白馬黒七/白馬七
英題:Bolo The Brute/Fists of Justice/Bolo
製作:1977年(1982年説あり)
●一体誰が望んだか、楊斯(ボロ・ヤン)の監督主演作である。香港映画ではピンからキリまで様々な人がメガホンを振るっているが、もちろんこの楊斯も例外ではない。実は今回が初監督作品なのだが、それでいてコメディ功夫片というジャンルに挑んでいるのが興味深く、『酔拳』で本格的にコメディ功夫片がブームになる前にこの手の作品へ参戦しているのも面白い(キャストに曾志偉(エリック・ツァン)がいるのにも注目)。のちに再びコメディ功夫片に手を出して『文打』なる作品まで作っているところを見ると、楊斯本人はこの手の作品を好んでいたという事なのだろうか。
今回の楊斯は刑務所帰りの風来坊という役で、白彪(パイ・ピョウ)とのダブル主演を飾っている。楊斯&白彪といえば『アムステルダム・コネクション』や『Gメン75』なんかでも一緒に仕事をしているが、それよりも驚くべきは今回の楊斯の面構えだ。というのも、本作の楊斯は梁家仁(レオン・カーヤン)みたいなヒゲヅラメイクなのだ!ヒゲの生えた楊斯というのも相当珍しいが、あの楊斯がヒゲヅラなのだから暑苦しさも半端ではない。もしこれで本作が楊斯の単独主演だったらと考えたら気が遠くなるような…まぁ別にいいか(笑
で、この2人が一体何をしているのかというと、どうやら腐敗した街に喝を入れるためにムショから派遣されてきたらしい。敵は街を牛耳るバカボン杜少明とそのパパで、楊斯たちはたびたび山怪や陳龍(チェン・ロン)や金帝といった刺客に命を狙われる羽目に。本作はここからストーリー性一切無視のギャグパートとなっていくのだが、これがまたしょうもないギャグばかり(苦笑)。途中で何故か楊斯が賞金首にされて白彪に捕まり、代わりに白彪が楊斯の後釜に納まるという描写があるが、このへんの展開もあまりよく解らない。
そんなこんなで敵側に一泡吹かせ、杜少明を倒すが黄蝦(日本人役)が最後の刺客として姿を見せる。中華鍋を頭にかぶり、タバコを口から出し入れするという意味不明な芸を持つ黄蝦(笑)だが妙に強く、楊斯と白彪はどうにか撃破するのだが…と、こんな感じで本作は終始笑いと功夫のオンパレードという様相を呈している。
しかし初監督作でコメディに挑んで自爆したジェームズ・リューのように、本作もまた成功どころか失敗の向こう側に飛び抜けてしまっている。単なる仇討ちに終わらない作品を作ろうとした気概こそ感じるが、当時は酔いどれ師匠やあばら家といったコメディ功夫片のアイコンが無かったこともあって、笑いの方向性は不明瞭。従ってストーリーも実に支離滅裂で評価する価値さえ無いが、決して悪い作品ではない。
出演者は全員脇役や悪役専門の俳優ばかりで占められているが、それによって楊斯VS江島や楊斯VS曾志偉というトンチキな顔合わせが実現し、中盤の楊斯VS空手家トリオ戦では梁小熊(ご存知梁小龍の弟)・岑潜波(お馴染み『片腕カンフー』のムエタイ使い)・廖學明(彼も『Gメン75』出演者)というマニアックな三者と対決。ラストのVS黄蝦戦に至るまで、本作には悪役同士の対戦カードが目白押しなのだ。功夫アクションそのものはやや野暮ったいものの、並みのレア対決に満足できない方なら香港悪役商会の皆様による共演は十分見る価値がある…はず。
それ以外の方は無難にショウブラ作品などの安心して見れる大手の映画を見たほうが、本作を見るより50倍ぐらい有意義な時間を過ごせるかと思います(爆
英題:Bolo The Brute/Fists of Justice/Bolo
製作:1977年(1982年説あり)
●一体誰が望んだか、楊斯(ボロ・ヤン)の監督主演作である。香港映画ではピンからキリまで様々な人がメガホンを振るっているが、もちろんこの楊斯も例外ではない。実は今回が初監督作品なのだが、それでいてコメディ功夫片というジャンルに挑んでいるのが興味深く、『酔拳』で本格的にコメディ功夫片がブームになる前にこの手の作品へ参戦しているのも面白い(キャストに曾志偉(エリック・ツァン)がいるのにも注目)。のちに再びコメディ功夫片に手を出して『文打』なる作品まで作っているところを見ると、楊斯本人はこの手の作品を好んでいたという事なのだろうか。
今回の楊斯は刑務所帰りの風来坊という役で、白彪(パイ・ピョウ)とのダブル主演を飾っている。楊斯&白彪といえば『アムステルダム・コネクション』や『Gメン75』なんかでも一緒に仕事をしているが、それよりも驚くべきは今回の楊斯の面構えだ。というのも、本作の楊斯は梁家仁(レオン・カーヤン)みたいなヒゲヅラメイクなのだ!ヒゲの生えた楊斯というのも相当珍しいが、あの楊斯がヒゲヅラなのだから暑苦しさも半端ではない。もしこれで本作が楊斯の単独主演だったらと考えたら気が遠くなるような…まぁ別にいいか(笑
で、この2人が一体何をしているのかというと、どうやら腐敗した街に喝を入れるためにムショから派遣されてきたらしい。敵は街を牛耳るバカボン杜少明とそのパパで、楊斯たちはたびたび山怪や陳龍(チェン・ロン)や金帝といった刺客に命を狙われる羽目に。本作はここからストーリー性一切無視のギャグパートとなっていくのだが、これがまたしょうもないギャグばかり(苦笑)。途中で何故か楊斯が賞金首にされて白彪に捕まり、代わりに白彪が楊斯の後釜に納まるという描写があるが、このへんの展開もあまりよく解らない。
そんなこんなで敵側に一泡吹かせ、杜少明を倒すが黄蝦(日本人役)が最後の刺客として姿を見せる。中華鍋を頭にかぶり、タバコを口から出し入れするという意味不明な芸を持つ黄蝦(笑)だが妙に強く、楊斯と白彪はどうにか撃破するのだが…と、こんな感じで本作は終始笑いと功夫のオンパレードという様相を呈している。
しかし初監督作でコメディに挑んで自爆したジェームズ・リューのように、本作もまた成功どころか失敗の向こう側に飛び抜けてしまっている。単なる仇討ちに終わらない作品を作ろうとした気概こそ感じるが、当時は酔いどれ師匠やあばら家といったコメディ功夫片のアイコンが無かったこともあって、笑いの方向性は不明瞭。従ってストーリーも実に支離滅裂で評価する価値さえ無いが、決して悪い作品ではない。
出演者は全員脇役や悪役専門の俳優ばかりで占められているが、それによって楊斯VS江島や楊斯VS曾志偉というトンチキな顔合わせが実現し、中盤の楊斯VS空手家トリオ戦では梁小熊(ご存知梁小龍の弟)・岑潜波(お馴染み『片腕カンフー』のムエタイ使い)・廖學明(彼も『Gメン75』出演者)というマニアックな三者と対決。ラストのVS黄蝦戦に至るまで、本作には悪役同士の対戦カードが目白押しなのだ。功夫アクションそのものはやや野暮ったいものの、並みのレア対決に満足できない方なら香港悪役商会の皆様による共演は十分見る価値がある…はず。
それ以外の方は無難にショウブラ作品などの安心して見れる大手の映画を見たほうが、本作を見るより50倍ぐらい有意義な時間を過ごせるかと思います(爆