「少林キッズ」
原題:小醉拳
英題:THE LITTLE DRUNKEN MASTERS
制作:1995年
●ここは天下の少林寺。18人の小坊主たちが今日も修行に明け暮れていたが、クーデターを目論む朝廷の将軍・
熊欣欣(チョン・シンシン)が現れ、「病床の皇帝を助けるために生き仏を差し出せ!」と押し入ってきた。
この混乱で館長ら幾人の少林僧が倒れ、たまたま少林寺に居合わせていた
李若[丹三](カルメン・リー)は、小坊主たちと共に生き仏の秘密を知る三徳和尚(!)を求めて決死行に挑んだ。
道中、ケチな人形遣いの
季天笙と出会った一行は旅費稼ぎに奔走するが、熊欣欣と追っ手たちは追及の手を緩めない。そうこうしているうちに李若[丹三]と小坊主たちがアクシデントで離散し、たちまち敵兵に捕まってしまった。
季天笙はたった1人で敵陣へ救出に向かい、三徳和尚(
劉錫明)の救援によってどうにか皆を救う事が出来た。しかし野望に燃える熊欣欣は、一行が隠れていた酒蔵へと悪鬼の如き形相で現れるのだが…。
本作は日本で『少林サッカー』が公開された際、どさくさに紛れてリリースされた作品です。見ての通り、邦題は明らかに『少林サッカー』を意識していますが、実際は
90年代に製作された『酔拳2』の便乗作だったりします(苦笑
キャストには黄飛鴻映画にゆかりのある俳優が揃えられており、『酔拳3』で主人公に扮した季天笙や、
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地雷鳴』でラスボスを演じた熊欣欣が似たような役柄で起用されていました。
しかし看板に偽りありとはこの事で、「小醉拳」というタイトルなのに
酔拳はほとんど活躍しません。何度か小坊主たちが演武を披露するシーンはありますが、酔拳らしい酔拳を見ることができるのはここだけで、ラストバトルでは影も形も無いのです。
武術指導は
袁家班の袁祥仁(ユエン・チョンヤン)が受け持っているため、アクションのクオリティはそれなりに高いレベルを維持しています。ただしストーリーについては統一感に欠け、コメディタッチの展開から突然悲惨な展開になったりと、かなりチグハグな印象を受けました。
三徳和尚という大物キャラが子供の笑い物にされる点や、本当に90年代の映画なのかと思ってしまうほど古臭い作風など、様々な部分に疑問符がつきまとう本作。とはいえ、こうして90年代も
好小子の系譜が密かに守られ続けていた…その一点だけは評価してもいいのではないでしょうか。