功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

更新履歴(2012年/6月)

2012-06-30 23:31:58 | Weblog
 6月は本調子が戻らないまま、ズルズルと一月が終わってしまいました。ここのところ更新が少なく、記事修正もこれといって進まなかったので、来月からはきちんと改めていきたいと思っています。
さて、今回も来月以降にリリースされる注目作をピックアップしてみました。まず香港映画からは『復讐の絆 Revenge: A Love Story』(原題:復仇者之死/9月5日発売)が登場。あの蒼井そらが香港映画進出を果たしたバイオレンス映画で、劉永や錢小豪などの懐かしい顔と共演している様です。
 そのほかにも、格闘映画からはドルフ・ラングレンがキューバ・グッディング・Jrと共演する『ASSASIN アサシン』(原題:One in the Chamber/9月7日発売)、ストーン・コールドがデスマッチに挑む『スティーヴ・オースティン ザ・ダメージ』(原題:Damage/8月3日発売)などが顔を連ねています。
9月21日に発売が迫った幻の倉田保昭主演作『武闘拳 猛虎激殺!』ともども、今後のリリース状況が実に楽しみです。今年の夏の暑さは、功夫と格闘でぶっとばせ!…と、いきたいところですね(爆


06/12 『ソード・レジェンド 失われたドラゴンの剣』
06/19 『電脳警察 サイバースパイ』
06/21 『新・ピイナッツ2』

『新・ピイナッツ2』

2012-06-21 22:35:32 | 日本映画とVシネマ
「新・ピイナッツ2」
「新ピイナッツ2/永遠のターゲット」
製作:1998年

▼この作品は、2年前に紹介した清水宏次朗&岸本祐二主演作『新・ピイナッツ』の続編です。前作のレビューでは清水と岸本の共演に着目しましたが、作品そのものはありがちなストーリーと不親切なアクション描写が災いし、あまり良質とは言い難い出来になっていました。
しかし、本作はそれらの欠点が見直され、よりボリュームアップした内容に生まれ変わっています。物語は厚みを増し、暗がりで見づらかったアクションシーンは明るい場所で行われるようになり、対戦相手も充実。少なくとも、前作以上の完成度には達しているのです。

■アメリカ帰りの無頼コンビである清水&岸本の前に、ヤクザに追われる1人の女性が現れた。彼女を助けた2人は、ニセ宝石で私服を肥やす悪徳宝石店の女店長・中島宏海の企みを察知し、この件に関わっていく事となる。
中島はヤクザの安岡力也と共謀して、強引な代金取立てなどを敢行しているという。彼女のせいで全てを失った永倉大輔は、同じく路頭に迷った男たちと手を組んで強盗団を結成し、真っ向から戦いを挑もうとしていた。
搾取しようとする加害者と、復讐に燃える被害者の対立…。一見すると単純に見える構図だが、実はこの事件の裏には大きな陰謀が隠されていた。清水は中島や永倉と接触し、岸本は追われていた女とその兄を見守りつつ、真相に近付いていく。果たして、最後に笑うのは一体誰なのか?!

▲本作のストーリーは、前作と同じように様々なエピソードを交錯させる形で描かれています。清水が本筋の重要エピソードを受け持ち、岸本がサブヒロインがらみの話題を担当する点も、前作と同様です。
では、コテコテな展開ばかりだった物語も受け継がれているのかと心配になりますが、こちらについては話を複雑化させることで失敗を克服しています。しかし、複雑化したことで物語が解りづらくなり、敵として1人だけ雰囲気が浮いてる超能力者が登場したりと、新たな問題が生じていました。
 一方、アクションは前作から格段に進歩していて、香港から来た格闘家の刺客というナイスなキャラが登場します。殺陣の質は前作と同じですが、格闘シーンはなかなか豊富。ラストでは清水が香港の刺客からヌンチャクを奪い、ちょっとしたヌンチャク合戦まで繰り広げられます。
と、このようにアクションは良い感じなんですが、唯一残念だったのは清水VS岸本という夢の対決がギリギリで実現しなかった点でしょうか。物語後半、岸本が洗脳されて清水を襲うシーンがあるのですが、速攻で洗脳が解けるので勝負にすらなっていませんでした(涙
 確かに前作から増強された点が見受けられるものの、完全な改良には至らなかった惜しい作品。格闘アクションの出来はいいだけに、せめて清水VS岸本のガチンコバトルは見てみたかったですね。
…ところで、副題の「永遠のターゲット」って何?(爆

『電脳警察 サイバースパイ』

2012-06-19 23:18:02 | カンフー映画:佳作
「電脳警察 サイバースパイ」
「電脳警察 CYBER SPY」
原題:公元2000 AD
英題:2000 A.D.
製作:2000年

▼香港四天王の一角を担い、唄って踊れる俳優として一世を風靡した郭富城(アーロン・クォック)。彼は武侠アクションからラブストーリーまで幅広いジャンルの映画に出演し、現在も第一線で活躍を続けています。
本作はそんな郭富城が『SPY_N』と同じ時期に出た作品で、こちらでも凄まじいアクションを演じています。これら陳嘉上(ゴードン・チャン)監督による骨太なアクション描写の数々は、『SPY_N』とはまた違ったインパクトを残していました。

■郭富城は友人の呉彦祖(ダニエル・ウー)と共に小さな会社を経営しているが、仕事そっちのけで遊ぶせいでいつも金に困っていた。そんな彼の元に、アメリカでコンピュータ関連の企業に勤めている兄・呂良偉(レイ・ロイ)が帰って来た。
頼りになる兄との時間を楽しく過ごす郭富城。ところが、彼らは突如として香港警察に拘束されてしまう。刑事の呉鎮宇(フランシス・ン)は「呂良偉にスパイ容疑がかけられている」と言うが、もちろんまったく身に覚えのない出来事であった。
 その後、郭富城は無関係ということで釈放されたが、護送されようとしていた呂良偉が謎の暗殺者・慮恵光(ロー・ワイコン)に殺害されてしまった。アメリカから兄の婚約者である郭妃麗(フィリス・コク)が帰国する中、郭富城は兄が隠していた貸し金庫の鍵を発見する。
兄はどうして捕まり、そして暗殺されなければならなかったのか?真実を求めて奔走し続ける郭富城は、やがて警察・シンガポール軍・CIA・そして犯罪組織と対峙していくこととなるのだが…。

▲まるで特撮作品みたいな邦題ですが、作品そのものは凶悪な破壊プログラムを巡る攻防戦であり、トラブル巻き込まれ式のスリリングなストーリーが展開されていきます。
正直言って序盤は少々退屈な展開が続くんですが、呂良偉が殺される辺りから作品の雰囲気が変わり始めます。矢継ぎ早に繰り広げられる銃撃戦と、次から次へと示される謎。舞台がシンガポールに変わってからは更にアクションが増加し、なかなかの盛り上がりを見せていました。
 次にアクション面ですが、こちらは全体的に銃撃戦が多め。これら一連のガンファイトでは、着弾で穴が開いたり血飛沫が飛び散ったりするなどの細かい演出により、異様に殺気のあるバトルに仕上がっています(呉鎮宇の最後に号泣!)。
もちろん格闘アクションもしっかり用意されていて、特にクライマックスでの郭富城VS組織のリーダーである連凱(『スティル・ブラック』のボス)の激闘はその最たるもの。豪快なカーチェイスも含め、アクション面は充実していたと言えます。
 ただし物語の展開がかなり速く、ちゃんと前後関係を把握してないと解りにくい箇所も存在します。また、ゲームおたくの郭富城がやたら強いという点も不自然に思えました。これはゲームのおかげで戦いの素養があった…ということなのかな?
呂良偉を殺した張本人である慮恵光がのうのうと逃げ延びるという点も腑に落ちませんが、それ以外は概ね良好。実に香港映画らしいアクション活劇なので、一見の価値はあると思います。

『ソード・レジェンド 失われたドラゴンの剣』

2012-06-12 22:17:09 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ソード・レジェンド 失われたドラゴンの剣」
原題:ADVENTURES OF JOHNNY TAO/QUEST OF THE DRAGON
製作:2007年

●砂漠に面した片田舎の町に住むマシュー・トワイニングは、功夫映画が大好きなボンクラ青年。売れないミュージシャンだった亡き父のミュージアムと、古びたガソリンスタンドを経営しながら気ままに暮らしていた。
そんなある日、マシューの友人でUFOマニアのマット・マリンズは、砂漠で奇妙な武器を発見する。それは900年前に邪悪な存在・タイローを封印した槍の一部であり、槍を引き抜いたマットは復活したタイローに体を乗っ取られてしまった。
憑依されたマットは町のワルどもを洗脳し、欲望の赴くままに暴虐の限りを尽くしていく。そこへ魔を封じる一族の末裔である甄子菁(クリス・イェン)が現れ、封印の槍のもう1つの破片を持っていたマシューと共に反撃を開始する。善と悪…最後に勝つのはどっちだ!?

 マット・マリンズ!ドニーの妹の甄子菁!そして監督が『ショウダウン』で主演を演じていたケン・スコット!…ということで前から気になっていた作品だったんですが、これが中々の力作に仕上がっていました。
確かに色々とヘボい点はあります。メインキャストが少なく、敵が行う悪事の内容も規模の大きい食い逃げオンリー(笑)だったりと、ツッコミどころを挙げたらキリがありません。しかし物語はスムーズに進むし、出てくるキャラもそこそこ個性的。香港映画風に味付けされた格闘アクションも非常に良く出来ています。
 本作で気になるのはやはりマットと甄子菁ですが、両者ともソードファイトや華麗な回し蹴りを駆使し、派手な戦いを繰り広げています。もちろんこの2人の直接対決もあり(内容は少々消化不良でしたが)、主演のマシューも負けじと頑張っていました。
また、劇中のアクションはシチュエーションが工夫されていて、小競り合い程度の戦いにも手が加えられています。ゴリラの着ぐるみを着て闘ったり、紙吹雪が舞い散る中で死闘を演じたり…。こういう細かな演出を大事にする格闘映画は意外と少なく、本作のスタッフがどれだけアクションに力を入れているかが良く解りますね。
ストーリーは平均以下ではあるものの、格闘アクションの質は高い本作。1つだけ不満があるとすれば、あまり人が傷付かないストーリーだったのに、甄子菁が後半で○○してしまった事ぐらいでしょうか。何はともあれ、格闘映画ファンは必見の作品です!