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功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

メジャー大作を振り返る:日米編(3)『魔界転生(1981年版)』

2016-05-22 23:01:55 | 千葉真一とJAC
「魔界転生」
英題:Samurai Resurrection
製作:1981年

▼日本における格闘アクション映画の第一人者にして、今もなお精力的な活動を続ける千葉真一。そんな彼が設立したJAC(ジャパン・アクション・クラブ)にとって、80年代は全盛期といえる時代でした。
『戦国自衛隊』でスタント表現を極めていた千葉とJACは、新進気鋭のニューフェイス・真田広之の主演作を連発。その路線は『里見八犬伝』で最高潮を迎え、TVでは特撮ヒーローや『影の軍団』シリーズが人気を博します。
多くのスターを擁した彼らは、やがてJACアクションの集大成となる『将軍家光の乱心 激突』を手掛けますが、本作はアクション推しの作品とは一線を画す内容に仕上がっているのです。

■島原の乱で大勢のキリシタンとともに処刑された天草四郎時貞(沢田研二)が蘇った。彼は神を見限り、魔界の力を借り受けることで秘術・魔界転生を会得。この世に未練を残して死んだ者たちを復活させ、徳川幕府への復讐を目論んだ。
手始めに彼は、細川ガラシャ(佳那優子)を徳川家綱の元に送り込み、彼を骨抜きにして政権を揺るがせる。さらに作物に呪いをかけて民衆を惑わし、幕府に反旗を翻すよう仕向けていった。
 一方、沢田ら魔界衆の動きを察知した千葉であったが、父・柳生但馬守(若山富三郎)までもが敵に回ってしまう。千葉は刀鍛冶の丹波哲郎に依頼し、化物退治の妖刀を製造。彼や魔界に魅入られた真田の死を乗り越え、遂に全面対決の時を迎える。
剣豪・宮本武蔵(緒方拳)を下した千葉は、燃え盛る江戸城で最後の決戦を挑んだ。果たして勝敗の行方は、そして沢田との決着は…!?

▲長編小説の映画化だけあって、本作はキャラクターを切り詰めてストーリーの再構成を敢行。そのせいか冷静に見てみると、真田が活躍するパートは本筋から浮いているし、ラストも投げっぱなしなオチとなっていました。
とはいえ、深作欣二監督による演出は一切の妥協がなく、山田風太郎の世界観を圧倒的な暴力と迫力で表現しています。特筆すべきは出演者たちの見せる存在感で、誰も彼もが独特の妖気を漂わせているのです。
 妖艶さすら感じさせる沢田、野性味あふれる千葉、淫靡さと狂気を兼ね備えた佳那、もはや怪物としか言えない緒方などなど…。中でも柳生但馬守を熱演した若山富三郎は、影の主人公と呼んでも差し支えありません。
物語前半で転生した彼は、これを境に人間らしい仕草をしなくなり、化け物じみた挙動で千葉に迫ります。その立ち振る舞い、アクションでの動作などは完全に人間のそれではなく、本当に魔界転生したんじゃないかと思うほどのものでした(爆
クライマックスの江戸城決戦では、『子連れ狼』でも見せた抜群の運動神経を生かし、年老いた外見からは想像もつかないほど軽快な殺陣を披露。最後のVS千葉では、2人のやり取りや劇的な決着など、インパクト抜群の名勝負となっています。
 この他、方々で見せる真田の華麗な立ち回りや、緊張感に富んだ千葉VS緒方など、アクションの見せ場も少なくない本作。しかし役者たちによる“存在感の激突”が凄まじく、邦画史に残るアクション大作であることは明々白々と言えるでしょう。
さて、二か月に渡ってお送りした「メジャー大作を振り返る」も次回でいよいよ最終回。最後はド派手な作品で――と思いましたが、ここは敢えて蟷螂拳を駆使する刑事アクションをレビューしてみる予定です!

『ザ・サイレンサー』

2016-02-16 12:46:24 | 千葉真一とJAC
「ザ・サイレンサー」
「MAGNUM 357/ザ・サイレンサー」
英題:THE SILENCER: MAGNUM 357/CODENAME: SILENCER/BODY COUNT
製作:1995年

●ニューオリンズに居を構えるマフィアのボスが、凄腕ヒットマンの千葉真一に射殺された。刑事のロバート・ダヴィたちは彼の居場所を突き止め、どうにか逮捕に成功する。
それから一年半後、千葉は自分の情報を警察に漏らした裏切り者を始末すべく、情婦のブリジット・ニールセンと協力して脱獄。刑事の中に黒幕がいると知り、次々と殺しに手を染めていった。
FBI捜査官のシンディ・アンブエルと手を組んだロバートは、一連の事件に警察内部の横領疑惑が関与していることに気付く。謎が謎を呼ぶ中、大都会を舞台に男たちの死闘が始まる!

 『エイセス/大空の誓い』以降、海外市場を舞台に活躍していた千葉真一ですが、なかなか名作・傑作の類に巡り会えずにいました。本作は東映とアメリカのプロダクションが合作した作品で、こちらも例によって微妙な出来となっています。
物語としては、2人の男を主軸にしたサスペンス・アクションとなっていますが、その内容はスッカスカ。ひたすら千葉が刑事を殺し、ひたすらロバートが地味な捜査を続けるだけで、これといって大きなイベントが起こってくれないのです。
 私としては真相を知った主役2人が共闘し、裏のありそうなブリジットがいつ裏切るか期待しましたが、そういうサプライズ展開もまったくありません(爆
結局、千葉とブリジットは最後まで真実を知ることなく死亡。事件の黒幕もはっきりと末路が明示されず、モヤモヤした雰囲気のままストーリーは幕を閉じていました。

 アクションシーンの質についても問題だらけで、そのクオリティは凡百のマーシャルアーツ映画以下となっています。原因はJACの援護が得られず、受け手に動ける面子がほとんどいなかった点にあると言えるでしょう。
おかげで刑事が襲われるシークエンスでは、全員(計4名)が一方的に惨殺されてしまうため、千葉の得意とする体術がほとんど見られないのです。せめて1人くらいは食い下がって欲しかったなぁ…。
 ラストはロバートと路面電車をジャックした千葉のバトルが勃発。そこそこ身体を張ったスタントがあったりしますが、最後のがっかり爆破シーンに全てを持ってかれていました(苦笑
最初から最後まで不発だらけの本作。間違いなく千葉の海外遠征作品ではワーストの出来ですが、監督が『GEDO/外道』ダレン・スーでは無理からぬ話だったのでしょう。
その後、諸国をさすらった千葉は香港映画に流れ着き、『風雲 ストームライダーズ』でブレイクを果たします。もし本作が何かの間違いで大ヒットを記録していたら、香港で活躍する彼を見ることが出来なかったかもしれませんね。

志穂美悦子、ブラウン管に現る『それゆけ孔雀警視』

2014-11-21 23:34:41 | 千葉真一とJAC
「それゆけ孔雀警視」
製作:1987年

▼今回は非常に残念なお知らせがあります。本来なら刑事ドラマの金字塔である『特捜最前線』から、倉田保昭がゲスト出演していた第226話「太鼓を打つ刑事!」を紹介したかったのですが、録画していたDVDを確認するとデータが破損しており、どうやっても視聴することができません(涙
レンタル版も近場には置いておらず、ゆえに今回は緊急措置として志穂美悦子が主演したTVドラマをレビューいたしますので、どうかご了承ください…。
 本作は志茂田景樹の同名小説を原作にしたもので、恐らくは同年に引退を決意した彼女にとって、格闘シーンを見せた最後の作品と思われます。
共演は古尾谷雅人に伊東四朗、そのほかにも意外と豪華なキャストが顔を揃えており、志穂美自身もはっちゃけた性格の主人公をのびのびと演じていました。

■型破りな警視庁の女警視・志穂美は、上司である伊藤の反対を押し切って休暇を申請。年下の恋人・古尾谷と旅行に行くのだが、浜名湖でボートが爆発する現場に出くわす。
乗っていた売り出し中の女優・南条玲子と、サラ金会社の社長・小沢象は志穂美に助け出され、どうにか事なきを得た。その後、旅行を再開して京都に来た2人であったが、今度はそこで身代金目当ての誘拐事件に遭遇する。
 実は誘拐されたのは小沢の一人息子で、新幹線の車内から姿を消した後に脅迫電話がかかってきたらしい。伊藤の要請で捜査に加わるよう命じられた志穂美だが、その矢先に今度は古尾谷が誘拐されてしまう。
犯人の指示で身代金の受け渡し役となった彼女は、散々振り回された挙句にまんまとカネを奪われ、真犯人を取り逃がす結果となった。雪辱に燃える志穂美は、古尾谷とともに捜査へ乗り出していく。
果たして新幹線から子供を誘拐したトリックとは?ボートの爆破と誘拐事件の関係とは? 南条の隠された過去が暴かれる時、意外な真実が明かされる…!

▲作品としてはよくある2時間サスペンスもので、全体的に80年代末期のバブリーな雰囲気に包まれています。ただ、身代金の受け渡しやカラオケで憂さ晴らしするシーンなど、尺を取りすぎて冗長さを感じてしまう場面がいくつかありました。
しかし登場人物はそれなりにキャラが立っており、特に志穂美はパワフルなアラフォー警視を好演。本作の彼女は行動力に富み、劇中ではちょっとした七変化(ハイレグ姿や入浴シーン)まで披露しているのです。
 アクションは京都で数人の男と立ち回る場面だけですが、動きにくそうなドレス姿で優雅に戦っていました。この絡み役にはきくち英一の姿もあり、『帰って来た女必殺拳』で対戦できなかった両者の手合せが見られます。
ちなみにAV監督役でハッスルしまくりの竹中直人、おかまバーの歌手役にコロッケ、温泉客役で原作者の志茂田氏が登場。JACの後輩である森永奈緒美も出ていますが、新幹線の移動販売員役なので出番はごく僅かでした。
 ところで新幹線で子供を誘拐したトリックですが、なんとその仕掛けはソープランドのコスプレ衣装(!)を使って販売員に化け、盗んだ弁当用のカートに隠して運び去る…というもの。
確かに警察の目はそらせるかもしれないですが、仮にも公の場で活動している真犯人(正体はバレバレですが一応伏せておきます)がニセ販売員なんてしていたら、他の販売員や乗客に思いっきり怪しまれるのでは?(爆
…と、そんなわけで今回は思わぬ寄り道をしてしまい、誠に申し訳ありません。そこで特集もクライマックスとなる次回からは、特撮の世界に挑む和製ドラゴンと“闇を照らす者”の戦いを、2回に渡って紹介したいと思います!

『若い貴族たち 13階段のマキ』

2014-02-10 22:55:17 | 千葉真一とJAC
「若い貴族たち 13階段のマキ」
英題:The 13 steps of Maki/Maki's 13 Steps
製作:1975年

●野良猫グループを率いる志穂美悦子は、チンピラたちから「13階段のマキ」として恐れられていた。今日も彼女たちはヤクザを相手に大乱闘を繰り広げていたが、傲慢な社長令嬢・大原美佐をシメたせいで恨みを買うことになる。
怒り心頭の大原は、父親(近藤宏)の仕事上のパートナーである大門組組長・名和宏の力を借り、陰湿な報復を開始。対する志穂美もやり返すが、名和は大門組にとっても邪魔者であった彼女を警察に逮捕させ、仲間たちをシャブ漬けにしてしまう。
 実はこの名和という男、近藤が経営する旅行会社の共同経営者になろうと目論んでおり、加えて大原を我が物にしようとしていた。名和の正体を知った大原は用心棒の南条竜也に助けを求めるが、あっさり名和にバレたため離反は失敗に終わった。
一方、少年院に収監された志穂美は女囚たちと敵対し、名和と通じている看守・室田日出男からも目を付けられていた。しかし大原から仲間たちの惨状を聞き、脱獄してリベンジを果たすことを誓う。
近藤を謀殺され、刺し違えてでも名和に復讐しようとする大原。なんとか脱獄に成功し、仲間や南条たちの敵を討とうとする志穂美。相反する2人の女は、それぞれの決意を胸に最後の戦いを挑む…!

 またもや志穂美悦子の主演作の紹介ですが、本作はどっちつかずの演出で居心地が悪くなってしまった『華麗なる追跡』とは違い、一貫してハードなタッチで描かれていました。
なにしろ原作を手掛けたのがあの梶原一騎ですから、容赦のないエロス&バイオレンスがこれでもかと炸裂しています。そのためストーリーはかなり暗く、救いの無さもハンパではありません。
 また、主人公と仲間たちは固い結束で結ばれた集団として描写されていますが、その本質はアウトローそのもの。大原に対する必要以上の報復などを見ても解るとおり、その行動に「信念」はあっても「正義」は存在しないのです。
おかげで志穂美たちに感情移入するのは難しく、作品と視聴者の間に大きな隔たりを生じさせています。非常に魅力を感じる映画ですが、同時に見る人を選ぶ作品…ともいえるでしょう(印象としては『激突!殺人拳』に近いかも)。
 ただし格闘アクションは今回も冴えており、悦ちゃんの凛々しいファイトが堪能できます。最終決戦では真紅のダブルヌンチャクを振るい、巨漢の用心棒と激突!このへんについては満足のできる内容でした。
石橋雅史のような達人クラスの相手がいないのは惜しいですが、志穂美の見せる悲壮感ただよう立ち振る舞いからは、『女必殺拳』シリーズとはまた違った凄みを感じます。
決して万人にはオススメ出来ないものの、計り知れないパワーを秘めている本作。千葉真一のおいしいゲスト出演、悦ちゃんが歌う独特なハーモニーの主題歌(爆)など、他にも見どころが数多く存在するので、とりあえず見て損は無いと思います。

『華麗なる追跡』

2014-02-05 22:58:37 | 千葉真一とJAC
「華麗なる追跡」
英題:The Great Chase
製作:1975年

●新進気鋭の女性レーサー・志穂美悦子。その正体は国際的な麻薬捜査官で、麻薬密輸の汚名を着せられて死んだ父親の復讐を誓っていた。そんな彼女に千載一遇のチャンスが訪れる…仇敵とされる組織の一員・山本昌平の足取りが掴めたのだ。
巧みな七変化と仲間たちのバックアップにより、志穂美は徐々に組織へと近付いていく。そして調査の末に、敵の幹部が元・刑務所長の沼田曜一と、父親と同じ航海士だった石橋雅史だと判明する。
 だが、組織のボスである国会議員・天津敏は、志穂美の親友・田中久子から情報を入手し、一転して反撃を開始した。これにより仲間たちは無残にも殺され、捕まった彼女を助けようとした田中も命を落としてしまう。
組織に潜り込んでいた諜報員の郷治に救われた志穂美は、怒りの火の玉となって最後の戦いに挑む。凄まじい死闘の中で、彼女が見たものとは…!?

 本作は『女必殺拳』で華々しい活躍を見せ、JACを代表するスターとなった志穂美悦子が主演したアクション活劇です。作品のテイストは『女必殺拳』に近いものの、華麗?な七変化やマッハ文朱のゲスト出演が功を奏し、やや明るめの作品に仕上がっていました。
しかし悪趣味な演出も多く、特に天津敏の倒錯しまくったキャラは完全に一線を越えています(苦笑)。また、最初こそアイドル映画的な明るさを見せた本作ですが、ストーリーが進むにつれて陰惨な展開が増えていき、最終的には『女必殺拳』と似た結末を迎えてしまいます。
 本作に限らず、当時の志穂美が演じる役柄はいつも血生臭さに満ちていました。『女必殺拳』三部作と『必殺女拳士』では復讐に燃える女拳士、『激殺!邪道拳』『ゴルゴ13』『吼えろ鉄拳』『里見八犬伝』では壮絶な死を遂げます。
『少林寺拳法』『百地三太夫』ではお転婆な姿も見られますが、こちらも宙吊りになって死んだり兄が腕を斬られたりと、やはり一筋縄ではいきません。彼女が最後まで可愛く振舞えたのは、『激突!合気道』くらいでしょう(『女必殺五段拳』は未見)。
確かに闘う悦ちゃんの姿は美しく、上記の作品は面白いものばかりです。とはいえ、等身大の愛らしい彼女をもっと見てみたかったのも事実。本作は明るさと悪趣味さが入り混じった作風となりましたが、アイドル映画路線を貫いていれば違う結果になったと思います。

 『女必殺拳』とは違う路線を目指すも、結局は李紅竜のイメージから脱し切れなかった本作。その反面、アクションシーンでは危険なスタントに挑戦することで、鮮烈な印象を与える事に成功しています。
中でもクライマックスの採石場における爆破シーンは凄まじく、志穂美のすぐ側でドッカンドッカン噴煙が巻き上がる様はスリル満点です。のちにJACはスタント面に特化していく事になりますが、本作はその雛形だったのかもしれません。
 志穂美VSマッハ文朱の女ドラゴン対決、おなじみ石橋雅史のファイトも光りますが、残念だったのは奇々怪々な用心棒たちがほとんど活躍しなかったこと。ラストで志穂美とタイマンで闘う相手が、石橋だけというのは寂しいものがありました。
全体的にはそれなりに面白いものの、イビツで他作品と代わり映えしない演出が引っかかり、個人的には今一歩でした。ところで1つだけ気になるのですが、石橋雅史はなぜ死んだ途端に爆発したんでしょうか?(爆

『子連れ殺人拳』

2012-12-14 23:45:41 | 千葉真一とJAC
「子連れ殺人拳」
英題:Karate Warrior
製作:1976年

▼李小龍(ブルース・リー)の到来とともに花開き、一世を風靡した東映空手映画。しかし、日本における功夫映画のムーブメントが終息すると同時に、空手映画も徐々に勢いを無くしていきました。本作はそんな時期に作られたもので、空手に剣術をプラスした意欲作となっています。
出演は千葉真一を始め、当時の空手映画おなじみの顔が勢揃い。加えて、千葉のライバル役に名優・夏八木勲が扮しています。夏八木は千葉と共演するたびに良い味を出すので(個人的には『戦国自衛隊』の2人がベスト)、ぶっちゃけ剣術よりも彼の方が気になっていたのですが…。

■流浪の空手使い・千葉は、とある寂れた町で子連れの剣士・夏八木と出会う。火花を散らす両者だが、2人の出会いはこれから始まる闘いの序章でしかなかった。この町では暴力団組長・天津敏が逮捕されたことにより、配下の室田日出男と郷治が利権を巡って対立。それ以来、血で血を洗う抗争を繰り広げていた。
だが、この戦いは単なる縄張り争いではなかった。実は天津が隠した十億円の麻薬を両陣営のどちらかが持っており、一連の争乱はブツを巡っての競り合いであったのだ。室田は夏八木を雇い、次第にその勢力を拡大させていく。焦った郷は千葉を雇うが、一方で彼も天津の女・川崎あかねから話を聞き、麻薬をモノにしようと企んでいた。
 紆余曲折の末、ひょんな事から麻薬のありかを知った千葉は、両陣営を尻目に目当てのブツを入手する。が、そこに目的を同じにする夏八木が現れた。遂に相対した両者は、墓場を舞台に激しいバトルを展開。死闘の末、ギリギリのところで千葉が勝利をもぎ取るのだった。
今わの際に夏八木は「俺の子を妻の所へ送ってくれ…」と告げ、郷と室田を始末した千葉はそれを承諾する。かくして十億円の麻薬は彼の手へ渡った…のだが、今度は脱獄してきた天津とその手下たちが追ってきた!果たして、子連れとなった千葉の殺人拳は炸裂するのか!?

▲正直言って、色々と惜しい作品です。期待していた千葉と夏八木のハードボイルドな関係や、空手に剣術を交えたアクション(空手的な動作の合間に剣を振り回すのではなく、剣を空手アクションの一部に加えているのが特徴)は確かに素晴らしいものでした。
しかし、後半に突入すると同時に敵組織のトップ2人は呆気なく死亡。ヒロイン格と思われた渡辺やよいも退場し、最終決戦の相手はポッと出の天津敏が担当してしまいます。今まで積み重ねてきたキャラクターや雰囲気を帳消しにし、まるでリセットするかのような展開になったのは残念でなりません。
その後、千葉はいくつか空手映画に主演しますが、時代はジャッキーのコミカル・アクションを選びます。それに呼応した彼は、真田広之などの若手スターを擁立することで時流に同調。JACの黄金期を築くのですが、その判断も本作のような失敗を経たからこそ…だったのかもしれませんね。

『十七人の忍者』(1990年版)

2011-01-09 22:12:06 | 千葉真一とJAC
「十七人の忍者」
製作:1990年

▼(※…画像は本作の元になった作品のものです)
今月は「映画じゃない作品」をテーマにお送りしていますが、今回はフジテレビの時代劇スペシャルにて放送された本作の登場です。この作品は1963年に製作された同名時代劇のリメイク作で、千葉真一らJACによる忍者活劇となっています。ただし、本作に出てくる忍者はかなり現実的に描かれていて、かつてJACが手掛けた『影の軍団』『忍者武芸帖 百地三太夫』のような派手さは抑えられています(ちなみに私は時代劇専門チャンネルにて視聴)。

■時は徳川三代将軍家光の時代。駿河藩の国家老・神山繁は、家光から将軍の座を奪おうと秘密裏に計画を進めていた。
それに気付いた老中の西村晃は、伊賀忍者の千葉真一を召還。駿河の城に謀反の証拠となる連番状があり、これを奪取せよとの命令を下した。かくして千葉ら17人の忍者は駿河城攻略に挑む事となるのだが、敵も夏八木勲を首領とする根来忍者を有しており、任務の前に千葉が捕縛されてしまう。
 リーダー不在にどよめく忍者たちだが、既に千葉は自分の後任として青年忍者・真矢武を指名していた。長門勇ら忍者たちは彼を支持し、同行できないくノ一・伊藤かずえを残留させると、危険な潜入工作へと向かった。ある者は城壁からの侵入を試み、またある者は変装して正面から乗り込んだ。しかし強固な防備に阻まれ、彼らは仲間のために自ら犠牲となっていく。途中、追ってきた伊藤も参加するが彼女も捕まり、気付けば真矢だけが残された。
ところが、夏八木は「もう16人捕まった!お前らの負けだ!」と千葉に告げる。そう、彼らは事前に17人の忍者が潜入してくることまでは察知していたが、伊藤を数に入れたため潜伏している真矢の存在に気付いていなかったのだ。誤解したままの夏八木を前に、内心ニヤニヤが止まらない千葉(笑)。一方、真矢は敵の中枢までなんとか潜り込めたが、果たして任務を全うする事が出来るのだろうか?

▲…という話なのですが、先述したとおり本作の忍者アクションはリアル志向となっていて、それこそ1人の忍者が一騎当千に敵を切り捨てるような展開はありません(チャンバラはありますが多勢に無勢で大抵死にます)。
ですが、城壁を実際に登りながらの危険なシーンや(ロケ地は彦根城)、根来忍者の槍さばきなどはJACアクションの近隣が垣間見えますし、ラストにはもちろん千葉VS夏八木によるタイマン勝負もあったりします。主演の真矢はJACメンバーの1人で、『将軍家光の乱心/激突』では僅かながら激しい殺陣を披露。本作ではスタントなどに奮闘していますが、どちらかというと牢屋に篭りっぱなしの千葉に迫力で食われているような気がチラホラ…(汗
 ちなみに本作はその『激突』の直後に製作されたせいか、少なからず『激突』から役者や装備が流用されています。特に根来忍者は戦闘スタイルが『激突』に登場した敵兵そのまんまで、現実的な演出の伊賀忍者とは対照的に荒唐無稽さが際立っていました。このへんは作品の雰囲気を徹底し、根来忍者も地味めにして欲しかったのですが…。
一応、リアルに忍者を描いた作品としてはイイ線をいってますが、従来のJAC作品を期待していると肩透かしを食らうので御注意を。ところで、千葉と夏八木は『影の軍団Ⅳ』でも共演していて、こちらでは敵対しつつも好敵手のような関係を熱演。終盤には千葉VS夏八木の最終決戦があり、単純な悪役だった本作よりも印象深い演技を見せているので、こちらも本作と合わせて必見です!

『忍者潛龍/忍者潜龍』

2010-06-22 23:39:09 | 千葉真一とJAC
忍者潛龍/忍者潜龍
英題:Ninjas and Dragons
製作:1984年

▼この映画は『龍の忍者』に続いて、JACが功夫映画とコラボした貴重な作品である。だが、本作の撮影中に高木淳也が負傷し、役者業から離脱するという大きなアクシデントが発生してしまう。それが理由なのかどうかは不明だが、本作は日本での公開が見送られるという悲劇に見舞われ、長らく幻の作品と呼ばれてきた…らしい(そのへんの事情は私もあんまり詳しくありません・汗)。
そんな訳でお蔵入りとなってしまった本作だが、作品そのものに関してはとてもよく出来ている。前作『龍の忍者』では、ジャッキー映画にあやかって呉思遠(ン・シーエン)と合作していたが、本作では『少林寺』よろしく大陸ロケを敢行。高度な功夫アクションとも相まって、鮮烈な印象を残している。出演者に大陸の俳優が多く、知っている顔がどこにもいないのが唯一の不満ではあるものの、逆にそれが高木の存在感をより一層高めているのだ。

■時は元朝時代(?)の中国…悪しき将軍によって翡翠の御印が奪われ、各地で侵略行為が行われていた。侵攻は梁荘に居を構える董力(ドン・リー)とその一族にも波及し、恋人の夏菁が将軍側に捕まってしまう。そんな中、親の敵である三原之助(般若の面を付けているため演者は不明)を追って日本から来た忍者・高木淳也は、将軍たちの計略によって殺人の濡れ衣を着せられ、将軍の下で幽閉されていた。董力とその仲間たちは、敵地に潜入して夏菁の奪還を目指すが、間違えて高木を救出してしまった。
『龍の忍者』のようにいがみあう事も無く、あっさりと打ち解けた董力と高木は、悪しき将軍への打倒を誓った。が、将軍は夏菁と引き換えに高木を渡せと要求し、抵抗した董力らは窮地に立たされる。過酷な拷問を受ける董力一行だったが、高木の機転と味方の援軍によって形勢は一気に逆転!夜間から始まった死闘は明け方まで続き、悪しき将軍を夏菁たちが倒し、残るは配下の太君と名乗る老婆だけとなった。
 太君はオカマと小人を手下に従えていて、トリッキーな闘い方で董力と高木を翻弄する。太君の正体が三原之助であることに気付いた2人は、荒れ果てた草原で最後の戦いを繰り広げるが…。

▲本作は『龍の忍者』と同じように、「忍者が親の仇を追って中国に渡り、中国人の主役とともに巨悪を倒す」という構図で作られている。ただし先述の通り、『龍の忍者』ではジャッキー作品的な要素を盛り込み、本作では『少林寺』的な雰囲気を加えることによって、各々の印象が被らないように工夫されている(これは『龍の忍者』にも参加し、本作ではプロデューサーとして名を連ねている染野行雄氏の意向によるものが大きいと思われる)。
ストーリーは特別深いものではないが、功夫アクションはかなり充実している。武術指導はJACの斉藤一之(ご存じ『女必殺拳』のスピンゲル!)だが、劇中のアクションは完全に香港映画風の立ち回りとなっており、JACらしい空手チックな動きはほとんど見られない。助理指導として大陸側の武師も関わっているらしいが、氏がどれくらいの割合で指導を行ったかが非常に気になるところである。
 本作での見どころを挙げるとすれば、やはり高木淳也の素晴らしいアクションに尽きるだろう。高所からのスタントなんかお手の物で、ラストバトルのVS三原之助では打点の高い回し蹴りを次々と決め、中国側の主人公を食ってしまう大活躍を見せている。この対戦は間違いなく高木のベストバウトと呼べるもので、全盛期の彼を堪能できる最後の作品に相応しいものとなっているのだ。
全体的には本作の方が上手にまとまっているが、ギャグやボリュームで言えば『龍の忍者』の方が上かも?もし本作での高木のアクシデントが無ければ、黒崎輝や塩谷庄吾が忍者として香港映画に出ていたかもしれず、そう考えるとますます惜しい気がする作品であります。…それにしても、こんな良い作品に出ていた人がどうして『ニッポン非合法地帯』みたいなのを撮っちゃったのかなぁ…(爆

『激突!合気道』

2010-03-28 22:18:34 | 千葉真一とJAC
「激突!合気道」
英題:Power Of Aikido/Machine Gun Dragon
製作:1975年

▼久々の千葉チャン空手映画の登場であるが、今回はいつもの東映カラテ映画ではない。
この時期、功夫映画ブームによって多くの千葉真一主演作が作られたが、数を重ねるごとにマンネリ化も進行しつつあった(1974年以前の時点で、千葉の出た空手映画は8本にも上る)。殺陣や出演者の顔ぶれに変化が無いこと、千葉や志穂美悦子と同等に戦える相手が少なかったことなどが原因であり、その事は千葉自身も身に沁みて解っていたようだ。
そこで本作で千葉は脇に回り、実弟の千葉治郎を主演に起用している。治郎を主役にすることで目新しさを生み、合気道を持ち込むことによってアクションにも新風を吹き込むことが本作での目論みであったのだと思われるが…。

■舞台は大正時代の北海道。後の合気道創始者・植芝盛平(千葉治郎)は、僻地で開拓団の団長として活動する傍ら、柔術の使い手としても実力を発揮していた。
ところが、あるとき地元のヤクザと悶着を起こした治郎は、用心棒の空手家・千葉真一に完敗を喫してしまう。リベンジに燃える治郎は、武術師範・鈴木正文(『激突!殺人拳』の頃より演技が上手くなってます・笑)のコーチを受け、過酷な鍛錬に没頭。鈴木から免許皆伝を受け、全国を行脚して様々な武術家と拳を交わしていった。
一方の千葉は用心棒の任から離れ、治郎の元から去った小泉洋子と遭遇。彼女はある出来事から重症をを負っており、千葉と行動を共にすることに。だが、ヤクザとの争いで人を殺してしまった千葉は、小泉ともども行方知れずとなってしまう。
 さて、治郎はその千葉の兄と闘って勝利したのだが、負けを恥じた千葉の兄は自決。この一件に激怒した千葉の兄の門弟(うち1人が斉藤一之)が、堕落した剣士・大塚剛と共謀して治郎に襲撃を仕掛けてきたのだ。そこへ通りかかった貴族のオッサンに助けられた治郎は、彼の好意で精神修行を受けさせてもらい、道場を任される事となった。日本海軍からも認められ、名実共に一流の武術家として成長した治郎…と、そこへ突然千葉が姿を現した。
千葉は治郎に「小泉が死にかかっているから、ひと目会ってくれ」と嘆願し、2人の見守る中で彼女は静かに息を引き取った。小泉を弔った治郎と千葉は、最後に武術家として立ち会うことを望む。しかし、治郎を狙っていた千葉の兄の門弟&大塚が、2人に雪辱戦を挑んできたのだ!治郎の門弟となった悦ちゃんも巻き込んだ大乱戦が始まるが、治郎と千葉の対決は意外な形での決着を見るのだった…。

▲これまでJACの格闘伝記映画は、『けんか空手極真拳』『少林寺拳法』と作られてきたが、本作はそれ以上の完成度を誇る名作である。妻になる女を強姦したり、ヤクザのキンタマを犬に食わせるような荒唐無稽さは無く、主人公がいかにして合気道を極めたのかという工程がはっきりと描かれており、硬派な作品として仕上がっているのだ。
この「荒唐無稽さの欠如」に関しては意見の分かれるところであるが、単なる悪役ではない千葉の存在や、がめついように見えて実は…な鈴木正文のキャラなど、人物設定が実によく出来ている。ストーリーラインや悦ちゃんの役どころは『少林寺拳法』を彷彿とさせるが、そのへんのデジャブは本作にとって些細な問題でしか無い。
格闘アクションも、専守防衛合の合気道という題材を見事にアレンジし、濃密な殺陣を作り上げている。相変わらずキレキレの千葉カラテは勿論の、治郎の見せる合気道や悦ちゃんのアクション、そしてJACの絡むファイトシーンは出色の出来栄えだ。ラストの治郎VS千葉は治郎のベストバウトとも言うべき対戦で、途中挟まれる早回しアクションは『激殺!邪道拳』で更なる発展を見せるのだが、それはまた別の話である。

 だが、本作で最も残念なことは、治郎に主役としての華が無い(少ない?)という点だろう。
『仮面ライダー』等での好演が印象深い治郎だが、JACの空手映画ではもっぱら弱い役が多い。『激突!殺人拳』では勝手に窓から落ちて死ぬ役、『帰って来た女必殺拳』ではいつの間にか刺されて死んでいる役など、過去作品では弱々しいイメージが極端に強いのである。
そのため、本作で治郎が見せる合気道アクションも、凄いのだが不釣合いに見えてしまうという難点を含んでいる。しかも相手役に千葉真一という濃い役者が配され、クライマックスでは見せ場の一部まで奪われてしまい、完全に割を食っているのだ。
 更に、本作でもう1人ぞんざいな扱いを受けた人物がいる。それが大塚剛である。大塚はプロ空手の使い手として『世界最強の格闘技 殺人空手』等に出演し、東映の空手映画では『吼えろ鉄拳』『猛虎激殺』にも顔を出していた。…が、その華々しい経歴とは対照的に、JACの面々とまともに戦ったことがほとんど無いのである。
『吼えろ鉄拳』では悪の組織の用心棒として登場し、最後の最後まで主役の真田広之と戦わず、いざ対決!となるとパンチ一発で撃沈。本作では治郎に執着する剣士として登場し、序盤こそ戦闘シーンがあるものの、千葉との絡みは無いうえにラストでは呆気なく瞬殺されている。
唯一『猛虎激殺』だけは未見なのだが、どうして大塚はここまで素っ気無い扱いを受けたのか不思議でならない。立ち回り次第では、石橋雅史に次ぐ空手映画の名悪役となったかもしれないのに…まったくもって妙な話である。
 その後、治郎の新たな主演作が作られることはなく、千葉も『空手バカ一代』を最後に空手映画を卒業し、後進の俳優を育てることに尽力していった。JAC作品も硬派から軟派へと方向を転換したが、その作品群に千葉治郎の名は無い。JACの転換期に消えていった千葉治郎にとって、本作は…そして空手映画とはどのような存在であったのだろうか?

『霸道縱構/霸道殺星』(『覇拳/振り向けば修羅』香港版)

2009-08-30 21:15:00 | 千葉真一とJAC
霸道縱構/霸道殺星(殺は旧字)
英題:Fighting Fist/Lady Cop in Fury/Bully
製作:1992年

▼かなり以前、私は『覇拳』という作品を当ブログにて紹介した。この作品は千葉真一がメガホンを取ったVシネ映画だが、"JAC最後のスター"塩谷庄吾を筆頭に松田勝(現:松田優)・胡慧中(シベール・フー)・慮恵光(ケン・ロー)・銭嘉樂(チン・ガーロッ)等が集結。作中では香港ロケも敢行され、当時のVシネとしては破格のキャストで作られた作品だった。
内容や格闘アクションはそれほどでもないのが少々残念だが、JACと香港映画が協力した作品として記憶に残る一本である。ところが、本作の香港版に石橋雅史が出演しているという怪異な噂があるのだ。他にも香港パートには日本版には無い追加カットもあると聞くが、そこで今回は『覇拳』香港版の検証を試みたいと思います(ちなみにあらすじは『覇拳』日本版レビューを参照のこと)。

■(※…ネタバレ有りなので、視聴を予定されている方はご注意下さい)
さて香港版の仕様だが、まずBGMが幾つか変更されてて全体的に台詞が増えており、香港版では塩谷の心の声などが追加。打撃音が香港式にアレンジ(重い音に変更)されて日本版にあった軽さが軽減され、香港版ということで香港キャストの出番が若干増え、編集の違いで前後の流れが変わり、日本版にあったアクションのスロー処理が無くなるなどしている。
最初に塩谷が香港のアバティーンに現れて情報屋と接触する…のだが、この情報屋って王清河だったんですね。王清河はショウブラの名脇役で武侠片などで悪役として活躍、次に塩谷がボスの息子を始末するシーンには、ガードマン役で夏占士と李發源の姿も。話は進んで銭嘉樂が捕まるシーンに続くが、ここで遂に追加カットが登場!日本版ではすぐに捕まって見せ場の無かった銭嘉樂だが、香港版では銃撃戦や軽いスタントを披露し、銭嘉樂の家を襲った後の慮恵光と遭遇する。つまり銭嘉樂VS慮恵光!である。ここで銭嘉樂が負けて捕まる訳だが、まさか銭嘉樂VS慮恵光なんてバトルがあったとは驚きだ。
続いて舞台は日本へと移行。ところどころ日本版に無い場面(逆に香港版で省かれた場面もある)を挟みつつ、団次郎の取引現場襲撃へ。日本版では塩谷の独壇場だったこのシーンも、香港版ではなんと胡慧中の功夫アクションがプラスされている。さすがに香港版主演格の扱いは伊達じゃないぞ(嬉)!このあと塩谷VS慮恵光の第1ラウンドがあるが、こちらは特に追加シーンは無し。次に塩谷が大文字三郎らに接触するが、今度は塩谷の回想という形で修行時代の銭嘉樂がチラッと登場する。
ところで石橋雅史出演疑惑だが、どうもHKMDBの情報から察するに大文字三郎を石橋雅史と間違えているようだ。いろいろと追加カットがあるので期待したが…これはちょいと残念です。そんなこんなで、物語はいよいよ大詰めへ。団次郎の兵隊と塩谷の銃撃戦は無編集…と思いきや、日本版だと慮恵光に殺されていた団次郎が香港版では胡慧中に始末されたぞ?!そして塩谷VS慮恵光のラストバトルだが、こちらも追加シーンはありませんでした(流石に塩谷を起用しての撮り足しは不可能だったか)。
最後は千葉ちゃんと塩谷のハイタッチで終わるのだが、ここで作中で最も衝撃的な驚愕のどんでん返しが待っていました。2人がタッチした瞬間、千葉ちゃんの腕にチラリと香港黒社会の印である花の刺青(取引のシーンで李發源らが見せていたアレ)が!?そして恋人と抱き合う塩谷の向こうには時限爆弾らしきものが!!?

▲最後は結末を見せないで幕を引いていましたが、まさかのバッドエンド(?)にただただ呆然とするばかりです。言語が中国語なので何を言ってるのか解りませんが、もしかしたら台詞で千葉ちゃんが敵のスパイである伏線が語られていたのかも。それにしても、この改変でラストに見せた千葉ちゃんの「この作品は俺が作ったんだぞ」的な自己満足スマイルが、一気にドス黒いものに変わっちゃってました(爆
ということで、ガセだった石橋雅史の出演・驚愕の銭嘉樂VS慮恵光・胡慧中の活躍が増加・そして全てをひっくり返すバッドエンド…これまで見たいと思っていた『覇拳』香港版ですが、まさかここまでの内容だったとは思いもよりませんでした。個人的に構成や完成度なら日本版、功夫アクションなら香港版が良かったかと思います。それにしても、香港版の事を千葉真一自身はご存知なんでしょうかね?