功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

格闘映画総特集(5)『サイレント・アサシン』

2009-05-31 23:14:02 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「サイレント・アサシン」
原題:SILENT ASSASSINS
製作:1987年

●本作は『ショウダウン』同様に前々から見たかった作品の筆頭だった一本だが、期待通りの手ごたえを感じた『ショウダウン』とは打って変わって、本作はちょいと期待はずれだったなぁ…と思ってしまう作品でした(爆
刑事のサム・ジョーンズは凶悪犯のグスタフ・ヴィンタスを取り逃がし、そのうえ相棒までも殺されてしまった。失意の彼は警官を辞め、リンダ・ブレアと共に田舎にでも引っ越そうかと考えていたが、その矢先に再びグスタフが事件を起こしたとの報せを聞いて現場に復帰する。話によると、グスタフは忍者軍団と手を結んで科学者と居合わせた中国人の少女(親はその際に殺害された)を拉致し、何か良からぬ事を企んでいるようだ。殺された中国人の兄弟だったジュン・チョンと共に事件の捜査に乗り出したサムだが、敵は予想以上に強大であり、リンダや上司にも危害が及んだ。
ジュンはヤクザのマコ岩松に協力を頼み、彼の息子であるフィリップ・リーも一時は反発したが仲間に加わった。敵の目的が細菌兵器の開発で、アジトの場所が何とか解ったのも束の間、今度はマコまでもが殺されてしまう。ここに至りサム・ジュン・フィリップの3人は、グスタフや黒幕が潜む敵地に飛び込む!
…とまぁカッコよくストーリーを追ってみたが、実際の作品は非常にお粗末な出来だ。「ジュンやフィリップがニンジャに立ち向かう」という粗筋を聞いた時はもっと派手なものを想像したが、作中で彼らが見せる格闘シーンは後半に集中しており、内容もあまり上質とは言えない。本作でジュンとフィリップは日本刀や棍を駆使して闘っているが、正直言って持て余している感がとても強い。どうせなら得意のテコンドーキックを全面に押し出した殺陣にしていれば、見栄えも更に良くなったはずである。
時折挟まれるスプラッタな演出も邪魔以外の何物でもなく、しこりを残したままのオチも個人的には頂けなかった(ヒットしたら続編でも作る気だったのか?)。作品の方向性にもその迷走っぷりが映し出されており、ニンジャを出すなら荒唐無稽に徹すればいいのに、どっちつかずな作風のままで作品が完結しているのも×。これなら過去にレビューした『ストリート・ソルジャー』や『L.A.ストリートファイターズ』などの方がよっぽどマシだ。前二作を見た人は本作に過度な期待は禁物、とだけ言っておこう。
ところで、ニンジャの中にケン・ナガヤマやサイモン・リーがいるらしいが…どこにいたっけ?

格闘映画総特集(4)『テロリスト・ウエポン/悪魔の最終兵器』

2009-05-28 19:42:40 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「テロリスト・ウエポン/悪魔の最終兵器」
原題:Bloodfist VI: Ground Zero
製作:1994年

●再びドン・ザ・"ドラゴン"・ウィルソンの主演作だが、原題を見ても解るとおり本作もシリーズ物の一編である。ただし先の『キング・オブ・キックボクサー』系列が日本で勝手に続編にされたものであるのに対し、この『Bloodfist』シリーズは本家が勝手に続編にしたシリーズなのだ。
 まず、第1作である『Bloodfist』(未公開作)は1989年に作られた。この作品はドンがマーシャルアーツ映画に主演した記念すべき最初の作品で、敵役にあのビリー・ブランクスが起用されている点に目を惹かれる。次いで『Bloodfist II』が1990年に第2作として作られ、こちらでは後にドンと何度か共演する事になる格闘家のハワード・ジャクソンと最初のコラボを果たしていた。ところがこの『Bloodfist』シリーズ、なんと第3作からは何の関係も無い単発作品を作り出す「名ばかりのシリーズ」になってしまうのだ。
最初の2本は繋がりのある正当なシリーズで、それ以後のタイトルが無関係な作品で…と言えば、香港映画ファンなら『カンフーキッド/好小子』系列を嫌でも思い出すだろう。『好小子』系列は主演の3人と製作会社しかシリーズの共通点が無く、この『Bloodfist』シリーズも共通点は主演のドンと製作者のロジャー・コーマンだけであるが、実に奇妙な符合だ。徐楓(シー・ファン)とロジャー・コーマンには何か通じるものがあったのだろうか?(笑
 とまぁ徐楓の事はともかく、これ以降の『Bloodfist』シリーズは実にバラエティに富んだシリーズ構成を見せていく。第3作は1991年製作の『オーバーヒート・プリズン(Bloodfist III: Forced to Fight)』で、こちらは監獄モノの要素を取り入れた意欲作。翌年作られた第4作の『ドラゴンチェイサー(Bloodfist IV: Die Trying)』ではゲイリー・ダニエルズと共演し、第5作の『ヒューマン・ターゲット(Bloodfist V: Human Target)』はチャイニーズマフィアとの死闘が展開される。
その後も第7作『Bloodfist VII: Manhunt』、第8作『Bloodfist VIII: Trained to Kill』までシリーズは続いた(余談だが、かのマット・マリンズ主演『ストリート・ファイター2050』には『Bloodfist IX』という副題が存在する)。

 本作は第6作にあたり、軍事基地を舞台にした『ダイ・ハード』タイプの作品である。イスラム原理主義を唱えるテロリストグループにより、核ミサイル基地が占領された。そこにたまたまやって来たドン軍曹(元特殊部隊隊員の経歴アリ)がこの事件に巻き込まれ、頼りにならない特殊部隊を尻目にテロリストたちを叩きのめす…というのが本作のストーリーだ。
物語はお決まりの展開に添って進むオーソドックスなものだが、現場を混乱させるヒロインもいないし演出のテンポも悪くなく、格闘アクションもそれなりに頑張っており(ファイト・コーディネーターはおなじみアート・カマチョ)、休日の昼過ぎに見るには最適な作品と言える。
 この作品で注目すべきは、あのビリー・ブランクスの弟であるマイケル・ブランクスがテロリストのメンバーとして出演している点で、中盤にはドンとタイマン勝負を繰り広げている。マイケルがどれだけの戦歴を残しているかはよく解らないが、ドンはこれでビリーとマイケルの筋肉兄弟と対戦したことになるので、これもまたレア対戦のひとつとして数えられていいだろう。
残念なのは、これだけ素晴らしい動きをしているマイケルが最後の敵ではない事で、加えてラスボスが弱かったのもマイナスポイント。もしマイケルがボスの腹心で最後に戦う相手だったら…もっと本作の評価は上がっていたかもしれない。…ところで、ここまでくるとやはり『Bloodfist』シリーズも全部制覇しなくちゃいけないでしょうか?いやもうこればっかりは勘弁したいところですが…やっぱりやらなくちゃダメ?(爆

格闘映画総特集(3)『キング・オブ・キックボクサー3』

2009-05-25 21:29:18 | マーシャルアーツ映画:下
「キング・オブ・キックボクサー3」
原題:OUT FOR BLOOD
製作:1993年

▼昨年『キックボクサー』シリーズを制覇した私だが、似たようなもう1つのシリーズ制覇については消極的である。それが『キング・オブ・キックボクサー』シリーズだ。
『キング・オブ・キックボクサー』シリーズとは呉思遠が製作した『キング・オブ・キックボクサー』から始まった一連の作品群の事を指す。しかし『キング・オブ・キックボクサー』以後のシリーズに関連性は無く、ここが(一応は)繋がった話として成り立っていた『キックボクサー』シリーズと一線を画しているポイントである。まぁこれは考えると当然の話で、そもそもこの『キング・オブ・キックボクサー』シリーズは日本で勝手に作られたタイトル群なのだ。
このシリーズは『キング・オブ・キックボクサー』以下、『同2』『同3』『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』、そして第3弾扱いになっている『リング・オブ・ファイア』も合わせると、計5本の作品が存在する。そのうち3本がドン・"ザ・ドラゴン"・ウィルソンの主演作なのだが、呉思遠が関わった『キング・オブ・キックボクサー』と『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』意外は例によってアレな作品が多い。そんな訳で本作もドンの主演作にありがちな「格闘アクションは多いのにまったり風味の作風でお茶が濁されているタイプ」の作品だ。

■1年前のある事件で妻子と記憶の一部を失ったドンは、昼は敏腕弁護士として働き、夜は麻薬密売人や悪人を襲うという行為を繰り返していた。戦いの中で記憶を取り戻しつつあるドンだが、麻薬流通を取り仕切るトッド・カーティスは目障りな彼を倒そうと動き出す。そんな時、ドンはヒロインのシャリ・シャタックや芸術家のアキ・アレオンと親しくなるのだが、シャリに横恋慕する資産家ロバート・ミアノの横槍が激しくなり、更にドンの裏の顔にシャリが気付いてしまう。
板ばさみな関係の中でトッドのいる麻薬密造工場へ踏み込むドン。だが、その際に足がつく証拠を残したため警察の追及も迫りつつあった。しかも悪い事は重なるもので、シャリがトッドたちに誘拐されてしまう。飛行場でまみえた両者は素手の勝負に持ち込まれ、ここに至りドンはトッドたちこそが妻子を殺した犯人であると気付く。ところがそこに思いもよらぬ黒幕が姿を現し、事件は大詰めを迎えるのだった。

▲この作品は、以前から香港映画『検事Mr.ハー/俺が法律だ』との類似点が指摘されている。主役が裏の顔を持つ弁護士で、クライマックスにセスナを使ったスタントシーンがあることなど、言われてみれば確かによく似ている。相違点は主人公の行動動機とバッドエンドではない事ぐらいで、製作年度も本作の方が後発だし…やっぱしパクったのかPMエンターティメント?
さて作品の方の評価だが、これがまたなんとも中途半端。イヤミなおっさん刑事の正体やドンの閉ざされた記憶など、どんでん返しにインパクトがないので非常に味気ない。格闘シーンも同様で、あやふやな心理状態のドンが殺戮を繰り返す様は見ていて気持ちのいいものではないし、大義を持たぬ主人公の姿には何の爽快感も得られないのも問題で…というか、キックボクサーというタイトルを冠しているのにキックボクサー系の作品ですらないという方がよっぽど問題だろう。もし『キング・オブ・キックボクサー』を見た人が続編だと思って本作を見たら、その落差に唖然とするに違いない。これなら『シューティング・サンダー』とかをキックボクサーなんちゃらとして売り出したほうが、よっぽどマシだったはずだ。
ということで本作はタイトル詐欺も甚だしい普通のマーシャルアーツ映画なので、キックボクサー目当ての方はご注意下さい。しかしこれで『キング・オブ・キックボクサー』シリーズの未見作は『2』だけ。ドンは好きじゃないけどゲイリー・ダニエルズが出てるなら見てもいいかなぁ……?

格闘映画総特集(2)『ショウダウン』

2009-05-22 22:50:52 | マーシャルアーツ映画:上
「ショウダウン」
原題:SHOWDOWN
製作:1993年


●田舎から引っ越してきたケン・スコットは新しいハイスクールに入学するが、そこは荒んだ不良の巣窟だった。とりあえず同級生のジョン・マロリー・アッシャーにあれこれ話を聞くが、「女子のクリスティーン・テイラーにだけは近寄るな」と忠告を受けた。
クリスティーンは清楚な娘なのだが、彼女のボーイフレンドであるケン・マクラウドという男がとんでもなく凶暴な奴だという。しかしケンはうっかり彼女と接触してしまい、マクラウドに目を付けられてしまった。
 この男はパトリック・キルパトリックが主催する拳法道場のエースであり、パトリックが王者に君臨する格闘賭博でも活動している。当然ケンが敵うような相手ではなかったが、そんな彼の窮地を救ったのは元警官の用務員・ビリー・ブランクスであった。
クリスティーンの為にも強くなりたいと願うケンの思いに答え、ビリーは彼に格闘技を教え込む。次第に腕を上げていくケンだが、一方で彼を自陣に引きこまんとするパトリック側も動き出していた。
 格闘賭博の存在を知ったビリーは、青少年たちを食い物にしようとする連中に憤慨し、かつての同僚と協力して賭博の摘発に乗り出す。が、逆に敵の怒りを買って刺客(うち1人がジェームス・リュー)を差し向けられてしまい…。
そのころ、ケンはマクラウドと最後の対決を迎えつつあった。闘わないでと懇願するクリスティーンに、ケンは「これは僕自身の戦いだ」と言うとビリー不在のまま試合へ挑む。果たしてケンは憎きマクラウドを破り、平穏を取り戻す事が出来るのだろうか?

 “黒い楊斯(ヤン・スェ)”ことビリー・ブランクスが、イブシ銀の魅力で見せる注目の作品です。作品としては『ベスト・キッド』系のスポ根アクションではあるものの、話もアクションも抜かり無しの傑作で、『キング・オブ・キックボクサー』に並ぶビリーの代表作といっても過言ではありません。
本作におけるビリーは主人公を導く存在で、ケンの師匠として頼もしい姿を見せています。私はビリーとの初接触が『キング・オブ・キックボクサー』だったせいか、今まで正義の味方として活躍するビリーになんとなく違和感を抱いていました。
ところが本作でのビリーはとても格好良く、むしろ彼は主演よりもこういうサブキャストでの方が光るのでは?…と、本作を見て思った次第です(『キング・オブ~』を剛のビリーとするならば、本作は柔のビリーといったところでしょうか)。
 さて、本作でもビリーは豪快な格闘シーンを見せ、ジェームスとのバトルなどで美味しい活躍ぶりを発揮。もちろん主演のケン・スコットらも負けておらず、鋭い蹴りを繰り出してアクシーンを大いに盛り上げています(スタントコーディネーターを担当したのはジェフ・イマダ)。
愛する者や守るべき者の為に闘い、勝利を手にする主人公の姿に心打たれる快作。ビデオソフトが消え行く中、本作も入手にはかなり苦労させられましたが(苦笑)、探すだけの価値はある逸品です。マーシャルアーツ映画ファンなら必見の作品といえるでしょう。
 ところでこれは余談ですが、私が探しているビリー主演作がもう一本あります…それが『未来警察TC2000』です。ビリーを筆頭に楊斯やマシアス・ヒューズらが一同に介した作品で、どこのレンタルショップを探しても見つかりません!(※)
私にとっては、ゲイリー・ダニエルズの『ザ・フォース』やローレン・アヴェドンの『ブラッド・ブラザーズ』(※)と並ぶ入手困難ソフトとして、未だに頭を悩ませる存在となっています(涙

※…この記事を掲載して数年後、無事に上記のソフトはすべて入手することが出来ました。
  オークション等で快くソフトを譲ってくれた方々に、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。
  本当にありがとうございました。(追記:2017年)

格闘映画総特集(1)『アンダー・カバー』

2009-05-19 20:50:15 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「アンダー・カバー」
原題:Martial Law II: Undercover/Karate Cop
製作:1991年

▼というわけで、今回から当ブログ2周年を記念してマーシャルアーツ映画特集の第2弾を開催していきたいと思います。この作品は久々の紹介となるジェフ・ウィンコット主演作で、『ハード・リベンジ』の続編にあたる作品だという事はご存知の通り。今回もカード・アンダーソンが監督を務め、前作から引き続き登場しているシンシア・ラスロックらが充実したサポートぶりを見せている。

■ジェフとシンシアは武闘派警官。今日も銃の取引現場を押さえて手柄を立て、その功績でジェフは刑事に昇格し、別の署で武術指導教官の任に当たることとなった…が、転任早々に旧友だった警官が不審な死を遂げてしまう。ジェフはこの事故に不信感を抱き、死の真相を探ろうと単独で捜査に乗り出した。残された遺留品からシンタックスというクラブが怪しいと睨んだジェフは、休暇中のシンシアに協力を仰いでクラブへの潜入捜査を依頼。ジェフ自身は旧友がある事件を追っていた事を知り、青年実業家のポール・ヨハンソンが裏で糸を引いている事に気付く。
どうやらポールはエヴァン・ルーリーやレオ・リーら用心棒を従え、近々摘発される予定の麻薬を奪う漁夫の利作戦を企んでいるようだ。しかし、この件を嗅ぎまわっているジェフの存在が目障りなポールは、なんとかジェフを潰そうと暗躍を続けていた(ただし全て失敗に終わっていたのだが)。そして遂に麻薬組織摘発の日…警察が押収した麻薬を内通者の悪徳刑事が輸送し、それを強奪せんとポールたちが動き出す。事ここに至り、潜入しているジェフとシンシアも立ち上がって最後の決戦が始まった!

▲若干ストーリーが間延び気味で、ポールの企む悪事もいまいち不明瞭。ラストもあんまり気持ちの良いものではないが、全体的な出来は中々の作品だ。武術指導はお馴染みのジェフ・プルートと坂本浩一コンビで、いつもの痛いスタントシーンは控えめだが、格闘シーンについては一切の妥協が無く、相変わらずの高品質なファイトに仕上がっている。
ジェフがレオ・リーとカリスティックを用いて闘うシーンは中盤のクライマックスで、ラストの決戦も連戦に次ぐ連戦は見応え十分。その連戦でジェフは3人の敵に挑むのだが、この対戦相手の顔ぶれもまた凄い。まず最初に立ちはだかるのはジェフ・プルート!実は対戦する3人の中で一番いい動きをしているのだが(笑)、何気にジェフとプルートの一騎打ちは本作が初だったりする。続いて対戦するのは『リアル・キックボクサー』のエヴァン・ルーリーで、本作ではポールの用心棒として幾度も格闘アクションを披露し、ここでも濃厚なアクションを展開している。惜しむらくはこの対戦がアッサリ目で、最後のVSポール戦が前のエヴァンやプルートと比較すると、少々物足りない点であろうか。
ちなみにラストにおけるシンシアの見せ場は少なく、こちらもアッサリ目の活躍で終わってしまったのは実に残念だ。前作『ハード・リベンジ』でのシンシアはラストバトルでフィリップタンと一騎打ちを展開し、完全に主演のチャド・マックィーンを喰うファイトを見せていた。ところが本作でのシンシアの見せ場は前作とは打って変わって激減。敵のパツキンねーちゃんと闘うのかと思いきや、そのパツキンねーちゃんはあっという間に倒されてしまうし、その後は延々とザコと闘うことに終始している。
このザコの中には坂本浩一やジェームス・リューなどが参加しているが、どうせなら彼らを中ボスにしてシンシアにぶつけていれば、もっとダイナミックなバトルが見られたんじゃないかなぁ…。とはいえ、格闘アクションそのものは申し分無いので、そっち目当てなら大いに楽しめる事だろう。

祝・ブログ2周年!&新特集スタート!

2009-05-16 22:17:09 | Weblog
時が経つのも早いもので、このブログ『功夫電影専科』も明日で開設2周年となりました!
一時期かなり更新内容が落ち込みましたが、現在は様々な功夫片やマーシャルアーツ映画の数々をレビューし、順風満帆にブログをこなしています。これもひとえに当ブログにお越し頂いた皆様のおかげであり、次なる3周年や4周年に向けて更に頑張っていきたいと思っています。

ところで、これまで当ブログで紹介してきた映画の数は…何と411本にも達します。継続は力なりと言いますが、我ながらよくこんなに駄文を書き出してこれたものだと驚きを隠せません(笑)。そこでこの2周年を節目として、次回から「格闘映画総特集!」と題して第2のマーシャルアーツ映画特集を開催する予定です。思えば、このブログを立ち上げて最初に始めた特集がマーシャルアーツ映画特集だったのですが、今読み返してみると無理なくくりで下手な感想文を垂れ流していて実に恥ずかしい限りでした(苦笑
そんな訳で、今回の「格闘映画総特集!」は堅苦しい主題を決めず、これまで蔵出しできなかった作品の数々を一気に放出しようと考えています。ビリー・ブランクスの主演作のアレとかフィリップ・リーとジュン・チョンのアレとか、ちょっぴりレアな作品も紹介していくので、まずは「格闘映画総特集!」をお楽しみに!


管理人:龍争こ門

『小師傅與大殺星』

2009-05-13 21:52:26 | バッタもん李小龍
小師傅與大殺星/小殺星與大師傅/大殺星與小師傅(いずれも殺は旧字)/精武指譜
英題:Kung Fu Fever/Black Dragon Fever
製作:1979年

●1979年…香港映画界は李小龍から武侠片、そしてコメディ功夫片へと主流ジャンルは移り変わっていた。そんな中で第2のジム・ケリーを狙っていたロン・ヴァン・クリフという男は、すっかり時代に取り残されていたように見えたが、その彼が最後に出演した功夫映画がこの作品だ。一応は長江電影作品らしいが、よりによって巨龍(ドラゴン・リー)と共演する事になろうとは、よほど行き場に困っていたようで非常に切ない気分にさせてくれます(涙
物語は巨龍作品にしては珍しく現代劇で、李小龍の遺した秘伝書を巡って巻き起こる争奪戦を描いたものだが、これが壮絶なまでにつまらない(苦笑)。話としては巨龍が金珠の組織(手下に馬道植)など複数の敵と闘いつつ、謎の女ライダーが裏で暗躍する…みたいな感じなのだが、この物語が著しく魅力に乏しく、全体的にダラけていて面白みが全く無い。いつもなら奇声を発しながら筋肉をプルプルさせまくってるイメージが強い巨龍も本作ではあまり出番が無く、もしかしたら巨龍作品としてはワーストの出来かもしれない。
功夫アクションの質は悪くないが、たまに挟まれるコメディ描写がテンポを悪くしており、演じる役者の問題もあって終始もっさり風味。見所として足り得るのは、せいぜい中盤で披露される巨龍VSロンという顔合わせ(対決そのものが凄いというわけでは無い)ぐらいで、ラストの巨龍VS金珠はラストバトルとは思えないほど盛り上がりに欠けている。
せめて黄正利レベルの猛者がいれば少しは救われただろうが、物語の時点でロクな出来ではなかったので、どう転ぼうが駄作にしかなり得なかったに違いないだろう。なお、私の所持するDVDは擬似ワイドスクリーン仕様の英語版なのだが、テレビ画面を直撮りしたのかと思うくらいフィルムの状態が悪く、常にピンボケ状態で登場人物の顔が判別しにくいという最悪な画質でした(ビスタサイズでもいいから普通の画質で見たかったなぁ…)。
ちなみにその後、ジム・ケリーは黒人映画の中堅俳優に落ち着いたが、なまじ李小龍の影を追い続けていたロンはあまり大成しなかった。せめて大手プロダクションで主演作を撮っていれば少しは運命も変わったかも知れないが、香港映画界に単身切り込んだ"もう1人のブラック・ドラゴン"の名は、今後も功夫映画ファンの間で語り継がれていく筈である。

『黒殺/殺』

2009-05-10 23:33:17 | カンフー映画:珍作
黒殺/殺(殺は旧字)
英題:Way of the Black Dragon/Black Dragon
製作:1978年

▼またもロン・ヴァン・クリフの長江電影作品だが、今回はいつも共演している白彪(ジェイソン・パイ)や高岡らを起用せず、黄家達(カーター・ワン)や黄杏秀(セシリア・ウォン)といった真新しいキャスティングで勝負した一本である。しかし英題こそ李小龍っぽいものの、内容的には『龍爭虎鬥精武魂』の焼き増しといった感が強く、出来に関してもそれほど抜きん出たものではない。本作が作られた頃は李小龍タイプの功夫映画が少なくなってきた時期であり、したがって今回李小龍的なアプローチは抑えられている。

■物語はバンコクで黄杏秀ら女性たちが誘拐されるところから始まる。彼女たちを捕まえたのは麻薬密輸組織で、薬漬けにした大勢の女性を麻薬の運び屋として利用していたのだ(ちなみに香港側のボスは馮敬文、配下には何柏光や白沙力といった"いかにも"な連中揃い・笑)。香港へ麻薬を密輸すべく、旅行会社に扮した組織は女たちをツアー客に偽装して渡航。運び込んだ女を売り飛ばして売春を強要していた。しかし1人の女が逃げ出そうとした際、追いかけた何柏光が勢い余って彼女を殺してしまった事から、秘密捜査官のロンが動き出そうとしていた…。
一方、こちらは溶接工の黄家達。同僚の陳流が綺麗な女性とお見合いするというので同行したが、この女性というのが黄杏秀であった。黄家達は彼女から話を聞いて正義感に燃え、ロンもまた黄杏秀を助けようと決死の戦いに挑んでいた。だが、組織は姑息にも黄家達に「ロンが敵だ」と吹き込み、同士討ちを目論んでいたのだ(推測)。その目論見どおり、黄家達はロンとタイから黄杏秀を追ってきたキックボクサーと戦闘になってしまうが、誤解はすぐに解消。かくして、黄家達・ロン・キックボクサーの最強トリオは、タイを舞台に組織との一大決戦に挑むのだった。

▲最初はあまり絡む事のない2人の主役・その主役とロンが途中でいがみ合う・最後はトリオで乗り込みラストバトルへ…といった具合に『龍爭虎鬥精武魂』と符合する点の多い本作だが、先述の通り面白い作品にはなっていない。
まどろっこしい演出や脚本の杜撰さも目に付くが、1番の問題は前半のかったるい展開であろうか。なにしろ、最初の40分は黄家達もロンもろくに登場せず、麻薬組織による悪行をねっとりと描写しているだけなのだ(功夫アクションがあるのならまだ許せたが、女たちがいたぶられる様を延々と見せられては楽しくも何とも無い)。オチについても何柏光と馮敬文が逮捕される描写が無いなど納得できない場面が多々あるが、功夫アクションはそれなりに上質だ。
本作で武術指導を担当したのは、のちにサモハン率いる洪家班へ加入する事になる陳會毅(ビリー・チャン)。本作は彼が初めて単独で武術指導を行った作品でもあり、気合の入り方も並々ならぬものだったのだろう。その関係からか、香港でのパートではロンと対戦するザコに陳龍(チェン・ロン)・孟海(マン・ホイ)・小侯(シャオ・ホウ)・鐘發(チュン・ファト)という凄い面子が参加している。彼らとロンが闘うシーンはかなりのレア対戦だが、できれば黄家達とも対戦してほしかったなぁ…。
タイに戻って黄家達ら3人が協力体制を敷いてからは、功夫アクションも俄然ヒートアップ。差別化された3人の戦闘スタイルや敵の用心棒もコントラストが効いていて、このへんは流石に見せてくれます(ちなみに『死闘伝説TRUBO!!』でロンが次々とザコを倒していくカットの元ネタは、ここのラストバトルからの引用)。ところで、本作で気になるのが黄杏秀の扱いだ。本作で彼女は思いっきりヨゴレな役に挑戦しているが、同年にはショウブラで『蟷螂』などの劉家良作品に出ている。ショウブラ的には黄杏秀のこういう扱いはどうだったんだろうか?

『下南洋』

2009-05-07 22:24:18 | カンフー映画:佳作
下南洋
英題:Tough Guy/Black Dragon
製作:1974年

▼(※…画像は本作を収録したDVDパックのものです)
再びロン・ヴァン・クリフ&白彪(バイ・ピョウ)主演の長江電影作品だが、本作はロンが香港映画にデビューした記念すべき最初の作品だ。作品としてはやはり李小龍を意識した作風で、話の内容は『ドラゴン危機一発』を連想させる。こうして見てみると『怪客』『唐手[足台]拳道』は『ドラゴン怒りの鉄拳』モチーフ、『龍争虎鬥精武魂』は『燃えよドラゴン』モチーフで特色が分けられており、いっそ白彪主演の『死亡遊戯』風な作品や『ドラゴンへの道』風の作品を、監督・魯俊谷の味付けで見てみたかった気がしないでもない。

■白彪は田舎で畑仕事に勤しむ純朴な青年で、フィリピンで成功して帰ってきた兄・劉鶴年の姿に憧れを抱き、自分もフィリピンで一旗挙げようと出立を決意する。こうして海の向こうへ出稼ぎに来た白彪だが、ケンカをしている謎の黒人・ロンと遭遇したり、スリの陳流と知り合ってトラブルに遭遇したりと、まずは波乱の船出となった。
そんなこんなで白彪は港で積荷を運ぶ労働のバイトに就くも、例によって労働環境はかなり劣悪。粗暴な職員と悶着を起こしたが、功夫の腕を上司の高岡に見込まれてバイトから職員のリーダーへと飛び級でランクアップした(笑)。そんな時、白彪の前にシマを荒らす謎の連中が殴りこみを仕掛けてきたが、その中にロンの姿があった。彼らを撃退した白彪は報酬として高岡に風俗へ連れてってもらい、そこで無理に働かされていた風俗嬢を助け出す。が、そこに再び現れたロンは「お前は自分のやっている事が解っているのか?」と、意味深な言葉を投げかけた。
この風俗嬢は白彪にホの字になるが、彼女の口から高岡たちが裏でアヘンの密売をしている事を聞かされ、高岡の元に乗り込んだ彼は事実を目の当たりにしてしまう(ロンたちは麻薬を蔓延させる高岡たちと闘っていたのだ)。真実を知った白彪はロンと和解して高岡のところへ直談判に出向いたが、社員契約を結んだ際の書類が元で自由に動く事が出来なかった(このへんの展開がちょっと不明瞭)。高岡たちをとっちめるには契約書が邪魔だ…そこで白彪の話を聞いた陳流は高岡たちのアジトへ潜入し、半殺しの目に遭いながらも契約書の入手に成功した。
こうして大手を振って闘えるようになった白彪はアヘン蔵を占領。当然高岡たちは黙っているはずもなく、用心棒としてデブの東洋人・ヒゲの白人・金髪白人・そして何と劉鶴年の4人を召集した(劉鶴年の勤め先が高岡のところだったらしい)。特に一番手強いのが劉鶴年で、陳流が殺されて風俗嬢は敵の手に落ちてしまう。怒りの火の玉と化した白彪は単身敵地に乗り込み、高岡と用心棒軍団を相手取って死闘を演じるのだが、その先には悲劇の兄弟対決が待ち構えているのだった。

▲本作は白彪の完全主演作で、抵抗メンバーの1人としてロンは要所要所で出てくるが、どちらかというとサブキャストの位置に落ち着いている。
しかし作品としては『唐手[足台]拳道』『龍争虎鬥精武魂』よりも出来が良く、最後の白彪VS劉鶴年で白彪がトドメを刺さない事以外は、取り立てて不満を感じることはなかった。功夫アクションは李小龍的なスタイルだが、派手な回し蹴りを連続で繰り出すダイナミックな殺陣で、最後に白彪が敵陣へ乗り込んで大暴れするシーンはとても迫力がある。先に述べた白彪VS劉鶴年は決着の付け方と尺の短さこそアレだが、『龍争虎鬥精武魂』に続いて再び劉鶴年のポテンシャルの高さに気付かされました。
だが本作で一番おいしい役どころだったのは、何といっても陳流だろう。陳流といえば意地悪そうな悪役や汚れ役で功夫映画ではお馴染みの脇役俳優だ。『闘え!ドラゴン』では吹き矢の殺し屋、『風拳鬼手の道』では何宗道を裏切る側近、『雑家高手』では青白い顔の狂人、『獣 KEDAMONO』では極悪刑事を憎々しげに演じている。そんな彼が本作では「軽薄だが友達思いの相棒」という、韓國才あたりがよく演じているような役に扮しているのだから驚きだ。
白彪が鶏肉を食べてる横で文句を言いながら饅頭を食ったり、友の為に敵のアジトへ潜り込んだり、風俗嬢との交流では卑しくない笑顔を見せたり…こんな好感を抱けるような陳流なんて、果たして今まで見たことがあるだろうか?もしかしたら、ここだけでも本作は見る価値があるかも知れません(笑

更新履歴(2009/4月)

2009-05-03 22:13:58 | Weblog
4月の更新履歴です。今回は未知の3級片や久し振りに未公開功夫片を紹介しましたが、現在ゴールデンウィーク中で予定が混み合っている為、月の頭の更新は少々停滞すると思います。とはいえ、5月は長江電影作品やお馴染みのマーシャルアーツ映画もどんどん紹介していきますので、先ずはこちらをお楽しみに。もしかしたら意外な作品の情報が出てくるかも…?

04/01 更新履歴(2009/3月)
04/04 『ジル・リップス 殺戮者』
04/07 『KEDAMONO 獣』
04/10 『スウィーパーズ』
04/13 『隷嬢剣/くノ一妖刀伝説』
04/16 『忠烈精武門』
04/20 『雙龍屠虎』
04/23 『18 Fingers of Death』
04/26 『唐手[足台]拳道』
04/28 『龍争虎鬥精武魂』