功夫電影専科

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GARY OF GOLDEN AGE(01)『ラン・ダウン 怒りの逃亡者』

2013-10-02 23:39:13 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ラン・ダウン 怒りの逃亡者」
「怒りの逃亡者」
原題:RAGE
製作:1995年

▼今月は格闘映画ファンなら誰もが知っている実力派、ゲイリー・ダニエルズが最も輝いていた時期の作品を集中して紹介したいと思います。ゲイリーはキックボクシングから俳優に転向し、ブレイクするまで長い下積み時代を送っていました。
香港映画での活動を経て、B級アクション映画を量産していたPMエンターテイメント(以下、PM)に流れ着いた彼は、端役として『カジノファイター』『ドラゴンチェイサー』等に出演。やがて卓越した技量を見込まれ、単独主演作を撮るようになります。
本作はその頃の作品で、ゲイリーを売り出すために大がかりなアクションが豊富に盛り込まれています。製作にはゲイリー本人も直々に参加しており、どれだけ気合を入れて撮影に臨んだのかがよく解ります。

■小学校の教師であるゲイリーは、公私ともに恵まれた生活を送っていた。だが、いきなり彼の運転する車に銃を持った男が乗り込んできたことから、その運命は大きく変わっていく。
ゲイリーは男を追っていた警察に拘束され、謎の施設で人体実験を受けさせられてしまう。なんとか施設から脱出したものの、逃走を続ける彼をマスメディアは異常犯罪者として書きたて、FBIがその行方を執拗に追った。
 やがて彼はレポーターのケン・タイガー&ジリアン・マクホワーターと出会い、自分が受けた仕打ちの一端を吐露。そして警察に監視されていた妻子を助け出し、改めて全ての決着をつけるため立ち上がろうとする。
再びケンたちに接触を試みようとするゲイリーだったが、同時にFBIの追及も迫りつつあった。果たして、彼の運命は…?

▲PMとゲイリーが注力しただけあって、本作は激しいスタントとアクションが次から次へと襲い来る、ハイテンションな作品となっていました。
初っ端から施設で暴れ回り、その次にはハイウェイを舞台に巨大トレーラーでカーチェイス!SM夫婦とのバトル(笑)が終わったと思ったら、高層ビルの壁で宙吊りアクション!…といった具合に、ド派手なシーンが展開されていきます。
 最終決戦はショッピングモールを舞台にした乱戦で、格闘戦から始まって店内ディスプレイを使ったスタント(『コマンドー』のパクリ)、そして大量のガラスを砕きながら銃撃戦が繰り広げられます。
最後にタイマン勝負できる相手が居ないのは不満ですが、全体的にスタントも格闘アクションも充実していたと言えるでしょう。ところで、ラストバトルの雰囲気がなんとなく『ポリス・ストーリー』に似ているような…もしかして意識してたのかな?
 しかし、勢い重視で作ってしまったせいか、ストーリーがかなり稚拙な感じになっていました。それが最も顕著なのが終盤の展開で、なんだかんだあってゲイリーの無実が晴れて万事解決となりますが、そこに至るまでの展開が強引過ぎるのです。
そもそも本作の敵は政府やFBI、果ては警察や報道機関にまで口出しできるほどの力を持っています。そんな相手がゲイリーの主観的なインタビュー映像(物的証拠いっさい無し)や、州知事が上院議員に働きかけただけで止められるものなのでしょうか?
 主人公が警察だけではなく、マスメディアからも追い詰められる展開はユニークだっただけに、ストーリーの練りこみ不足が残念でなりません。ここが上手く演出できていれば、本作は傑作になれたのですが…。
さて、次回はゲイリーが近未来(うそ)のロサンゼルスで活躍する、パニック・アクション映画をお送りしたいと思います。

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