廣東鐵橋三
英題:Cantonen Iron Kung Fu/Iron Fisted Warrior/The Iron Hand Boxer
製作:1979年
●梁家仁(リャン・カーヤン)は町の運送屋で働く力自慢の若者。ケンカの腕もめっぽう強く、今日も友人の胖三(パン・サン)や丁華寵たちとダベったり、八百屋の李超(本作の監督も兼任)と腕比べをしていた。
そんな彼らの前に、馬金谷がリーダーを務める謎の一団が現れる。連中は謎の黒幕に命じられ、武術大会を主催して挑戦者を募りはじめた。どうやら誰かを探しているらしく、最近になって町に来た王鐘(ワン・チン)は意味深な反応を見せる。
案の定、武術大会は馬金谷たちが勝ち続け、挑戦した李超も重傷を負ってしまう。友の仇を討つべく、梁家仁は町の有力者にして武術の達人・王侠のもとで武術の特訓を始めるのだった。
しかし、リベンジしたい気持ちが先走った梁家仁は、修行も満足に受けていない状態で大会に参戦。おかげで強大な馬金谷には歯が立たず、さらには容体の悪化した李超が死亡してしまう。彼は自らの行いを反省し、修行に集中することを誓った。
一方、武術大会では馬金谷に代わって李登財が挑戦を受けていたが、達人である王鐘の前に完敗する。これを機に馬金谷たちは暗躍を開始し、梁家仁の友人たちが次々と犠牲になっていく(なぜ梁家仁の友人たちが襲われたのかは不明)。
敵の内情を探ろうとした丁華寵が、そして王侠までもが敵の魔手に倒れ、これに気を良くした黒幕・高飛(コー・フェイ)が遂に姿を現した。しかし梁家仁も黙ってはおらず、憎き馬金谷との対決に挑もうとする。
戦いは一進一退で進むが、そこに突如として王鐘が介入。実は彼こそが馬金谷たちの探していた人物であり、高飛と敵対する存在だったのだ。梁家仁は死闘の末に馬金谷を倒し、本懐を遂げると修行の日々へ戻っていった。
そのころ、王鐘は高飛との最終決戦に臨んでいたが、実力は相手が一枚も二枚も上手。たちまち劣勢に立たされ、助太刀に現れた梁家仁が立ち向かうのだが…!?
本作は『飛竜カンフー』で監督デビューを飾り、この直後に『必殺のダブルドラゴン』を手掛けることになる李超の監督作です。当時流行していた『酔拳』の便乗作で、実在の拳法家・鐵橋三を扱ったコメディ功夫片として作られています。
このスタッフとキャストなら『必殺の~』と同じハイテンションな快作を期待してしまいますが、実際の作品はわりと大人しめ。笑える描写はそこそこありますが、本筋はシリアスかつ人死にが多いため、コメディとしては微妙な出来です。
恐らく、監督の李超はストーリーに一捻りを加え、他のフォロワーとは違った作品を目指したのでしょう。しかしこの目論見は裏目に出てしまい、単に物語を解り辛くしただけで終わっています。
思えば、彼は『飛竜カンフー』でもコメディに失敗しており、本作で同じミスを繰り返したことになります。李超もその点は自覚していたらしく、より娯楽性を高めた『必殺の~』で見事に雪辱を晴らしていますが、それはまた別の話…。
一方でアクション描写に関しては、梁家仁を筆頭に実力派の俳優が揃っているため、平均以上のクオリティは保たれていました。ただ、豪快なムーブで押し切っていた『必殺の~』と違い、ややメリハリに欠けている感があります。
ラストバトルの梁家仁VS高飛も、両者の動きは相変わらず力強さに満ちているものの、本作ならでは!と言えるような個性が感じられません。次回作の『必殺の~』で主役を増員し、解りやすい拳法を用いたのは今回の難点を省みた結果なのだと思われます。
決して完成度は高くありませんが、のちの傑作を生み出すための下地になった重要な作品。本作を見た上で『必殺のダブルドラゴン』を見返すと、また違った発見があるかもしれませんね。
英題:Cantonen Iron Kung Fu/Iron Fisted Warrior/The Iron Hand Boxer
製作:1979年
●梁家仁(リャン・カーヤン)は町の運送屋で働く力自慢の若者。ケンカの腕もめっぽう強く、今日も友人の胖三(パン・サン)や丁華寵たちとダベったり、八百屋の李超(本作の監督も兼任)と腕比べをしていた。
そんな彼らの前に、馬金谷がリーダーを務める謎の一団が現れる。連中は謎の黒幕に命じられ、武術大会を主催して挑戦者を募りはじめた。どうやら誰かを探しているらしく、最近になって町に来た王鐘(ワン・チン)は意味深な反応を見せる。
案の定、武術大会は馬金谷たちが勝ち続け、挑戦した李超も重傷を負ってしまう。友の仇を討つべく、梁家仁は町の有力者にして武術の達人・王侠のもとで武術の特訓を始めるのだった。
しかし、リベンジしたい気持ちが先走った梁家仁は、修行も満足に受けていない状態で大会に参戦。おかげで強大な馬金谷には歯が立たず、さらには容体の悪化した李超が死亡してしまう。彼は自らの行いを反省し、修行に集中することを誓った。
一方、武術大会では馬金谷に代わって李登財が挑戦を受けていたが、達人である王鐘の前に完敗する。これを機に馬金谷たちは暗躍を開始し、梁家仁の友人たちが次々と犠牲になっていく(なぜ梁家仁の友人たちが襲われたのかは不明)。
敵の内情を探ろうとした丁華寵が、そして王侠までもが敵の魔手に倒れ、これに気を良くした黒幕・高飛(コー・フェイ)が遂に姿を現した。しかし梁家仁も黙ってはおらず、憎き馬金谷との対決に挑もうとする。
戦いは一進一退で進むが、そこに突如として王鐘が介入。実は彼こそが馬金谷たちの探していた人物であり、高飛と敵対する存在だったのだ。梁家仁は死闘の末に馬金谷を倒し、本懐を遂げると修行の日々へ戻っていった。
そのころ、王鐘は高飛との最終決戦に臨んでいたが、実力は相手が一枚も二枚も上手。たちまち劣勢に立たされ、助太刀に現れた梁家仁が立ち向かうのだが…!?
本作は『飛竜カンフー』で監督デビューを飾り、この直後に『必殺のダブルドラゴン』を手掛けることになる李超の監督作です。当時流行していた『酔拳』の便乗作で、実在の拳法家・鐵橋三を扱ったコメディ功夫片として作られています。
このスタッフとキャストなら『必殺の~』と同じハイテンションな快作を期待してしまいますが、実際の作品はわりと大人しめ。笑える描写はそこそこありますが、本筋はシリアスかつ人死にが多いため、コメディとしては微妙な出来です。
恐らく、監督の李超はストーリーに一捻りを加え、他のフォロワーとは違った作品を目指したのでしょう。しかしこの目論見は裏目に出てしまい、単に物語を解り辛くしただけで終わっています。
思えば、彼は『飛竜カンフー』でもコメディに失敗しており、本作で同じミスを繰り返したことになります。李超もその点は自覚していたらしく、より娯楽性を高めた『必殺の~』で見事に雪辱を晴らしていますが、それはまた別の話…。
一方でアクション描写に関しては、梁家仁を筆頭に実力派の俳優が揃っているため、平均以上のクオリティは保たれていました。ただ、豪快なムーブで押し切っていた『必殺の~』と違い、ややメリハリに欠けている感があります。
ラストバトルの梁家仁VS高飛も、両者の動きは相変わらず力強さに満ちているものの、本作ならでは!と言えるような個性が感じられません。次回作の『必殺の~』で主役を増員し、解りやすい拳法を用いたのは今回の難点を省みた結果なのだと思われます。
決して完成度は高くありませんが、のちの傑作を生み出すための下地になった重要な作品。本作を見た上で『必殺のダブルドラゴン』を見返すと、また違った発見があるかもしれませんね。