功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

更新履歴(2014年/6月)

2014-06-30 23:02:00 | Weblog
 6月は坂本浩一が監督した特撮映画にどっぷり漬かりましたが、来月からは通常どおりの更新ペースに戻ります。しばらく功夫片ともご無沙汰だったので、7月はそういった作品を重点的に見ていきたいですね。
ちなみに今後の特集は今のところ未定で、8月にフィルマークやIFD系のニコイチ映画の企画を…と構想を練っていましたが、テーマが無謀すぎたため断念(爆)。格闘映画について幾つか考えている事があるので、しばらく書いてなかったコラムで触れてみたいと思います。


06/04 坂本浩一×特撮(1)『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』
06/07 坂本浩一×特撮(2)『仮面ライダーW AtoZ FOREVER/運命のガイアメモリ』
06/12 坂本浩一×特撮(3)『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』
06/17 坂本浩一×特撮(4)『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』
06/21 坂本浩一×特撮(5)『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』
06/26 坂本浩一×特撮(終)『獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦!さらば永遠の友よ』
06/30 更新履歴(2014年/6月)

坂本浩一×特撮(終)『獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦!さらば永遠の友よ』

2014-06-26 22:46:34 | 日本映画とVシネマ
「獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦!さらば永遠の友よ」
製作:2013年

▼これまでウルトラマンと仮面ライダーの監督を歴任してきた坂本浩一氏ですが、とうとう『獣電戦隊キョウリュウジャー』で戦隊シリーズのメイン監督にも就任!日本を代表する3大ヒーローコンテンツの制覇に成功します。
とはいえ、もともと坂本監督は戦隊シリーズのアメリカ版である『パワーレンジャー』に深く関わっており、本家本元の戦隊シリーズを監督するのは自然な流れだったのかもしれません。
 本作は戦隊シリーズの恒例行事である”VSもの”の一本で、サンバのリズムで変身する恐竜の戦士・キョウリュウジャーが、先代の『特命戦隊ゴーバスターズ』と手を組んで戦います。
無論、今回も各作品の設定を事前に知っておかなければならず、ライダーほどではないですが難易度の高い作品となっていました。

■恐竜の力を持つ戦隊に恨みを抱く宇宙の戦神・ボルドスが現れる。竜星涼らキョウリュウジャーは戦いを挑むが、既にジュウレンジャーとアバレンジャーの力が敵の手に落ちていた。
窮地に陥った彼らを救うため、鈴木勝大らゴーバスターズの3人が到着。ボルドスの復活に利用されようとしている伯亜凌駕=アバレッド(西興一朗)と、ティラノレンジャー・ゲキ(望月祐多)の救出に向かった。
 だが、望月と西の持つ神秘の力・ダイノホープが奪われ、竜星たちもパワーを失って悪の手先と化してしまう。太古の世界に飛んだ彼らは恐竜を滅ぼそうとするが、パートナーである獣電竜たちの呼びかけで己を取り戻すことに成功した。
元の時代に戻った竜星たちは、先んじて突入していたゴーバスターズとともに最終決戦へ身を投じていく。いまだ変身できない状況の中、果たして彼らはボルドスの野望を打ち砕けるのか!?

▲通常、”VSもの”は現役と先代の戦隊が一堂に会し、対立などを経て共闘するという流れが一般的です。私も過去に何本か見ていますが、本作はそこに過去の2大戦隊を盛り込んでいます。
私はジュウレンジャーとアバレンジャーをリアルタイムで視聴した世代なので、オリジナルの役者たち(顔出しできないメンバーも声のみ出演!)が登場した際は本当に興奮しました(嬉
しかしその結果、本来ならキョウリュウジャーと並び立つはずのゴーバスターズが見せ場を食われ、最後の巨大ロボ戦にも主戦力を投入できないという憂き目に遭っています。退場したはずの仲間を復活させたりと、キャラの扱いは悪くなさそうなんですが…。
 一方、格闘シーンは坂本監督らしく今回も派手派手で、しょっぱなから元JACの望月祐多が豪快な蹴りを連発!その後も2大戦隊が敵に追われながら肉弾戦を展開していました(案の定、女性戦士のパートは監督の趣味丸出しでしたが・苦笑)。
そしてクライマックスでは2つの戦隊と先輩たちが集結し、一大決戦が勃発することになるんですが…ここから次第にアクションが散漫になっていきます。キャスト1人1人の動きは悪くないものの、ライダーよりもはるかに人数が多いので見せ場が分散し、アクションの印象が薄くなるという事態が起こってしまったのです。
 また、キョウリュウジャーが劣勢から奮起するシーンでは、各々の動向をじっくりと描写しすぎたせいで非常にテンポが悪くなっています。この冗長さは『みんなで宇宙キターッ!』のスイッチを押すシーンでも感じましたが、どうも坂本監督は感動的な場面を演出する際、必要以上に尺を割いてしまう傾向があるようです。
他にも強引&長すぎる次期ヒーローの登場シーンなど、前回以上にとっ散らかった印象を受けてしまう本作。ただし先述したプラスとなる点が非常に大きいので、まず見て損はない作品だと言えますね。

 普段はあまり触れる機会のない子供向け特撮の世界…。今回の特集では、そこを主戦場とする坂本浩一監督が生み出した作品を一通り紹介しました。どの映画も監督自身の思いとリビドーが前面に描写されており、アクションシーンには目を見張るものがあります。
その迫力と完成度たるや、アクション作品がかすかに息を吹き返しつつある現在の邦画界において、間違いなくトップに近いレベルにあると言えるでしょう。さて日本の特撮業界にその名をとどろかせた坂本監督ですが、マーシャルアーツ映画に対する情熱は決して忘れていません。
 特撮の仕事と並行しつつ、氏は多数の格闘作品を手掛けています。特に女闘美アクションへの思い入れは強く、『トラベラーズ 次元警察』から最新作の『赤×ピンク』までの監督作5本のうち、4本が女闘美アクションという点からも窺えます(笑
これはヒジョーに個人的な要望になりますが、ここまで女闘美に熱中している坂本監督には是非とも『女必殺拳』のリメイク版(主役は武田梨奈で!)を撮って欲しいですね。
特撮の世界に濃厚な格闘アクションを持ち込み、各方面での躍進が止まらない坂本浩一。次に彼はどんな凄まじいアクションとギミックを我々に提供してくれるのか、期待に胸を膨らませながら今回の特集を終えたいと思います。(特集、終)

坂本浩一×特撮(5)『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』

2014-06-21 23:36:34 | 日本映画とVシネマ
「仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム」
製作:2012年

▼『仮面ライダーフォーゼ』を撮り終えた坂本浩一氏は、続く平成ライダーシリーズの第14作目『仮面ライダーウィザード』…が登場するオールスター作品の監督も担当します。
人々を絶望させ、人間の精神世界=アンダーワールドで種族を増やそうとする異形の存在・ファントム。『ウィザード』は、そんな巨悪と戦う魔法使いライダーの活躍を描いた作品です。
 本作ではウィザードに変身する操真晴人(白石隼也)が、フォーゼこと如月弦太朗(福士蒼汰)とタッグを結成。今回は昭和のライダーを登場させず、仮面ライダーWからオーズまでの全ライダーがゲスト参戦します。
もちろん『MOVIE大戦MEGA MAX』と同じく、出演者自身による格闘シーンも盛りだくさんとなっていて、クライマックスには大掛かりなカーアクションも用意されていました。

■”ゲート”とは、ファントムを誕生させるアンダーワールドを持つ人間の名称である。長きにわたり封印されていたアクマイザーの3人は、ゲートとなる人間を集めて無限に怪人を生み出す装置を作り上げた。
彼らはある目的のため5年後の未来へと飛び立っていく。一方、未来の福士は母校の教師となり、須賀健太を始めとした超能力者の生徒たちに手を焼いていたが、その裏には邪悪な影がうごめいていた…。
 そのころ現代では白石たちがアクマイザーと交戦し、装置の核となっている人間のアンダーワールドに突入していた。そこは美少女仮面ポワトリン(入来茉里)が活躍する世界で、同じ光景が何度もループする異様な空間だった。
この現象は現実に嫌気がさした入来の心に付け入り、悪用したアクマイザーの仕業であった。彼らの本当の目的は、アンダーワールドにある魔界の海に未来の超パワーを叩き込み、膨張した魔力で現実世界を崩壊させることだったのだ。
マッドマックス風の装甲トラックで爆走するアクマイザーを止めるため、白石と未来から駆けつけた福士たちは決死の戦いを挑む!

▲今回も各シリーズの設定を把握し、かつ過去のライダー映画を見ていることが前提の作品ですが、ビジュアル面のアグレッシブさが大いに光っていました。
本作は歴代ライダーのみならず、石ノ森ヒーローも大挙して登場しているのが特徴。それぞれに見せ場が与えられており、特にアクマイザーは仲間意識の強さを描くことでキャラクター性を濃くし、『みんなで宇宙キターッ!』の二の舞を避けています。
ただ、ポワトリンのアレは個人的に大ウケだったのですが、キョーダイン以上の賛否を呼びそうな気がしてなりません。なるほど、マツコデラックスが何々という口上は伏線だったのか…(笑
 格闘アクションは初っ端から仮面ライダーメテオこと吉沢亮と、子供には刺激が強すぎる原幹恵が大暴れ。フォーゼ編では福士と須賀がパルクール風の追跡劇を見せ、レギュラーメンバーや超能力者の生徒たちが方々で立ち回ります。
ウィザード編も高山侑子らによる軽いファイトのほか、華麗な動きで舞う入来や白石の動作も印象に残ります。クライマックスは4人のライダーが素面で拳を振り上げ、オーズこと渡部秀も激しい肉弾戦を披露していました。

 ラストは実際に大型トラックを走らせてのカーチェイスで、クライマックスを盛り上げるのに一役買っています。しかし今回はアクション描写に関して、どうしても気になってしまう点があるのです。
まず1つは吹き替えスタントの使い方。吹き替え自体は珍しくありませんが、白石のスタントがあまりにも激しく動きすぎるため、役者本人の動作が浮いて見えるという現象が生じています。白石のアクションそのものは良いんですが…。
もうひとつは坂本監督のやりすぎ演出。今回も女闘美アクションには抜かりがないものの、こだわりが行き過ぎて逆に退いてしまうシーンがいくつか見受けられました(特にポワトリンの大股開きアクション)。
 しかし子供たちや新アイテムの伏線などはきちんと消化していますし、全体的な仕上がりはメッセージ性の強い『MOVIE大戦MEGA MAX』に譲りますが、それなりに手堅くまとまっていたと思います。
さて、本作を手掛けた坂本監督はスーパー戦隊シリーズに本格参加し、再びオールスター風味の映画に関わりますが……詳しくは次回の特集最終回にて!

坂本浩一×特撮(4)『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』

2014-06-17 23:04:05 | 日本映画とVシネマ
「仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!」
製作:2012年

坂本浩一の監督作には、常に欠かすことのできない2つの要素が存在します。1つはワイヤーワークを多用した格闘アクション、もう1つはセクシー全開の女闘美アクションです。
その女闘美好きっぷりは筋金入りで、『アクセル』ではチャイナドレスの刺客が登場し、『運命のガイアメモリ』『エターナル』では八代みなせに足技中心のファイトを指導。 『フォーゼ&オーズ』でも多くの女性キャストに見せ場を用意していました。
そして今回も今までの例に漏れず、やけにセクシーな原幹恵が戦いまくる内容となっています。最近も女性アクションものを撮っていると聞きますし、本っ当に坂本監督はこの手のジャンルが好きなんですねぇ(笑
 ちなみに『仮面ライダーフォーゼ』とは、天ノ川学園に通う如月弦太朗=仮面ライダーフォーゼ(福士蒼汰)が、仮面ライダー部の仲間たちと共に悪と戦う姿を描いた作品です。舞台が固定されている点は『仮面ライダーW』と共通しています。
本作にはもう1人のライダー、朔田流星=仮面ライダーメテオ(吉沢亮)というキャラも登場するんですが、なんとこれが功夫の使い手!もちろん変身しなくても強く、彼の肉弾アクションも見どころの1つといえるでしょう。

■ある日突然、福士を始めとした仮面ライダー部の面々に緊急招集がかかった。彼らを呼んだのはオスト・レガシーという機関の木下あゆ美と岡田浩暉で、人類抹殺を企む宇宙鉄人の野望を阻止すべく、衛星兵器・XVIIの破壊を依頼してきたのだ。
福士は人工知能を持つXVIIと友達になりたいと考え、仲間たちと宇宙に行くための訓練に身を投じていく。破壊工作員の原と宇宙鉄人ブラックナイトの妨害を受けつつも、なんとか一行はXVIIへ辿り着いた。
 XVIIとの友好が不可能と判断した福士は、仕方なくシステムの爆破を敢行する。だがそれは木下と岡田の罠…実は彼らこそが宇宙鉄人キョーダインで、爆破したのはキョーダインの活動を抑制する機械だったのだ。
原はキョーダインを開発した博士の娘であり、悪に目覚めた彼らを止めるために奔走していたのである。福士はXVIIを信じきれなかった事を悔やみ、主砲の発射を阻止するがライダーの力を使い果たしてしまう。
XVIIを救うため孤軍奮闘する福士と吉沢。一方で地球に帰還したライダー部の面々は、フォーゼを復活させるため最後の手段を講じようとしていた。今、月面を舞台にラストバトルの幕が上がる…!

▲『運命のガイアメモリ』が登場人物の内面を描いたストーリー重視の作品とするなら、本作は最初から最後までド派手なギミックを詰め込んだアクション重視の作品といえます。
開幕直後いきなり原が大立ち回りを演じ、これに西冬彦作品でおなじみの横山一敏(JAE所属のベテランアクター)が変幻自在の蹴りで応戦。中盤は爆発クラッシュ上等のカーチェイスと、吉沢VS原の功夫対決が同時進行で展開されます。
吉沢VS原のリターンマッチを経て、クライマックスでは福士を始めとしたライダー部が素面でファイトを見せており、これがなかなかの迫力でした(今回も福士の軽業は健在!)。
 ただ、物語は『運命のガイアメモリ』と『フォーゼ&オーズ』を焼き増しした感があり、往年のヒーローであるキョーダインを悪役にした点も賛否が分かれます。それとこれは私がTV本編を見てないせいもあるのですが、終盤で学園の友人たちにスイッチを託すくだりは「ちょっと長いかな?」と思ってしまいました。
しかし全体的に質が高い作品なので、アクション目当てで視聴しても充分に満足できます。ところで原のキャラクターは坂本監督も気に入っていたらしく、新たなオールスター作品にも登場するのですが……詳細は次回にて!

坂本浩一×特撮(3)『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』

2014-06-12 23:35:10 | 日本映画とVシネマ
「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX」
製作:2011年

▼平成ライダーシリーズの第13作である『仮面ライダーフォーゼ』で、ついにメイン監督にまで昇格した坂本浩一監督。その流れを受け、毎年恒例となったオールスター映画も撮る事になったのですが、これが非常にハードルの高い作品となっていました。
オールスター映画とは、その名の通り大勢の仮面ライダーが集結するお祭り映画であり、本作では『フォーゼ』とその前作である『仮面ライダーオーズ』(坂本監督は未参加)が根幹を成しています。
 ここに仮面ライダーWと栄光の7人ライダー(1号からストロンガーまで)、さらには本作オリジナルのライダーまで参戦します。そのため、これらの作品の設定・キャラクターをあらかじめ知っておかないと、本作を楽しむことはとても難しいのです。
とはいえ、そもそもこの映画は仮面ライダーファン向けの作品なので、見ている方は設定なんて百も承知のはず。私のように格闘シーンを目当てに視聴するのは、色々と間違っているような気もしますが…まぁいいか(爆

■『運命のガイアメモリ』でも暗躍していた悪の組織・財団X。その幹部である益岡徹は、墜落した隕石から宇宙生命体を採取しようとしていたが、これを阻止せんとする栄光の7人ライダーと交戦していた。
同じころ、隕石落下によって生じたワームホールから、未来の仮面ライダー・ポセイドン(荒井敦史)が出現。暴走する彼を止めるべく、火野映司=仮面ライダーオーズ(渡部秀)と、死んだはずの相棒・アンク(三浦涼介)が戦いを挑んだ。
 一方、如月弦太朗=仮面ライダーフォーゼ(福士蒼汰)が通う天ノ川学園では、おりしも文化祭の真っ最中。そこへ空から謎の少女・真野恵里菜が降ってきた。なぜかライダーに変身できる彼女に、福士は心を惹かれていく。
だがその正体は、財団Xから逃げ出した宇宙生命体であった。ショックを受ける福士だが、それでも彼女を守ろうと決意を新たにする。しかし、最終的に真野は益岡の手によってエネルギーに変換され、事実上消滅してしまう…。
福士は親友たちの励ましで悲しみを振り切り、渡部や左翔太郎=仮面ライダーW(桐山漣)らと合流。一連の事件に関与し、財団Xを裏切って銀河の王になろうとする益岡を倒すため、最終決戦に向かう!

▲様々な勢力やキャラクターが錯綜し、めまぐるしく戦いが繰り広げられる本作ですが、格闘アクションという点では『運命のガイアメモリ』よりも奮闘していました。
オーズ編では初っ端から有末麻祐子が立ち回り、飲食店では渡部&三浦がザコ相手に大暴れ!続くフォーゼ編では福士が吹き替え無しでトンボを切り、真野をブン回しながらジャッキー映画風のアクションを見せます。
これに負けじと、財団Xも人見早苗(JAE所属のアクター…『エターナル』では須藤元気と対戦)とその部下もキレキレの動きを披露し、スクリーンに彩りを添えていました。個人的には荒々しい蹴りを連発する渡部のファイトが好みですね。
 先述の通り、ストーリーは予備知識が無いと辛い部分もあります。しかしオーズ編の「明日への希望」、フォーゼ編の「主人公の初恋」というテーマは最後まで一貫されていますし、7人ライダーの扱いも悪くありません。
また、前回もそうでしたがスーツアクターの動きが非常に良く、水上バイクやカースタントを絡めたアクションシーンも見栄えがあります。バトルの連続でダレてしまう箇所があるものの、全体的な出来は悪くなかったと思います。
さて来週は、今回説明を省いてしまった『仮面ライダーフォーゼ』の劇場版が登場です。このあたりから坂本監督の個人的な趣味(笑)が暴走していくことになりますが……詳しくは次回にて!

坂本浩一×特撮(2)『仮面ライダーW AtoZ FOREVER/運命のガイアメモリ』

2014-06-07 23:30:17 | 日本映画とVシネマ
「仮面ライダーW AtoZ FOREVER/運命のガイアメモリ」
製作:2010年

▼アメリカから帰国し、『ウルトラ銀河伝説』を撮り終えた坂本浩一は、続いて平成ライダーシリーズ第11作となる『仮面ライダーW(ダブル)』の監督を担当します。この作品は探偵ドラマの要素を取り入れており、風都という架空の街が舞台となっています。
主役のライダーには、探偵の左翔太郎(桐山漣)と相棒のフィリップ(菅田将暉)が2人で変身し、悪の組織・ミュージアムが巻き起こす難事件に挑む!…という話なのだそうです。
本作では敵として大道克己=仮面ライダーエターナル(松岡充)と、不死身の傭兵部隊・NEVERが登場。メンバーには八代みなせ・須藤元気・出合正幸・中村浩二が扮し、スケールの大きいバトルを繰り広げていました。

■人間をドーパント(本作における怪人の名称)に変身させるガイアメモリ…その新型であるT2メモリをNEVERが強奪した。街に散らばったT2メモリは人々に取り付き、各地でドーパントの暴走事件が発生していく。
そんな中、桐山たちの前に国際捜査官の杉本彩が現れ、彼らにT2メモリの回収を依頼する。菅田は彼女の姿に、記憶の彼方へと消えた母親の面影を見るのだが…。
 一方で回収作業を進めていた2人は、T2メモリで強力なドーパントに変身したNEVERと遭遇。連中の攻撃をかいくぐりつつ、なんとか相当数のメモリを杉本に引き渡す事となった。だがそこにエターナルと化した松岡と、実は敵だった杉本が姿を見せる。
桐山たちはライダーになって戦うも、エターナルの特殊能力で変身用のメモリを停止させられてしまう。ほぼ全てのT2メモリを手に入れた松岡は、占領した風都タワーから「残りのメモリを探して持って来た奴に大金を出す」と宣言した。
 彼の目的は巨大兵器の起動で、その鍵がT2メモリだったのだ。街はパニックに陥り、杉本を信じて近付いた菅田は囚われの身に…。もはや万策尽きたかと思われたその時、最後に残されたT2メモリで桐山は変身に成功する。
照井竜=仮面ライダーアクセル(木ノ本嶺浩)と共に敵地へ切り込んだ彼は、街と相棒を救うべく最後の戦いに挑む!

▲私は『W』のTV本編を見ておらず、ちょっと前に紹介したスピンオフ作品で得た知識くらいしか持っていないのですが、そんなことも問題にならないほどの快作でした!
物語はアクションの連続で画面を彩りつつ、母を求める菅田のドラマを展開。さらに盛り上がるのがクライマックスで、杉本の悲しい最期や次回作ライダーの登場、そしてダイナミックな決着に至るまでを一気に描ききっています。
 伏線の使い方も上手く、大人の視聴者が見ても十分楽しめる内容だったと私は思います。もちろんアクション描写も充実しており、格闘戦やバイク・アクションといった派手な見せ場が用意されていました。
気になるのは役者本人が見せる格闘シーンですが、須藤や中村らのアクションは数箇所ほどしかなく、目立ったバトルは後半の桐山VS八代のみ。それでも八代の見せる蹴りは華麗かつセクシーに撮れていて、のちに女闘美路線を極めることになる坂本監督の嗜好が垣間見えます(笑
 格闘アクション的には物足りなさを感じるものの、作品としての仕上がりは上々な逸品。本作に出演した面々のガチバトルが見たい方には、前日談であり後日談でもある『仮面ライダーW RETUNS 仮面ライダーエターナル』がオススメです。
この『W』で手腕を振るい、評価を受けた坂本監督はスーパー戦隊シリーズでもその実力を示し、遂には仮面ライダーのメイン監督に登りつめます。そして大勢のライダーが出演するオールスター作品の監督も任される事になるのですが……続きは次回にて!

坂本浩一×特撮(1)『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』

2014-06-04 23:03:57 | 日本映画とVシネマ
「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」
製作:2009年

▼成龍(ジャッキー・チェン)の華麗なアクションに魅せられ、倉田保昭が創立した倉田アクションクラブに入門。のちに渡米し、『アンダーカバー』系列や『バウンティ・ハンター/死の報酬』でアクション指導を担当した日本人が存在します。
その名は坂本浩一…ハリウッドと日本をまたにかけるアクション監督で、ワイヤーワークを得意とするアルファ・スタントを設立した中心人物の1人でもあります。今月はそんな坂本監督が手掛けた、数々の特撮ヒーロー作品に触れていきたいと思います。
 氏は『パワーレンジャー』シリーズでアクション監督に着任し、やがてプロデューサーや監督として作品に携わっていきました。監督としては『Devon's Ghost: Legend of the Bloody Boy』などのマーシャルアーツ映画も撮っていますが、そんな彼に日本で初めてメガホンを握る機会が巡ってきます。
『パワーレンジャー』シリーズの展開がひと段落した2009年、坂本監督は40年以上の歴史を誇る円谷プロの代名詞・ウルトラマンの新作映画に参加。同志の野口彰宏をアクション指導に招き、これまでにはなかった派手なアクションでスクリーンを彩りました。
内容としては、ウルトラ兄弟を中心に展開していた『ウルトラマンメビウス』の世界観に、未来の地球人が怪獣を操って戦う『大怪獣バトル』をドッキングしています。オープニングに各作品の説明があるので、未見の人でも安心して作品を楽しめるはずです。

■かつてウルトラの星を襲った巨悪・ウルトラマンベリアルが復活。ウルトラの父はウルトラ戦士たちと共に人工太陽・プラズマスパークを守ろうと奮戦する。が、プラズマスパークの動力源であるエネルギーコアを強奪され、星ごと氷漬けにされてしまった。
なんとか生き残ったウルトラマンメビウスは、地球人のレイオニクス(怪獣を操って戦う者)・南翔太と協力。残されたプラズマスパークの光でパワーを補充し、初代ウルトラマンやウルトラセブンとともに怪獣墓場へ向かった。
 そこではベリアルがギガバトルナイザーという道具を使い、100体もの怪獣を使役していた。ウルトラ戦士たちは応戦するが怪獣軍団とベリアルのパワーは強大であり、おまけに南がベリアルにそそのかされて悪に魅入られてしまう。そしてセブンが…。
そんな絶体絶命の状況の中、ひとりのウルトラ戦士が戦場に降り立った。彼こそが、ウルトラセブンの息子にして新世代のヒーロー・ウルトラマンゼロだった!

▲…それにしても、今まで色んな作品のあらすじを書いてきましたが、ここまで実際の役者の名前が出てこない文章を書いたのは初めてかも知れませんね(笑
背景は9割がCG、登場人物の大半が人間じゃない等、本作は従来の地球を舞台にしたウルトラ作品とは雰囲気が違います。そのため、巨大ヒーローとしての存在感や神秘性が欠如していますが、戦闘シーンをテンポよく繋いでいるのであまり気にはなりません。
 アクションに関してもレベルが高く、とりわけ前半のベリアルによるウルトラの星襲撃シーンは出色の出来です。ややウルトラ戦士の噛ませ犬化が顕著ですが、これでもかと出てくるウルトラ戦士・怪獣の姿は見ているだけでも楽しめました。
しかし、純粋に格闘アクションを堪能したいというのなら、本作は不適当だと言えます。確かに格闘描写は見事ですが、戦っているのは宇宙人や怪獣ばかり。数少ない人間による格闘シーンでも、相手がみんな宇宙人なのでマスカレイド(仮面舞踏)のような雰囲気が漂っています。
 同じマスカレイドでも、人間が変身する等身大のヒーローならまだ感情移入の余地はありますが、本作で戦うのはすべて人外の存在です。個人的にはどうしてもこの一点が気になってしまい、いまいちアクションに乗り切れなかったですね(殺陣そのものは良質なんですが…う~ん)。
この他にも釈然としない点は幾つかあるものの、子供向け・ウルトラ作品ファン向けのお祭り映画としては間違いなく傑作の部類に入る本作。ちなみに坂本監督はこの翌年、『パワーレンジャー』を生み出した東映で大仕事をすることになるのですが……続きは次回にて!