功夫電影専科

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『THE SPIRIT 怒りの正拳』

2011-04-27 23:40:25 | カンフー映画:珍作
「THE SPIRIT 怒りの正拳」
原題:無敵小子霍元甲
英題:Insuperable Kid
製作:2005年

●舞台は清朝末期の中国。腐敗した国家を倒すため、太平天国の生き残りによって革命の軍資金が運ばれようとしていた。政府はこれを押収しようと企むが、突如現れた謎の刺客が先んじて行動を起こし、輸送していた[金票]局(ボディガードを兼ねた宅配集団)を皆殺しにしてしまう。襲撃の中で唯一生き残った少年・霍元甲は、[金票]局のリーダーだった父の仇討ち&奪われた軍資金を取り戻すべく、たった1人で出奔するのだった。
悪らつな日本人の集団と敵対しながらも、霍元甲は太平天国の残党たちと合流。父殺しの犯人が日本人であることを知った一行は、まず最初に襲撃を指揮した裏切り者を政府の役人に排除させ、続いて軍資金の奪還に着手しようと試みた。しかし相手は二重三重の策を用意しており、巧妙な罠によって仲間たちが囚われの身に……日本人たちは政府の役人と結託し、事態は悪化の一途を辿っていく。果たして霍元甲は、全ての困難に打ち勝つことが出来るのか!?

 タイトルを見れば一目瞭然ですが、本作は李連杰(リー・リンチェイ)最後の古装片である『SPIRIT』に便乗した作品で、霍元甲の少年時代にスポットを当てた内容となっています。とはいえ、ストーリーそのものはオーソドックスな仇討ちモノの流れで、功夫シーンが出てくる割合もそれほど多くないです。
監督は作中で姑息な役人を演じた午馬(ウー・マ)と、裏切り者に扮した徐小健の2人が担当しています。午馬は香港映画の巨匠・張徹の補佐をしていた事で有名ですが、実は徐小健もショウブラザーズ離脱後の張徹に俳優として育てられたという、れっきとした張徹組の1人。『カンフーハッスル』の董志華とは同期で、晩年の張徹作品を盛り上げた最後のスターなのです(本作ではチラッとアクションも披露)。功夫映画ファンなら「張徹門下の両名が監督!」ということで期待が膨らみますが、先述したようにボチボチの出来止まりとなっていました。
 功夫アクションは可も不可も無い雰囲気で、悪くはないけど何かが足りない…という印象を受けました。そのアクションに挑むキャスト陣なのですが、これが便乗作品とは思えないほど充実しています。まず味方サイドの太平天国残党には『大酔侠』の鄭佩佩、霍元甲の仲間である大刀王五は『ワンチャイ/天地黎明』の黄子揚、日本人のボスは元祖少林寺スターこと劉家輝、その配下には惠天賜、午馬の手下として林威まで!う~ん、凄い面子だ(笑
当然、この面々が絡んでくるラストバトルはそれなりに面白いのですが、主演である徐小龍が父の仇にトドメを刺さなかったり(何故かヒロインの彭丹が殺ります)、『詩人の大冒険』を髣髴とさせる鄭佩佩VS劉家輝の結末が描かれなかったりと、随所で描写不足が見られます。アクションの振り付け次第では傑作になれたかもしれず、この点に関しては惜しいと言わざるを得ませんでした。

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