙ったものと思われます。しかし全体的に演出が地味で、キャラクターの描写も薄味。この手の作品に必要なケレン味が圧倒的に足りていません。
 余計なシーンも多く、中盤にヴァンダムがバイクで列車から下車→再び乗車するシーンなどは完全に不要です。そもそも追ってきた敵は大体倒してるので降りる必要はないし、むしろ発症してないとはいえヴァンダムが細菌をまき散らしているような気が…(汗
おまけにラスボスとの最終決戦はあっさり終わるわ、クライマックスとなる列車停止も全く盛り上がらないわと散々。ヴァンダムが息子(演ずるはヴァンダムの実子であるクリストファー・ヴァン・ヴァレンバーグ)と再会するシーンもかなり淡泊でした。

 一方で、アクションシーンは全体的に並みのボリュームを保っており、派手なカーチェイスや列車爆破などの見せ場もあります。ところが格闘戦となると思い切りが足らず、肝心のラスボス戦も先述の有様です。
自慢の回し蹴りも今回は控えめで、逆に演出(画面の二分割など)のせいで迫力が削がれていました。同じ列車アクションである『暴走特急』が、セガールという素材を上手く生かしていたことを考えると、本作はまさに正反対の出来と言えるでしょう。
 のちにヴァンダムは『その男ヴァン・ダム』に出演し、吹っ切れて再びド派手なアクション映画へ出るようになるのですが、そこへ至るまでの時期に撮った作品はあまり見ていません。どれも肉弾アクションは控えめのようですが、今後はこれらの作品にも目を通していきたいと思います。
…ところで、本作のラスボスを担当した声優が若本規夫だったのは、もしや『暴走特急』へのオマージュ!?(違

『大教頭與騷娘子』

2014-10-16 23:26:54 | カンフー映画:傑作
大教頭與騷娘子
英題:Bruce and the Iron Finger/Bruce Against Iron Hand
製作:1979年

▼かつて『クローン人間ブルース・リー/怒りのスリー・ドラゴン』という無茶苦茶な作品がありました。これは李小龍のバッタもん俳優を集結させた怪作で、これ以外にも“ブルース”の名を持つ男たちが集った作品が存在します。
例えばブルース・ライこと何宗道(ホー・チョンドー)が監督&主演した『龍的影子』には、共同監督として呂小龍(ブルース・リ)が参加。そして本作では、何宗道があの梁小龍(ブルース・リャン)と顔を合わせているのです。
この2人は『Gメン75』の香港ロケシリーズに出演しており、他にも本作には『Gメン』出演者が何人か顔を出しています。これで江島と楊斯(ヤン・スー)も出ていれば最高だったんだけどなぁ…(笑

■香港で謎の覆面通り魔による連続殺人事件が発生する。被害者はみな首筋に鉄指拳を叩き込まれており、武館の師範(?)に続いてクラブに雇われていた怪力男・染野行雄も殺された。
刑事の何宗道は、現場に残されていたペンダントを手掛かりに捜査を開始。死の直前に染野と一夜を過ごした李海姫に話を聞くが、これといって有力な情報は聞けなかった。
 そうこうしているうちに、仲間の刑事から「谷峰(クー・フェン)が師範代をしている道場が怪しいのでは?」との情報が舞い込み、何宗道は門下生になりすまして潜入を試みる。
しかし目ぼしいネタは得られず、師範の娘に密会しようとしていた恋人?を助けたため、道場を追い出されてしまう。だが最後にペンダントを見せられた谷峰は、去りゆく何宗道の背中に怪しく目を光らせていて……。
 その後、次に何宗道が接触したのは鉄指拳道場の先生・梁小龍だった。両者は誤解から衝突するが、最終的に和解して捜査に協力してくれることに。しかし敵は卑怯な罠を仕掛けようと、密かに動き出していたのである。
もうバレバレなので先に言ってしまうが(爆)、覆面通り魔の正体は谷峰であった。彼は裏で人身売買を行っており、道場生の方野や宋金來とともに暗躍。例の連続殺人で殺した相手は、ほとんどが男癖の悪い愛人・李海姫の浮気相手だったのだ。
 何宗道が嗅ぎまわっているのに気付いた谷峰は、彼と何も知らない師範の娘を刺客に殺させようと画策。懲りずに浮気を続ける李海姫とその相手を始末し、仲間や商売道具ともども高飛びを謀った。
しかし刺客の李海生(リー・ハイサン)は何宗道に倒され、師範の娘は警察に保護された。死に際の李海姫が吐いたことで谷峰の容疑は確定的となり、何宗道と梁小龍は最後の戦いに向かう!

▲やたらと露骨なお色気シーンが多く、犯人が解りやすいのでサスペンスとしては微妙ですが、作品そのものは明るいタッチの快作に仕上がっています。
本作のカラーを晴れやかにしたのは、人間味のある主人公たちのキャラクターにあるといえるでしょう。お調子者の梁小龍はもちろん、真面目だけど捜査でミスってしまう何宗道の姿も微笑ましく感じました。
 この2人の共演は制作サイドもアピールしたかったようで、両者の対決も協利作品ばりにじっくりと描写されています。武術指導は梁小龍と梁小熊の兄弟コンビなので、クオリティに関しては何ら問題ありません。
何宗道の動きはいつも以上に鋭く、梁小龍も負けじと繊細な動作が要求される鉄指拳で対抗!そんな2人の前に立ちはだかるのが谷峰で、本作では虎拳に加えて鐵布杉らしき防御技まで身に付けていました。
 クライマックスでは2対1の戦いとなり、鐵布杉の弱点を突こうとする功夫片の黄金パターンへ移行しますが、これを現代劇でやると新鮮に見えるから不思議です(オチも倒して終わりではないのがミソ)。
梁小龍の出番は『大福星』のジャッキーに近いものの、出来に関しては上々。監督の杜魯波は梁小龍とのコンビ作が多いので、いつかはコンプリートしてみたいですね。

『ヒットマン』

2014-10-08 23:09:03 | 李連杰(ジェット・リー)
「ヒットマン」
原題:殺手之王
英題:Hitman/King of Killers/Contract Killer
製作:1998年

●謎に包まれた殺し屋・炎の天使が、香港に財閥を築き上げた塚本グループの総帥(佐原健二)を殺害した。総帥は旧日本軍上がりの悪党で、自分が殺された時のために“復讐基金”なるシステムを用意していた。
このシステムによって炎の天使に1億米ドルの賞金が掛けられ、世界中から続々とヒットマンが集結しはじめる。大陸から来た元兵士の李連杰(リー・リンチェイ)も、高額の賞金につられた者の1人であった。
 だが温厚な彼は人殺しの経験など無く、事情通のチンピラ・曾志偉(エリック・ツァン)に殺しのイロハを教わりながらターゲットを追うことになる。実は曾志偉には梁詠[王其](ジジ・リョン)という娘がいるのだが、どうも親子関係は良くないらしい。
そんな中、総帥の孫である佐藤佳次も1億米ドルの争奪戦に加わり、基金の審判員を抱き込んで密かに行動していた。彼らの暗躍に気付いた李連杰たちは、先んじて事件の重要人物と思われる老人に接触するも、ドンパチの最中に老人は死んでしまう。
佐藤に睨まれて立場が悪くなってきた曾志偉は、ここに至って李連杰に真実を明かした。佐原と老人に浅からぬ因縁があった事、そこへ割って入ったために自分が炎の天使だと疑われている事、そして是が非でも大金をモノにしたいという事を…。
しかし佐藤の追及はなおも続き、李連杰たちは塚本グループの本社ビルへと乗り込んでいく。炎の天使の正体が判明する中、ついに最後の戦いの幕は切って落とされた。果たして最後に生き残り、1億米ドルを手にするのは誰なのか!?

 李連杰がハリウッドへ上陸する直前に撮られた作品ですが、正直言ってそれほど面白い作品ではありません。全体的に作り込みが甘く、登場人物の設定にも影響が及んでいます。
特に主人公である李連杰の人物像には若干の矛盾があり、やや感情移入がしづらいキャラとなっていました。本作の彼は優しい性格の持ち主でありながら、戦いとなると卓越した武術の腕前を発揮します。しかし元兵士だと劇中で語ってはいますが、人を殺したことがない李連杰が異様に実戦慣れしているのは不自然に思えてなりません。
しかも彼の隣にはアクの強い曾志偉が控えており、あやふやな設定を持つ李連杰の影は薄くなる一方。その曾志偉にしても、李連杰に目を付けてプロデュースした理由は最後まで語られないのです。
 ストーリーも炎の天使を巡る戦いをメインにするのか、それとも曾志偉のドラマを主題にしたいのか解らず、どちらのパートも盛り上がりに欠けていました(曾志偉と梁詠[王其]のエピソードは悪くないんですが…)。
ただしアクションシーンだけは平均以上のものを残しており、レーザーポインターを仕込んだ指輪を使うポール・ラプスキーとの対決、エレベーターシャフト内での戦いは工夫が凝らされています。
ラストバトルも三者三様のバトルが展開され、曾志偉の七転八倒(笑)も含めてなかなか楽しめました。とはいえ作品としてのレベルはイマイチ止まり。世界中から来た殺し屋も2人くらいしか出てこないので、あまり期待しすぎない方がいいでしょう。