「十福星」
最佳福星
Lucky Stars Go Places
1986
●日本ではサモハンの人気コメディシリーズとして名高い福星シリーズ。日本では『五福星』『大福星』『七福星』の3本が公開されたが、それ以降もシリーズは作り続けられており、第4弾となる本作は日本に入ってきた最後の福星作品である。
しかし、ジャッキーとユンピョウがシリーズから離脱。苦肉の策として『悪漢探偵』シリーズ(こちらも許冠傑(サミュエル・ホイ)が離脱している)とドッキングし、更に新しい福星メンバーを添えて華やかにしようとしていた…が、これが大失敗作となっている。本作に脚本が6人もいることからその混乱ぶりは察することができるが、とにかくヒドい出来なのだ。
まず、新福星メンバーは劉徳華(アンディ・ラウ)、譚詠麟(アラン・タム)、鄭則士(ケント・チェン)陳友(アンソニー・チェン)、樓南光(ビリー・ロウ)とそれなりに豪華な面子揃い。だが明確な性格設定と個性のあった前福星メンバーに比してこちらはあまり魅力が無く、陳友と樓南光がキャラが被っていたり譚詠麟がただのヘタレだったりといいとこなしである。
更に以前は福星メンバーもそれなりに体当たりアクションに挑んでいたものの、本作で頑張っているのは劉徳華ただ1人だけである。ギャグ面でもその優柔不断ぶりは炸裂し、鄭則士の笑えないギャグや明らかにマンネリ気味のイタズラなど、正直見ていて辛かった。本作のみの措置だったのかは不明だが、本作以降福星シリーズにこの新福星メンバーが登場する事は無かった。
次に問題なのがサモハンだ。本作では前半に登場した後は新福星メンバーが主役となり、最後の最後で劉徳華がピンチになった時にいいところをかっさらうという、まるで石原裕次郎みたいな立ち回りなのである。ちなみに、本作以降サモハンは次第に福星シリーズには出演しなくなっていくのだが、それはまた別の話…。
そしてここが1番の問題点だが、本作はキャラクター設定がメチャクチャなのだ。サモハンに連絡を取らずに勝手に強盗行為をする福星メンバーたちから始まって、支離滅裂な発言をする曹達華(チョウ・ダーワ)と、誰も彼もシリーズを見ていたら違和感を感じ得ない変な行動ばかりしている。特に麥嘉(カール・マッカ)は誤解と嫉妬からサモハンを陥れようとあれこれ暗躍し(当然サモハンは何が何だか解らない)、本作の彼はただ邪魔するだけの嫌なオヤジと化している。『悪漢探偵』を見ていればこの行動にも合点がつくかもしれないが、知らない私からしてみれば単に腹が立つ存在でしかなかった。
脚本が迷走し、キャラクターが崩壊し、これでアクションも駄目だったら完全に救いようが無いが、そこはギリギリ松井哲也が守っていたのでどうにかクオリティを保つ事はできた。が、一部のファンからは黒歴史扱いされるほどの内容だったのは確か。もう少しどうにかならなかったのだろうか、非常に勿体無い作品である。
最佳福星
Lucky Stars Go Places
1986
●日本ではサモハンの人気コメディシリーズとして名高い福星シリーズ。日本では『五福星』『大福星』『七福星』の3本が公開されたが、それ以降もシリーズは作り続けられており、第4弾となる本作は日本に入ってきた最後の福星作品である。
しかし、ジャッキーとユンピョウがシリーズから離脱。苦肉の策として『悪漢探偵』シリーズ(こちらも許冠傑(サミュエル・ホイ)が離脱している)とドッキングし、更に新しい福星メンバーを添えて華やかにしようとしていた…が、これが大失敗作となっている。本作に脚本が6人もいることからその混乱ぶりは察することができるが、とにかくヒドい出来なのだ。
まず、新福星メンバーは劉徳華(アンディ・ラウ)、譚詠麟(アラン・タム)、鄭則士(ケント・チェン)陳友(アンソニー・チェン)、樓南光(ビリー・ロウ)とそれなりに豪華な面子揃い。だが明確な性格設定と個性のあった前福星メンバーに比してこちらはあまり魅力が無く、陳友と樓南光がキャラが被っていたり譚詠麟がただのヘタレだったりといいとこなしである。
更に以前は福星メンバーもそれなりに体当たりアクションに挑んでいたものの、本作で頑張っているのは劉徳華ただ1人だけである。ギャグ面でもその優柔不断ぶりは炸裂し、鄭則士の笑えないギャグや明らかにマンネリ気味のイタズラなど、正直見ていて辛かった。本作のみの措置だったのかは不明だが、本作以降福星シリーズにこの新福星メンバーが登場する事は無かった。
次に問題なのがサモハンだ。本作では前半に登場した後は新福星メンバーが主役となり、最後の最後で劉徳華がピンチになった時にいいところをかっさらうという、まるで石原裕次郎みたいな立ち回りなのである。ちなみに、本作以降サモハンは次第に福星シリーズには出演しなくなっていくのだが、それはまた別の話…。
そしてここが1番の問題点だが、本作はキャラクター設定がメチャクチャなのだ。サモハンに連絡を取らずに勝手に強盗行為をする福星メンバーたちから始まって、支離滅裂な発言をする曹達華(チョウ・ダーワ)と、誰も彼もシリーズを見ていたら違和感を感じ得ない変な行動ばかりしている。特に麥嘉(カール・マッカ)は誤解と嫉妬からサモハンを陥れようとあれこれ暗躍し(当然サモハンは何が何だか解らない)、本作の彼はただ邪魔するだけの嫌なオヤジと化している。『悪漢探偵』を見ていればこの行動にも合点がつくかもしれないが、知らない私からしてみれば単に腹が立つ存在でしかなかった。
脚本が迷走し、キャラクターが崩壊し、これでアクションも駄目だったら完全に救いようが無いが、そこはギリギリ松井哲也が守っていたのでどうにかクオリティを保つ事はできた。が、一部のファンからは黒歴史扱いされるほどの内容だったのは確か。もう少しどうにかならなかったのだろうか、非常に勿体無い作品である。