功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

更新履歴(2008/2月)

2008-02-29 23:07:26 | Weblog
なんだか、やっとこさ以前のペースに戻ってきたような感じの今日この頃。2月は他の月と比べて1日2日短いためか、なんだか異様に早く過ぎ去っていったような気がします。
尚、前々から各所で言っている"小子片"特集に関しましては、来月中を目処に始動したいと思っています。具体的に何の特集かはまだ(全体図がまとまっていないので)ここに記せませんが、おそらく以前の特集とは違って、ちゃんと一貫した内容の特集にしようと思っています。とはいえ、当方は気まぐれなので、どう転ぶかは自分にも解らないのですが…(苦笑
というわけで、今月の〆は更新履歴です。


02/01 更新履歴(2008/1月)
02/02 『リメインズ/美しき勇者たち』
02/04 『形手螳螂腿』
02/05 『香港近未来バイオレンス/爆裂戦士』
02/06 『花街神女』
02/08 『碧血[ン先]銀槍』
02/10 『新月傳奇』
02/12 『アンディ・ラウの神鳥聖剣』
02/15 『骸骨キョンシー』
02/17 『ブレード/妖剣伝説』
02/19 『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』
02/21 『富貴兵團』
02/23 『蕩寇灘』
02/24 『霊幻勇士VS黒魔術/シャインゴースト』
02/27 『侠大兒乞』
02/29 更新履歴(2008/2月)

『侠大兒乞』

2008-02-27 22:05:22 | カンフー映画:佳作
侠大兒乞
Boxer's Adventure/Militant Eagle/Great Soldier Wins a General
1978

▼この作品、もしかして本当のタイトルは『乞兒大侠』なのではなかろうか?
HKMDBやいくつかのサイトでは本作のタイトルは『侠大兒乞』ということになっているが、逆読みしてみると『乞兒大侠』…つまり「こじきの大侠」という意味になるのだ(『侠大兒乞』のままだと変な言葉になってしまう)。
更に、本作のタイトルにはまだ疑問がある。それは英題の『Boxer's Adventure』についてだ。『Boxer's Adventure』でネット検索をすると、同じ英題を持つ譚道良の『旅』という作品が出てくるのだ。オマケにくだんのHKMDBでは、本作の項に『旅』の画像が使われている。これは別のサイト(Hong Kong Cinemagic)でも同じ事があったのだが、果たして本当に本作の英題は『Boxer's Adventure』なのか…一抹の謎が残る。

■時は乱世。悪政が跋扈する世の中に人々は苦しんでいた。悪徳役人とその配下によって身内を殺されたり傷つけられた衛子雲(ビリー・チャン)・燕南希(ナンシー・イェン)・薛漢(シェ・ハン)は、悪徳役人の悪事を偉い将軍に直訴した。だが、悪徳役人は突然現れた白衣の刺客・凌雲によって殺害されてしまう。
そう、真の敵は別にいたのだ。
実は悪徳役人は、将軍と敵対している白鷹(パイ・イン)と通じており、悪徳役人と共に悪行を重ねていた萬重山、そして凌雲もその仲間だった(この他に配下は馬金谷・歐陽鐘・蔡弘・蕭錦・茅敬順など)。その凌雲は姉が白鷹の妻(あまり仲は良くない)で、燕南希の父母を殺したのも彼。そして驚いた事に、凌雲は衛子雲の兄弟弟子?でもあったのだ。
その後、敵の本拠地を知った燕南希と薛漢は攻勢を仕掛けるも、逆襲に遭って薛漢が捕らえられた。逃走する燕南希を追って凌雲が出動するが、前々から姉に対する白鷹の仕打ちに反感を抱いていた凌雲は、白鷹を裏切り気味だ。それに白鷹も気付いており、疑いの目を向けていた。
傷付き倒れた燕南希を、凌雲は自責の念から庇う。しかし、あと一歩で隠れていた燕南希が白鷹たちに見つかりそうになった時、凌雲の姉が自らの命を投げ打って目をそらさせた。このことをきっかけに凌雲は白鷹への反逆の意思が芽生えていく…。
一方、衛子雲は敵地に潜入して白鷹の娘を捕まえていたが、彼女も白鷹に対する不快感は同じだった。そのため自分から衛子雲に捕まり、騒ぎの隙に凌雲が薛漢を助け出した。衛子雲と凌雲は戦うフリをして敵陣から脱出して燕南希と合流。ところが、将軍が苗天の裏切りによって捕まってしまった。
処刑されようとしている将軍を助けるべく、凌雲が、衛子雲たちが立ち上がる!

▲本作は武侠片だが、剣撃・功夫アクションが豊富にあり、二転三転する物語はなかなか面白い。本作の監督は金劍と李家志の2人で、両者とも監督作は少ないようだが、出演者の顔ぶれやエキストラの数から、結構な規模の作品として作られているところが垣間見える。
アクションに関してはそんなに大したものではないのだが、クライマックスで個々のキャラクターにそれぞれ一対一のバトルを用意するなど、なかなか気が効いた構成にしてあって興味深い(武術指導は何維雄…あまり裏方仕事は多くないようだが、多くの出演作を持つ)。無名の作品にしては結構頑張っている一本。これまた掘り出し物、といった感じの作品でした。

『霊幻勇士VS黒魔術/シャインゴースト』

2008-02-24 23:33:22 | カンフー映画:珍作
「霊幻勇士VS黒魔術/シャインゴースト」
羞羞鬼/九月初九之重見天日/九月九日之重見天日
Shy Spirit/Shyly Spirit
1991(1994?)

●方々でこの作品は「駄作だ」と一様にこき下ろされている。理由は様々だが、ひとえに本作がキョンシー映画として売られたところが不味かったのだろう。
本作のパッケージには堂々と林正英(ラム・チェンイン)のポートレートが使用されており、『霊幻道士』のような作品を予感させるものだが、劇中にキョンシーは全く登場せず、林正英も冒頭のみの登場で、オマケに役柄は道士でもなんでもない。これではキョンシー映画ファンからブーイングを食らうのも納得だ。しかし、本作は決して駄作と切って捨てる作品ではないのだ。
鍾發(チュン・ファト)と陳龍の道場は犬猿の仲。鐘發の息子・倪星(コリン・チョウ!)と、陳龍の息子・曾志偉も、愛しいヒロインを取り合う間柄だった。ところが、ある日曾志偉がヒロインの入浴シーンをノゾキ見していたところ、天井が抜けてヒロインと激突!曾志偉は無事だったが、哀れヒロインはそのまま亡くなり、幽霊(入浴中に死んだので素っ裸のまんま!)となってしまった。
曾志偉が逃げるところを目撃していたヒロインの母は、警察の馮淬帆(フォン・ツイフェン)に訴えるが、陳龍から金を掴まされた馮淬帆は逆に鐘發へ銃口を向ける始末。困り果てた倪星たちだが、霊幻道士でもある鐘發が、さまよっているヒロインの幽霊を発見する。なんとかヒロインを生き返らせようと奮闘する倪星たち。しかし、曾志偉の悪友である霊幻道士かぶれの程守一も、幽霊になったヒロインの存在を知っていた…。
先に言及したとおり、本作は(総評すると)あまりいい作品ではない。事情をよく知らないまま曾志偉に加担した狄威(ディック・ウェイ)や馮淬帆はまだ許せるとして、最後の最後まで倪星を殺害しようと企んだ曾志偉はかなりの外道だ。それらの連中に対して何の天罰も無いまま終わってしまっているので、見た後も居心地の悪さを感じられずにはいられない。
だが、本作は動作片として見る分には十分面白いのだ。
ビデオがリリースされた当時、全く無名だった倪星の『レッド・リベンジ/復讐の罠』と並ぶ日本公開作であり、武術指導はなんと羅鋭(アレクサンダー・ルー)が変名で担当。おかげで作中のアクションは、やたらめったら濃い内容になっている。狄威や陳龍はほとんど動かないものの、その分倪星と鍾發が活躍しており、特に陳龍と仲違いしているという『鬼打鬼』を髣髴とさせる設定の鐘發も見逃せない。
アクション以外には、エッチな場面(苦笑)などもあったりして、意外と飽きさせない掘り出し物的な一品。やっぱり映画というものは、ちゃんと見てみないと解らないものだと改めて思い知った次第です。それと、劇中のBGMが『パトレイバー』だったり『逆襲のシャア』だったりしますが、それについてはご愛嬌ということで…(笑

『蕩寇灘』

2008-02-23 20:23:33 | カンフー映画:佳作
蕩寇灘/死亡灘
The Bloody Fists/Death Beach/Deadly Buddhist Raiders
1972

●傑作の『餓虎狂龍』でも素晴らしいワークを見せていた、呉思遠&陳星(チン・セイ)による功夫片である。『ドラゴン怒りの鉄拳』によって抗日功夫片が多く作られ、『餓虎狂龍』でも同様に抗日的な要素を含んだ作品を作った呉思遠だが、他の作品のように「右へ倣え」というような作品は作ってはいない。やはり呉思遠、このへんは流石だ。
悪党の陳星は警察の手から逃れながら、とある寂れた町へとやって来た。ここではちょうど日本人たちが進出してきているところで、于洋(ユー・ヤン)ら町の若者は突然現れた異邦人に動揺を隠せない。手始めに町の功夫道場が日本人たちの嫌がらせを受けたが、ワッキーっぽい顔の山怪や赤い胴着の方野には敵わなかった。
さて、ここで首領を演じているのは、あの陳觀泰(チェン・カンタイ)だ。当時はショウブラにいたはずだが、同じくショウブラにいた呉思遠の繋がりで無理を押して出演したのだろう。その証拠に、一部の場面で別人がスタンドインを演じている(劇中、陳觀泰は顔半分をマスクで隠しているが、目鼻立ちが違うので別人だとすぐ解る)。
陳星は町で聾唖の韓國才とその祖父(『燃えよドラゴン』の李小龍の父親役だった人)に出会い、暖かく迎え入れられるが、町が一大事になっていることを知り、人知れず立ち去ろうとする。しかし、こっそり于洋の加勢をしていたことを陳觀泰に見抜かれ、陳星は陳觀泰たちの挑戦を受けた。陳星は方野たちを圧倒して立ち去るが、道中で病に倒れ、再び韓國才に助けられた。人の温かさに触れ、その目に涙を浮かべる陳星だが…。
一方、町では于洋の仲間が殺され、人々が虐げられていた。于洋が捕まりその妹も乱暴され、韓國才とその祖父は日本人たちの毒牙によって命を落としてしまう。今まで逃亡者の身ということもあり、韓國才たちにも迷惑をかけまいとしていた陳星も、ここに及んで怒りを爆発!陳觀泰らとの死闘に望む!
話としては非常にシンプルで、要は「流れ者が日本人を倒す」だけの話であり、陳星と于洋ら町の人間らとの関わりもほとんど無い。他と違う事をしようとして工夫を凝らしたのは察することができるものの、作品自体はあまり評価に値するものではないと言える。だが、こと功夫アクションについてはやたらめったら激しく、野性味溢れる陳星の立ち回りは迫力満点。共にパワーファイター系である陳星VS陳觀泰というバトルも、製作年度を抜きにしてもかなりのものだ。
武術指導は当時新鋭だった袁和平が担当しており、彼にとっても初期の武術指導としてはベストなのではなかろうか?これの発展系が『餓虎狂龍』と考えると、なんとも感慨深いものを感じずにはいられません。無法者として生き、英雄として最後を飾る陳星の姿に心打たれる快作。必見です。

『富貴兵團』

2008-02-21 21:58:14 | 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
「富貴兵團」
富貴兵團
The Fortune Code
1990

●香港映画におけるオールスター作品の頂点として製作された『上海エクスプレス』。この映画は言うまでも無くヒットを記録し、同じ様な作品も企画された…それがこの作品なのだ。しかし、実際はそれほどのヒットにはならなかったとのことだが…?
時は第二次世界大戦、ここは日本軍の捕虜収容所(と言っても、捕虜は普通のいい生活をしていたりする)。劉徳華・陳百祥・鄭則士・樓南光・成奎安らは脱走を企て、鐘發を倒して劉徳華だけがなんとか脱出した。その後、劉徳華は恋人の梅艷芳と接触していたが、実は梅艷芳は中国軍のスパイで、そこにスパイ頭目のサモハンも現れた。
いいように言いくるめられてスパイの仲間入りをさせられた劉徳華は、同じスパイの譚詠麟と合流し、サモハンからある計画を聞かせられた。曰く、「スイス銀行にある中国側の隠し財産のパスワードを知る男・"福の神"が劉徳華のいた捕虜収容所にいるから、探し出してパスワードを聞き出して欲しい」とのこと。劉徳華と譚詠麟は共に収容所へと向かうのだが、そこには新任の収容所主任・龍方が目を光らせていた。
収容所には新たに飛虎隊の捕虜(曾志偉・莫少聰ら)も到着。龍方も"福の神"を探しており、また劉徳華に先んじて潜入した梅艷芳もいる。果たして、"福の神"の正体と暗号は?そして、劉徳華たちは無事に脱出することができるのか?本作はこれを主軸に様々なイベントを経てクライマックスへと至る。終盤には龍方の上官である陳勳奇・劉家輝・白彪も参加(配下には慮恵光なども)。サモハンもやって来て一大バトルに突入していく。
オールスター作品となると内容が薄くなるのは仕方が無いが、本作は『上海エクスプレス』に比べると、ストーリーもアクションも随分と落ちる。顔ぶれに関しては『上海~』にも負けてはいないのだが、どっちかというとアクションのできる面子が少ない。樓南光などのコメディアクターはいるが、正直ギャグも空回りしていて面白くなかった。しかも『上海~』ではキャラクターや設定、ロケーションなどがスケール感を出していたが、本作はキャラに個性が無く、物語が収容所のみで進むので、ひどく窮屈な印象を受ける。
アクションについてはサモハンはノータッチらしく、また功夫スターがほとんど不在ということもあって、迫力不足の感も否めない。サモハンVS龍方・サモハンVS陳觀泰という功夫ファン垂涎の顔合わせが見られるが、この顔合わせならもっと凄いものが見られたと思うし、惜しい限りだ(なお、劉家輝・白彪とサモハンの絡みは無し)。
正に消化不良を絵に描いたような作品。これならヒットしなかった理由もなんとなく解ります。ちなみに監督はなんと鄭則士。ほかに彼の監督作があるのか知らないが、同じデブ監督ならサモハンに任せたほうがよかったのでは?(酷

『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』

2008-02-19 22:52:50 | マーシャルアーツ映画:上
「キング・オブ・キックボクサー/ファイナル」
AMERICAN SHAOLIN/THE KING OF THE KICKBOXERS II
KARATE TIGER 5/NO RETREAT, NO SURRENDER 5
花旗小和尚
1993

▼かつて、思遠影業が製作した『シンデレラ・ボーイ』は、当時ヒットした『ベスト・キッド』の影響を受けた作品だった。『ベスト・キッド』は私は未見だが、若き青年が老トレーナーの指導を受けて強敵を打ち破るという図式は、かつての功夫映画に多く見られたストーリーであった。
「そういうネタは既に香港映画が通ってきた道だぜ!」とばかりに呉思遠が打ち出したのが『シンデレラ・ボーイ』だった。本作はその土壌の上に成り立った作品で、『シンデレラ・ボーイ』よりも更に功夫映画色を濃くしたものとなっている。

■とある格闘技大会。スポーツマンシップなんて糞食らえとばかりに笑い飛ばす非道なファイターにコテンパンにされたリース・マティガンは、少林寺で修行していたと偽っていた師匠(その割にはリースを大会2位にまで導いたりしている)の話を聞き、もっと強くなるために少林寺で修行する事を誓った。
とはいえ、そう簡単に少林寺の門は開かない。リースは『少林寺列伝』の傅聲(フー・シェン)のように門前で座り込み、なんとか入門を許される。しかし本当に大変なのはそこからで、異邦人を嫌うダニエル・デ・オム(『ハルク』や『ブラック・ダイヤモンド』などに出演している東洋人俳優)との確執や、辛い修行の日々が待っていた。
修行を誓いはしたが、思想や習慣の違いにアメリカ人のリースは戸惑いを隠せない。閉ざされた空間から抜け出そうと騒ぎを起こした事もあったが、次第に仲間たちとの間に友情が生まれ、リースは一人前の拳法家として成長していく。
その後、三十六房(笑)の試練を突破したリースは大僧正から上海で行われる格闘大会に立ち会って欲しいと誘われる。選手として出場するオムの応援をするリースだったが、そこにはあのリースを倒した憎きファイターの姿があった。外道なファイトでオムを追い込むファイターに、リースは果敢に立ち向かう!

▲真面目に修行に専念するのは後半になってからで、少林寺に入門したリースはことごとく反発。寺で問題を起こしてばかりという描写が続く。見ている側としては「誓いを立てて修行に来たってのに、なんであんなにヘナヘナなんだよ!」と思いたくなるが、実はこれこそが本作の一番特異な点であるのだ。
この映画は言うまでも無く、実質的には『シンデレラ・ボーイ』同様に香港映画である。そう考えると、本作での少林寺の描き方は(香港映画としては)とても画期的だ。修行中に寺を抜け出そうとしたり、女の子と恋に落ちたり、ロックを歌ったりラグビーをしたり…海外向けにアメリカナイズされているとはいえ、ガチガチに硬い少林寺を見ていた功夫映画ファンからしてみると、本作での少林寺は適度にまったりとしている(これについては賛否が別れるところではあるが)。
本作ではヴァンダムのような達人レベルのスターはおらず、演じている白人さんたちの動きもどこかぎこちないように見えなくも無いが、元奎(コリー・ユン)が武術指導を担当したアクションシーンは凡百のマーシャルアーツ映画とは比較にならない迫力があり、功夫映画ファンにも是非見てもらいたい作品である。

『ブレード/妖剣伝説』

2008-02-17 21:36:27 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ブレード/妖剣伝説」
原題:Sword of Honor
製作:1995年

スティーブ・ヴィンセント・リージェフ・プルートはやり手の警官コンビだが、ある組織との銃撃戦でジェフが殉職。敵は元の時代から伝わる伝説の妖剣を盗み出し、それをエサに甘い蜜を吸おうと企んでいた。
相棒を殺されたスティーブは上司から休めと言われるが、ジェフの妹であるソフィ・クロフォードと共に巨悪へ立ち向かっていく決意を固めた。やがて2人は組織が妖剣を利用して取引相手を殺害した事や、その際に使用された銃がジェフの殺害にも使われていたことを掴んだ。
 しかし相手も黙ってはおらず、組織の差し金によってソフィが重傷を負ってしまう。組織と通じていたスティーブの上司も利用された挙句に殺されるが、上司を殺した犯人に気付いたスティーブは同僚と捜査を再開する。
一方、組織では下克上を狙っていた幹部(上司を殺した男)がボスを殺害。スティーブは仲間と共に敵のアジトへと潜り込むが…?

 いくつもの香港映画で活躍した白人女ドラゴンことソフィ・クロフォード。本作はそんな彼女が出演したマーシャルアーツ映画で、主演はスティーブ・ヴィンセント・リーが務めています。彼は本作以外にも『カジノ・ファイター』『ハードブロー』等に参加。そのアクション・センスはなかなかのものです。
作品としては凡庸なポリスアクションですが、主人公の相棒に扮したジェフが武術指導を担当していることもあってか、アクションシーンは及第点以上の出来となっていました(坂本浩一らもスタント等で参加)。
 劇中では格闘戦だけでなく、銃撃戦や爆破アクションを加えることでテンションをキープ。ドラマについても悪くなく、最初は険悪だったスティーブとその同僚が後半で和解するなど、ほんの少しですがストーリーに捻りが加えられています。
そして本作で最も印象に残ったのがジェフの見事な立ち回りです。彼の出番は序盤だけですが、アクションシーンでの動作は他のキャストの誰よりも素早く、さすが本職の殺陣師だけはあるなぁ…と唸らされました。
 他にもソフィの見せる香港仕込みのバトルなど、見どころはあるんですが…残念ながらラストバトルはあまり面白くなかったですね。ここで達人クラスの格闘俳優と絡んでくれていたら、本作は傑作に昇華していたかもしれません。
ところで本作は妖剣が主題となっていますが、別に霊が憑りついていたりするようなことはなく、SFチックな邦題とは裏腹にただの小道具として扱われます。この妖剣は最終的にスティーブの手に渡るのですが、あの保管方法(見てのお楽しみ)だと剣がダメになってしまうのでは?(笑

『骸骨キョンシー』

2008-02-15 21:21:07 | カンフー映画:珍作
「骸骨キョンシー」
艷鬼凶靈
The Devil & the Ghostbuster
1985(1988?)

●もし『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』と『霊幻道士』をくっつけたらどうなるか?ある意味その答えを導き出したのが、この作品である(笑)。
といっても、出演している人は知らない人だらけであり、アクションも中途半端にワイヤーを使っていて作品全体の統一性が取れてない。そしてなによりもこれは3級片である。とにかく何かにつけてエロエロなシーンがあるのだ(実際に3級片だったかどうかは不明)。
霊界の売春宿から迷い出たかわいそうな美女の幽霊を韋白(ウェイ・パイ)が助ける話だが、製作時機を見ればこれが徐克(ツイ・ハーク)の『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』よりも先んじた悲しき女幽霊ものであるとも受け取れる(とはいえ、『チャイニーズ~』は『倩女幽魂』のリメイク作であるのだが)。ここらへんは評価できるかどうか微妙なポイントだ。
ところで「先んじた」と書いたが、本作の製作年度はデータベースによっては88年となっているものもある。しかしいくら低予算の作品とはいえ、作中に漂う空気は間違いなく88年のものではない。88年といえば、ジャッキーは『サイクロンZ』を、袁和平は『タイガー刑事』を、呉宇森は前年に『男たちの挽歌2』を作っている頃である。88年という制作年度は疑問だ。そこへいくと、制作年度が85年だとするなら合点が行く。85年は『霊幻道士』が制作された年だからだ。
ぶっちゃけ、エロとオカルトと流行ってるからキョンシーもぶち込んじゃおうという闇鍋作品でしかないかも知れないが、ちまたの酷評にかかわらず私はこの作品はそんなに悪くないと思ってる。取るに足らない駄作である事は確かだが、そんな切って掃いて捨てるほど酷くはないのでは…?

『アンディ・ラウの神鳥聖剣』

2008-02-12 23:43:58 | カンフー映画:珍作
「アンディ・ラウの神鳥聖剣」
神鳥聖劍/九二神[周鳥]之痴心情長劍/九二神[周鳥]侠侶
Saviour of the Soul 2
1992

●冒険家の劉徳華(アンディ・ラウ)は、相棒のガキと発明家の元奎(ユン・ケイ)と共に不死身の体を与えるという神秘の氷を求め、遠い雪山を目指す。そこで劉徳華は氷の精・關之琳(ロザムンド・クワン)と出会う。彼女は昔から自分の夢に現れていた謎の美女であり、劉徳華は神秘の氷を狙う魔王・呉耀漢(リチャード・ウン)と戦っていく事になるのだが…。
一時期、信じられないぐらいの数がリリースされた劉徳華の主演作のうちの一つである。日本で発売された彼の作品はジャンル・本数共にかなりの量があり、発売した会社も後先考えなかったのか、駄作としか思えないようなものもいくつかまき散らす事となった。その後はレンタルビデオショップで中古落ちのものがいくつも投げ売りされているが、その中で言えば本作はどちらかというと面白くない部類に入る。
本作を見る前は「よくあるアイドル系アクションかな…?」と思っていたのだが、実際はかなり子供向けチックな内容だ。『ゴッド・ギャンブラー』や『男たちの挽歌』のパロディがあったり、關之琳の役がまんま『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』だったり、何の説明も無く劉徳華が空を飛んだりするなど荒唐無稽で、ストーリーについてもかなり強引な展開ばかりで見ていて非常に疲れる。要するにこの作品、あまり何も考えずに企画された可能性が大なのだ(笑
しかし原題には『神[周鳥]侠侶』なんちゃらとあるため、もしかすると武侠小説あたりからインスパイアされている部分もあるかも知れないが、詳しくは解らない。アクション的にもストーリー的にも見るべきものは無い本作だが、呉耀漢の悪役というのはなかなか珍しいものがある。ところで、実はどこかに大韓ファイター・元振(ユン・ジン)が出演しているらしいが……どこにいたっけ?

『新月傳奇』

2008-02-10 21:09:34 | カンフー映画:珍作
新月傳奇/楚留香之新月傳奇
The Sun Moon Legend/The Young Moon Legend
1980

●前回紹介した『碧血[ン先]銀槍』と同じ、古龍(クー・ロン)原作の武侠片だ。『碧血[ン先]銀槍』はしっちゃかめっちゃかだったが、本作はちょっとだけ安心できる要素がある…この作品、かの『楚留香』シリーズなのだ。
『楚留香』は多くのシリーズがあり、天下のショウ・ブラザーズで狄龍(ティ・ロン)主演によって3本ほど作られている。無論、それ以外のプロダクションなどでも同シリーズは映像化されており、本作もその1つである(…とはいえ、まだ私は他の『楚留香』シリーズを見ていないのですが)。
雨の中、ふらりと飯屋に来た楚留香。そこに謎の老人・葛香亭が現れ、曰く「孫娘を探して欲しい」と依頼される。楚留香はせっせと情報収集に励むが、行く先々に現れる楊鈞鈞が気になる様子。ついにはラブラブになる2人だったが、この単なる人探しにしか過ぎなかった一件の裏には、大きな陰謀が秘められていた…。
息をもつかせぬサスペンスだった『碧血[ン先]銀槍』に対して、本作はラブストーリーを交えた謎解きの物語だ。おかげで次々に登場人物が死んだりする『碧血[ン先]銀槍』よりは、落ち着いて見る事が出来た。しかし、物語の大部分で交わされるセリフの応酬がよくわからないのが惜しいところである(私が見たものは中英文二段字幕、広東語?のバージョン)。
武侠片を見ている際に、最もネックとなるのが言語の問題だ。功夫片のようにビジュアルだけで表さず、セリフを交えて状況説明がされるため、一から十まで内容を把握していないと、面白い物語でもすぐに取り残されてしまう。日本語字幕や吹替えアリならまだしも、英語や広東語だとついていくのがやっとで、ややっこしい作品となると完全にお手上げだ。…やっぱり中学の頃にしっかり英語とか勉強しておけばよかったなぁ(涙
さて、狄龍を筆頭に鄭少秋(アダム・チェン)など二枚目スターが扮した楚留香。それを本作で演じているのは、なんと孟飛(メン・フェイ)なのだ。孟飛といえば日本でも二枚目アイドル、方世玉スターとしても有名だが、いささかキャラクター違いじゃないか?童顔の孟飛がヒゲを生やしているのは、かなり違和感のある光景だ。
個人的には、孟飛を筆頭に、白衣の侠客・王冠雄、楊鈞鈞に付き従う剣士・凌雲と、台湾の武侠片系スターが勢揃いしているのも興味深い。また、『碧血[ン先]銀槍』同様にセットが結構豪華で、アクションも健闘している(特にアクションは数こそ少ないが見応えは十分。武術指導は蘇真平が担当している)。キャラクターも魅力的だったし、意外な黒幕の正体なども含めて悪い作品ではない事は確か。これで詳細もはっきりすればもっと評価が上がりそうなところだが…う~ん。
なお、一部資料によると本作には姜大衛(デビッド・チャン)が出演している事になっているが、本作を見る限り姜大衛の姿は確認できませんでした。