「女ギャンブラー リベンジ香港」
製作:1991年
●名うての女ギャンブラーである柏原芳恵は、香港の賭場で連日のように大勝し、関係者の間でクィーンと呼ばれていた。彼女が博打に挑むのは、凄腕のギャンブラーだった父を殺した相手に復讐し、行方不明となった妹・橋本実加子を探すためであった。
彼女は父の助手だった高川裕也のバックアップを受けるが、「普通の暮らしに戻るべきだ」と諭されてしまう。そんな中、柏原は賭場で黒社会の大物・谷峰(クー・フェン)の情婦である赤座美代子と対面する。
彼女は柏原の実母であり、父の死と同時に家族を捨てた冷徹な女だった。一方、谷峰の組織で娼婦として働かされていた橋本は、恋仲となった男の手引きで脱走。この一報を聞きつけた柏原は、高川や旧友の佐藤祐介とともに、香港の街を必死で捜索した。
だが必死の抵抗もむなしく、橋本は再び組織に捕らわれてしまう。柏原はその情報を谷峰の対抗馬・仇雲波(ロビン・ショウ)から知らされ、意を決して組織の経営するホテルへと突入する。
かくして妹の奪還には成功するが、敵は追及の手を緩めず、ついには佐藤と橋本の両名が死亡。高川も手傷を負う中、柏原は仇雲波の仕掛けた大博打に乗っかり、かつて大敗を喫した赤座とのギャンブル勝負に挑む事となる。
意地と誇りを賭けて戦おうとする柏原、命を捨ててでも仇を討とうとする高川、そして絶対的な自信とプライドを武器に立ちはだかる赤座。…今、香港を舞台に三者三様の思いを秘めた死闘が始まった!
私がこの作品の存在を知ったのは、日本人の武術指導家・鹿村泰祥の経歴を追っていく過程での事でした。鹿村さんといえば、倉田保昭とともに香港映画界で活躍した日本人であり、アクションスターとしても名を馳せた方です。
そんな彼と結婚している…と噂されるのが元アイドル歌手の柏原芳恵なんですが、本作こそが2人の出会った記念すべき(?)作品とのこと。しかし作品自体の情報が少なく、ネットで検索しても2人の関係を扱った記事ばかりがヒットします。
そのため、どんな内容なのかずっと気になっていましたが、今回その全貌を確認することが出来ました。
本作は香港でオールロケーションが行われており、柏原嬢は主演、鹿村さんはアクション指導をそれぞれ担当。先述の通り、香港からは仇雲波や谷峰、脇役で夏占士(同じVシネ合作の『霸拳』にも参加)の姿も確認できます。
この面子だとアクションに期待が高まるところですが…結論から申し上げますと、香港側のキャストによる肉弾戦は一切ありませんでした(涙)。全体的に銃撃戦の比率が多く、格闘シーンが集中しているのはホテルへ突入する場面ぐらいです。
まぁ、鹿村さんが指導しているとはいえ、主題がギャンブルなのでこうなることは予想していました。が、それにしたって仇雲波にアクションをまったくやらせない(僅かに銃を撃つだけ)という采配には納得できません!(爆
ちなみに、格闘シーンを彼らに代わって担当するのは柏原嬢と高川の2人で、両者ともそれなりの奮戦を見せていました。絡み役のスタントマンも派手に吹っ飛んだりしていますが、返す返すも仇雲波の活躍が…(←しつこい)
これでストーリーが良ければいいんですが、残念ながらこちらも不発気味。ギャンブラーとしての苦悩や、母子による確執の物語などが簡潔に描けておらず、役目を終えたキャラクターから順に殺していく展開も安易さを感じます。
特に問題なのが、主人公がギャンブラーという設定に必然性が感じられない点です。本作の主人公はギャンブラーに転身し、仇敵や妹の行方を捜していますが、彼女が賭け事で情報を掴むシーンなどは存在しません。
もしギャンブラーが主人公なら、「仇敵の情報が欲しけりゃポーカーで勝負だ!」「妹を救いたければバカラで勝負だ!」てな感じでストーリーを転がし、ギャンブル対決を主軸に展開していけたはずです。
しかし、本編では妹を奪還するために銃撃戦を仕掛けたり、棚ボタ的に情報を得たりと、まったくギャンブラー設定が機能していない有様。しまいには赤座から「ギャンブラーになって有効な情報は掴めたの?」とツッコまれるシーンまでありました。
母子の確執についても、赤座が徹底的に悪役として描写されているせいで、最後の献身的な行動が「何を今さら」としか思えないものになっています(死に際の台詞も母親としてではなく、ギャンブラーとしての発言だし…)。
単調なカメラワークや、香港ロケを生かさない地味な画作り(ロケ地が廃墟や倉庫街ばっかり)など、他にも問題が山積している本作。ネットで情報が少ないのも納得できる出来なので、どうしても鹿村さんの仕事が気になる方以外は避けた方が無難だと思います(爆
製作:1991年
●名うての女ギャンブラーである柏原芳恵は、香港の賭場で連日のように大勝し、関係者の間でクィーンと呼ばれていた。彼女が博打に挑むのは、凄腕のギャンブラーだった父を殺した相手に復讐し、行方不明となった妹・橋本実加子を探すためであった。
彼女は父の助手だった高川裕也のバックアップを受けるが、「普通の暮らしに戻るべきだ」と諭されてしまう。そんな中、柏原は賭場で黒社会の大物・谷峰(クー・フェン)の情婦である赤座美代子と対面する。
彼女は柏原の実母であり、父の死と同時に家族を捨てた冷徹な女だった。一方、谷峰の組織で娼婦として働かされていた橋本は、恋仲となった男の手引きで脱走。この一報を聞きつけた柏原は、高川や旧友の佐藤祐介とともに、香港の街を必死で捜索した。
だが必死の抵抗もむなしく、橋本は再び組織に捕らわれてしまう。柏原はその情報を谷峰の対抗馬・仇雲波(ロビン・ショウ)から知らされ、意を決して組織の経営するホテルへと突入する。
かくして妹の奪還には成功するが、敵は追及の手を緩めず、ついには佐藤と橋本の両名が死亡。高川も手傷を負う中、柏原は仇雲波の仕掛けた大博打に乗っかり、かつて大敗を喫した赤座とのギャンブル勝負に挑む事となる。
意地と誇りを賭けて戦おうとする柏原、命を捨ててでも仇を討とうとする高川、そして絶対的な自信とプライドを武器に立ちはだかる赤座。…今、香港を舞台に三者三様の思いを秘めた死闘が始まった!
私がこの作品の存在を知ったのは、日本人の武術指導家・鹿村泰祥の経歴を追っていく過程での事でした。鹿村さんといえば、倉田保昭とともに香港映画界で活躍した日本人であり、アクションスターとしても名を馳せた方です。
そんな彼と結婚している…と噂されるのが元アイドル歌手の柏原芳恵なんですが、本作こそが2人の出会った記念すべき(?)作品とのこと。しかし作品自体の情報が少なく、ネットで検索しても2人の関係を扱った記事ばかりがヒットします。
そのため、どんな内容なのかずっと気になっていましたが、今回その全貌を確認することが出来ました。
本作は香港でオールロケーションが行われており、柏原嬢は主演、鹿村さんはアクション指導をそれぞれ担当。先述の通り、香港からは仇雲波や谷峰、脇役で夏占士(同じVシネ合作の『霸拳』にも参加)の姿も確認できます。
この面子だとアクションに期待が高まるところですが…結論から申し上げますと、香港側のキャストによる肉弾戦は一切ありませんでした(涙)。全体的に銃撃戦の比率が多く、格闘シーンが集中しているのはホテルへ突入する場面ぐらいです。
まぁ、鹿村さんが指導しているとはいえ、主題がギャンブルなのでこうなることは予想していました。が、それにしたって仇雲波にアクションをまったくやらせない(僅かに銃を撃つだけ)という采配には納得できません!(爆
ちなみに、格闘シーンを彼らに代わって担当するのは柏原嬢と高川の2人で、両者ともそれなりの奮戦を見せていました。絡み役のスタントマンも派手に吹っ飛んだりしていますが、返す返すも仇雲波の活躍が…(←しつこい)
これでストーリーが良ければいいんですが、残念ながらこちらも不発気味。ギャンブラーとしての苦悩や、母子による確執の物語などが簡潔に描けておらず、役目を終えたキャラクターから順に殺していく展開も安易さを感じます。
特に問題なのが、主人公がギャンブラーという設定に必然性が感じられない点です。本作の主人公はギャンブラーに転身し、仇敵や妹の行方を捜していますが、彼女が賭け事で情報を掴むシーンなどは存在しません。
もしギャンブラーが主人公なら、「仇敵の情報が欲しけりゃポーカーで勝負だ!」「妹を救いたければバカラで勝負だ!」てな感じでストーリーを転がし、ギャンブル対決を主軸に展開していけたはずです。
しかし、本編では妹を奪還するために銃撃戦を仕掛けたり、棚ボタ的に情報を得たりと、まったくギャンブラー設定が機能していない有様。しまいには赤座から「ギャンブラーになって有効な情報は掴めたの?」とツッコまれるシーンまでありました。
母子の確執についても、赤座が徹底的に悪役として描写されているせいで、最後の献身的な行動が「何を今さら」としか思えないものになっています(死に際の台詞も母親としてではなく、ギャンブラーとしての発言だし…)。
単調なカメラワークや、香港ロケを生かさない地味な画作り(ロケ地が廃墟や倉庫街ばっかり)など、他にも問題が山積している本作。ネットで情報が少ないのも納得できる出来なので、どうしても鹿村さんの仕事が気になる方以外は避けた方が無難だと思います(爆